「明日?」
「思いっきり抱きしめて・・・ね?」
「今すぐにでも抱いてあげられるけど」
「今はイヤ。真っ暗じゃないとダメなの」
「真っ暗か・・・。よく分からないけど、いいよ。それで裕美が落ち着くのなら」
「うん、鮫君が抱きしめてくれてたらこんな不安なくなると思うの」
「明日は明日。今日は今日のこと考えようよ。初詣行ってカラオケだし。お雑煮も食べたいし、あ、昨日の年越しそば残ってないかな?あれも食べたい」
「食べることばっかりね。鮫君らしいけど」
「早くに起きたからお腹も空いてきた。裕美もお腹空いたろ?」
「コーヒーでお腹いっぱい」
「ずいぶんと経済的なお腹だな。一緒に暮らすようになっても我慢してくれそう」
「フフ、そうね・・・」
家に着いた。時刻は7時半過ぎ。やっぱり誰も起きてない。
「みんなまだ寝てるから俺の部屋でネットでもする?あ、俺昨日ブログ更新するの忘れて寝ちゃった。せっかくの大晦日だったのに。」
「ブログって誰かいると書けないものね。お姉さんの部屋にいようか?」
「いや、裕美がそばにいてくれないと泣いちゃうよ」
「甘えん坊さんなんだから。私もだけどね」
そのまま1時間位俺の部屋でパソコン開けてネットしてた。いつもの通りアメブロのランクとか見ながら一喜一憂して過ごした。当然昨日更新しなかったからDownだったけどな。あとは新聞読まずにネットの新年のニュースをあれこれ話しながら時間が過ぎていった。
ガタゴト音がした。東部屋で寝てるおかんが眼を覚ましたようだ。二人喋るのを止めてしばらくひっそりしてた。おかんだ。ドアを開けてトイレに入ってそのまま下に下りていった。
「もうしばらく待ってよう」
「どうして?」
「今日出かけるからおかんも化粧するよ。そんなときに顔合わせたら向こうもムッとするだろうし。それにまだ裕美と一緒にいたいよ」
「そうね。それと、女性のヒトって自分がお化粧してるとこ見られたくないものだよね。こういうときはそっとしてあげた方がいいか」
「だろ。でもそろそろネットも厭きてきたし。何か訊きたいことある?ここでしか訊けないこともあるかもしれないし」
「そうね・・・、鮫君って元々尼崎に住んでたの?」
「言ってなかったな。違うよ。ウチって元々尼崎のまだ北にある朝来ってとこなんだ。って知らないか?」
(続く)