読んだり観たり聴いたりしたもの -164ページ目

Effective C++改定2版/S・メイヤーズ

C++というきわめて複雑な、そして強力な言語を操るための、先人の知恵が詰まった本。Effectiveシリーズのような、こういうノウハウものは、読んでいるだけで非常に楽しい。それは、読んでいるだけで、あたかも自分に実力がメキメキついてくるような錯覚を覚えるからだ。確かに読むだけでは実力にならないが、「知っている」だけでも、「知らない」のに比べれば天地の差がある。実際、ぱらぱらと読むだけでもためになる本だ。
著者一流のユーモアあふれる文章も見逃せない。
著者: S・メイヤーズ
タイトル: Effective C++改定2版
 

επιστημηのオブジェクト指向的日常/επιστημη

C++を中心としてオブジェクト指向についての短いお話をまとめたもの。DDJJの連載を選択・加筆して書籍化したものらしい。書籍化は99年だが、元の連載は93年とちと古い。
オブジェクト指向についての軽いお話を読みたい人や、オブジェクト指向って良く分からない!という人が読むと、多少は参考になる話があるだろう。ソースコードの分量が多い本なので、ソースを読むのが苦手な人はつらいかも。
砕けた振りした文体は、結構好き嫌いがあると思う。
著者: επιστημη
タイトル: επιστημηのオブジェクト指向的日常
 

「サンド・ランド」「カジカ」「COWA!」/鳥山明

鳥山明の1巻読みきりコミックス。テーマは、
「サンド・ランド」=爺さんと戦車
「カジカ」=旅と冒険
「COWA!」=モンスターと友情
意外と面白かったのでびっくり。
登場人物が、それぞれ強力な個性を与えられているので、わかりやすい。
分かりやすいが、逆に、そこが浅いと思われて、嫌う人は嫌うポイントなのかも。
三作とも主人公サイドが極端に強い、という設定にご都合主義も感じる。しかし、「お話し」なのだから、それでいいと思う。世界を描くために細部があるのではなくて、細部を描くために世界を作ったのだと思う。もともとドクタースランプのときから、鳥山明はそういう作家だと思うが、週刊連載で無理させられて、とくにドラゴンボールなどでは、やりたいことができなかったんだろうなあ、と思った。お金も名声も時間も得て、ようやくやりたいことができる、そんな作品に感じた。

マリア・カラス 聖なる怪物/S・ガラトプーロス

20世紀中頃の、偉大なオペラ歌手、マリア・カラスの伝記。
マリア・カラスはもちろん、オペラのことも音楽のこともまったく知識がない訳ではあるが、それでも、読むと面白い。この偉大といわれるソプラノ歌手の魅力がなせる業だと思うが、逆に、彼女の歌声を聴いて見たくなる。
この本を読むまで、オペラというものの事が良く分かっていなかった。台詞をわざわざ歌う、必然性のまったく良く分からないもの、と思っていたのだ。それは音楽なのか舞台なのか。本書によれば、オペラとは音楽によって表現された舞台芸術なのだ。つまり、オペラ歌手は、歌手である前に、俳優でなくてはならない、ということだ。むしろ逆かと思っていたので、この認識は新鮮だった。
著者: S・ガラトプーロス
タイトル: マリア・カラス 聖なる怪物
 

