元旦。眼が覚めたのは6時を過ぎたあたり。昨日何時に寝たんだろ?まだ暗いし寒い。
トイレ行って、そーっと部屋から出てリビングに下りてみるとまだみんな寝てる。静かに洗面所で洗面と歯磨きをして、そーっと玄関開けて新聞取り、そのまま抜き足差し足で部屋に戻り電気をつけて新聞読み始めた。隣で物音が聞こえた。
あ、裕美起こしたか?しばらくじっとしてた。やっぱりガサゴソする。間違いなく起こしてしまった。そのまま部屋を出て隣の裕美の部屋をノックした。コンコン。
「はい?」小声で声が漏れた。
「ゴメン、起こしちゃって。入っていい?」俺も小声で伝えた。
「・・・まだダメ」こそっと返ってきた。しばし俺も直立状態でいると、こっそりドアが開き「起きるの早いね?いつもこうなの?」とドアの隙間から小声で話しかけてきた。
「言ってなかったっけ?冬も夏も大体6時には眼が覚めるんだ。まだみんな寝てるけど、初日の出見に行かない?一緒に見てみたい」
「近いの?」
「ん、昨日行った大井戸公園。すぐだよ」
「分かった。着替えるからちょっと待ってて」と言ってドアが閉じられ、俺も少し待っていた。しばらくしてドアが開き、
「明けましておめでとう。今年もよろしくね」と裕美が深くお辞儀したが、ずっと俯いてる。
「明けましておめでとう。俺の方こそよろしく」と返したが俯いたまま。「どうしたの?」と訊いてみると、
「トイレに行きたいのと、鮫君、起きたばっかりの私の顔なんて見せられないでしょ!」小声で少しむっとしてた。
「あぁ、ゴメン気がつかなくて。じゃ俺外で待ってるよ。でも、裕美って化粧してなかったよね?」
「ホント鈍いヒト。私も薄化粧してるよ。ま、いいから外出てて。ちょっと時間かかるけど、お父さんたちが起きないように気をつけてするから」
「分かった、じゃ」部屋に戻りジャンパー着て玄関のキー取って外に出た。寒い!そのうち慣れてくるとは思うけど・・・裕美誘ってマズかったかと思いつつ待ってると、こっそり玄関の扉が開き裕美が出てきた。急いで来たから裕美も今回は化粧してないようだった。素顔でも十分綺麗なのは今の薄明かりでもよく分かるんだけどな。
「朝早くからゴメン。昨日途中で寝ちゃったから覚えてない。ホントは裕美とゆっくり大晦日過ごしたかったのに」
「鮫君上がったから私もそのまま上がったよ。ちょっと残念だったけどね」
「もうそろそろお日様上がってくる。上がる前に公園行こ!」手を差し出して、裕美も合わせてくれたので、二人で薄明るくなった光景に少し焦りながら公園へと向かった。玄関は何かあるとヤバイので施錠した。
(続く)
