「志奈子ちゃんはタフな女の子だから誰よりも長生きできるよ」裕美。
「父ちゃん、乾杯しよ!さっきのアドバイスで明るい気分になってきたし」俺。
「おぉ、そうやな。俺も食い気よりも飲み気が強いわ」おとん。
「いただきま~す!」誰よりも早く食べ始めた志奈子。時刻は17時を少し回ったところ。こんなに早くに晩ご飯食べるなんて、滅多にない。俺とおとんはゆっくり飲み始めた。おかんは2枚目焼いてる。裕美はそれをボーっと見てた。テレビもつけてるけど、面白い番組はなし。DVDでも見るか?
「カラオケはいつでもいいけど、食べてる間に映画でも見ようよ」俺はそのままテレビの下の引き出しに行きDVD探し始めた。あった!ニコラス・ケイジの「天使がくれた時間」!好きなんだ、こういうラブロマンスものって!そのままPS3に入れて起動しようとした。
「お兄ちゃん、そんなの裕美さんと二人で見るものでしょ!せっかくだから嵐のライブかけてよ!」志奈子。それもそうだな。家族で見るような作品じゃないか。嵐の探してかけた。
「うん、アリガト!おぉー始まる始まる!」いつになく嬉しそうな志奈子。「って、裕美さんって嵐とか好き?」
「ええ、大好き!」裕美。おっ~と、半年間付き合ってこんなことも知らなかったとは!?
「誰が好きなの?」俺。
「翔クン」裕美。
「って誰?」俺。
「あー、世間知らず!櫻井翔クンよ!可愛いくてハンサムなヒト!」志奈子。
「みんな同じにしか見えない」俺。
「嵐ファンに殺されるよ。嵐のメンバー何人かも知らないでしょ?」志奈子。
「4人か?」俺。
「もういい!黙って見てろ!」志奈子。
「分かった分かった」俺。しばらく嵐のDVD見てた。あぁ、この曲聴いたことがあるなって位の印象しかなかったけど。「裕美はどうしてその、『翔クン』が好きなの?」
「・・・優しそうだから。それだけ。アイドルとして好きなだけだし。今は・・・ね?」
「あー、妬けちゃうな。あ、お兄ちゃん、そろそろ大事な話聞かせてよ!」志奈子。
「みんな食べ始めてから、な」まだおとんとかおかんのが出来てなかった。俺のはもう作ってくれていて、それをおかずにビール飲んでた。美味しいんだ、これがまた!それは言わずに黙って嵐見てた。
みんなにお好み焼きが行き渡り、ゆっくり食べ始めた。俺は1枚目食べ終わり、もう1枚欲しくなったので自分で焼き始めた。時間はどんどん過ぎて行き俺の2枚目も焼けた。お皿に入れて回りを見るとみんなゆっくり食べている。裕美は俺の方をじっと見てた。頃合としては今がいいかと思い、
「ゆっくり食べてていいんだけど、みんなに話したいことがある」とたんにみんなの視線が俺に降り注ぐ。うわ、何か緊張してくる。「えっと・・・」
(続く)