史上最大の発明アルゴリズム/D・バーリンスキ

最初、さまざまアルゴリズムの開発秘話や裏話などの雑学本かと思っていたら、まったく違っていた。その文章の洒脱振りとは裏腹に、えらくお堅い本だった。つまり、アルゴリズムという名の数学表現の機械的形式的手続きが、どの様にして生まれてきたかを語る史書であった。アルゴリズムが世界を支配する、という魅惑的な惹句とは裏腹に、現代社会を支配しているらしいアルゴリズムの個々の顔は出てこない。
ライプニッツから始まってフレーゲ・カントール・ゲーデル・チューリング・ノイマン・etc、知識・記号表現・形式・論理学などに関する発見と理解がどの様に進んできたかを、時に意味不明な作者の自作の挿話を交え、衒学的というよりむしろ、フェイントを掛けすぎてドリブルを忘れたサッカー選手のごとく、文意や流れを掴み辛いほどの比喩を交え、延々と語られる本である。
きっと訳者に力が無いからだろうと思うが、文章のリズムに慣れるまでは、はっきり言って読むのがつらい本である。中盤、やや慣れたからか面白く読めた。最後にはわずかに感動すらある。
しかし、はっきり言おう。多少古かろうと素直にホフスタッターの「ゲーデル・エッシャー・バッハ(GEB)」を読むほうが良い。面白さもパワーも、挿話の巧みさも、完全に負けている。中盤、挿話の枢機卿に、「GEBを読んだが、分からなかった」と語らせており、明らかにライバル視している様子は苦笑してしまった。
もちろん、GEB、値段と物量を考えれば、ある意味お手軽なこの書籍にも、簡易版としての意味はあるかもしれない。GEBを通勤電車で読むのは、かなり手首が疲れるだろうから。
著者: D・バーリンスキ
タイトル: 史上最大の発明アルゴリズム
 

秘術としてのAI思考/西垣通

15年前の古い本。やや衒学気味で、特に最初のほう(1,2章)は読みづらい。
言いたいことは単純だ。人間の知能は論理で割り切れるものではないから、論理ベースのアプローチではAIには達しない。なぜなら、人の思考には、記号論理では表しきれない虚構性があるからだ。そうした虚構性を包含したままの知的体系の構築としては、むしろ、虚構を中世の神秘主義のいくつかを範とすべきかもしれない。
一言で言って怪しい本である。しかし、結論は概してまともだ。斜に構えた衒学的文章は気に食わないが、それを取ったら実が残らない本でもある。

著者: 西垣通
タイトル: 秘術としてのAI思考
 

Java言語で学ぶデザインパターン入門/結城浩

GOF本の23のデザインパターンが、分かりやすくまとめられており、良い入門書だと思う。ポイントは、骨格だけではなく、きちんと完全に動作するサンプルプログラムがそれぞれのパターンに付属していること。ただし、その分、分厚い本になっている。
平易で分かりやすい表現と比喩で、説明に心を砕いている著者の態度は好感が持てる。
著者: 結城浩
タイトル: Java言語で学ぶデザインパターン入門
 

Standard Template Libraryプログラミング/επιστημη

STLの半分解説・半分リファレンス本。STLについてまともに1から説明を読むのは初めてだったが、かなり分かりやすいほうではないか。
Javaから入った人なら、拍子抜けして「当たり前」の事ばかり書いてある、と思うだろう。特に5.0からはGenericsが導入されたことだし。
しかし、「STLの問題点」の章を見ると、背筋が凍りつく。怖いねえ。
STL入門としては便利な1冊ではないだろうか。
著者: επιστημη
タイトル: Standard Template Libraryプログラミング
 

人工知能コンピュータ 判断・推理の仕組み/秋田興一郎

20年近く前の古い本で、内容もそれなり。人工知能とコンピューティングについての概論もの。
こういう本を読むと、第五世代コンピュータ、というものが必ず描かれているが、それらは今、どこに行ってしまったのだろう。ノイマン型からの脱却が第五世代の肝だと思うが、2005年現在、見渡す限りノイマン型PCが跋扈しているではないか。やっぱり使い物にならなかったんだろうなあ。
著者: 秋田興一郎
タイトル: 人工知能コンピュータ 判断・推理の仕組み
 

コンピュータゲームデザイン教本/多摩豊

一言で言うと、15年という歳月の長さをしみじみ感じた本だった。
内容に対して文章が多すぎる。いかにも不要な著者の語りが多い。内容もまとまっておらず、散漫な印象。もちろんこの業界で15年も前の本を教本としようと思う人はいないが、当時の開発者がどういう考えを持っていたのか、また当時の開発環境はどうだったかを知るにはよい史料となるだろう。
多摩豊って誰だろうと考えていたが、ドームや38万キロの虚空のプロデューサーだった。懐かしいな。解説は安田均。
著者: 多摩豊
タイトル: コンピュータゲームデザイン教本