史上最大の発明アルゴリズム/D・バーリンスキ | 読んだり観たり聴いたりしたもの

史上最大の発明アルゴリズム/D・バーリンスキ

最初、さまざまアルゴリズムの開発秘話や裏話などの雑学本かと思っていたら、まったく違っていた。その文章の洒脱振りとは裏腹に、えらくお堅い本だった。つまり、アルゴリズムという名の数学表現の機械的形式的手続きが、どの様にして生まれてきたかを語る史書であった。アルゴリズムが世界を支配する、という魅惑的な惹句とは裏腹に、現代社会を支配しているらしいアルゴリズムの個々の顔は出てこない。
ライプニッツから始まってフレーゲ・カントール・ゲーデル・チューリング・ノイマン・etc、知識・記号表現・形式・論理学などに関する発見と理解がどの様に進んできたかを、時に意味不明な作者の自作の挿話を交え、衒学的というよりむしろ、フェイントを掛けすぎてドリブルを忘れたサッカー選手のごとく、文意や流れを掴み辛いほどの比喩を交え、延々と語られる本である。
きっと訳者に力が無いからだろうと思うが、文章のリズムに慣れるまでは、はっきり言って読むのがつらい本である。中盤、やや慣れたからか面白く読めた。最後にはわずかに感動すらある。
しかし、はっきり言おう。多少古かろうと素直にホフスタッターの「ゲーデル・エッシャー・バッハ(GEB)」を読むほうが良い。面白さもパワーも、挿話の巧みさも、完全に負けている。中盤、挿話の枢機卿に、「GEBを読んだが、分からなかった」と語らせており、明らかにライバル視している様子は苦笑してしまった。
もちろん、GEB、値段と物量を考えれば、ある意味お手軽なこの書籍にも、簡易版としての意味はあるかもしれない。GEBを通勤電車で読むのは、かなり手首が疲れるだろうから。
著者: D・バーリンスキ
タイトル: 史上最大の発明アルゴリズム