「誰も起きてなかった?」
「と思うけど」
「そう・・・」吐く息も白いのが見えてきた。大丈夫だと思いながら足早に公園向かい着いた。誰もいなかった。急いで来たので少し疲れた。が、身体も温まり日の出見るには申し分のない快晴だ。
公園までずっと裕美と手をつないで行った。今年も一番から裕美と一緒って感覚が身体を包み込んでて嬉しかった。時間は7時になろうとしていた。日の出もそろそろじゃないか?
公園に入って一番見晴らしのいい所に二人手を握ったまま佇んでいた。じっとしてると寒くなってきたけど、日差しが見えてきた。今年一番のお日様。いつもと比べてとても眩しかった。
「あ、出てきた!」
「ホント!綺麗」
「一緒にお祈りしよ!」
「うん!」
裕美から手を離してそのまま合わせて眼を瞑り太陽に向かって祈願した。いつまでも裕美と一緒にいられますように、今年も裕美と何事もなく過ごせますように、裕美のお父さんと会えますように、裕美といつかは結婚出来ますように・・・。いけない、お願いすることは一つだけだったよな、と思いつつ目を開けて裕美を見るとまだお祈りしてた。
飛行機の中の裕美の寝顔思い出した・・・。こんな女の子が俺の彼女なんだとしみじみと思ってると、明るい日差しが裕美の顔を照らした。フッと眼を開けて俺を見つめた裕美。いつもと違って、とても落ち着いていた。またいつもの?神々しさが裕美を包んでいた。その表情に俺は何も言えなかった。
「・・・」黙ったままの俺に
「お祈りしてたの」
「・・・どんな?」
「鮫君は?」
「・・・これからもずっと裕美といられますようにって」
「一緒だね」
「うん」
「同じことお祈りしたんだね」
「今年の始まりだし」
「・・・ねぇ?」
「ん?」
「今日本当にご両親に言うの?」
「そのつもり。今年やっと成人迎える俺たちのけじめみたいなもんだし、人生の節目だもん」
(続く)