遠い星80(帰郷編Ⅱ⑩) | たろすけ日記

「うーん、俺って元々明るかったよね?」俺。

「どこが!?」姉ちゃんと志奈子。

「熱くてとっても美味しいです。出来立てのお餅食べたのもしかして初めてかな?」裕美。

「だろ、ウチの餅は美味しいんだって!良かった。彼女もウチの一員になったな」俺。

「あんた、裕美さん大事にしなきゃ、ね。でもウチのカラーに染めていくのはまだ早い。裕美さんってまだ子供子供してるし」姉ちゃん。

「裕美さんは裕美さん。お兄ちゃんがどんなにしたって変わるわけない」志奈子。

「志奈子ちゃん、私ずいぶん変わったよ、小田島君と付き合い始めて」裕美。

「え!?どう変わったの?教えて教えて!」志奈子。

「それはね・・・」裕美。

と話してるときに、おかんから
「もう炊けたわよ、鮫行、重いけどしっかりね」

「あ、出来たんだ。よし!」炊けたお餅をお櫃から取り出して食卓の小麦粉撒いたところに置いた。「うん、出来た。次お餅千切るよ」俺。

「ええ、お父さんにそれ渡してから手伝って」とおかん。

「よっしゃー」と両手に小麦粉つけてまだまだホカホカの餅を千切り始めた。千切った餅をおかん・姉ちゃん・志奈子・裕美が綺麗に丸めていく。

それぞれの役割分担をきっちり済ませたおかげで滞りなく終了。途中茜ちゃんが眠ってしまい姉ちゃんが抜けてしまったけどね。

残りもマイペースで終わった。ウチの餅つきも疲れたけど無事終わってホッとした。餅は既に大きなプレートに並べられている。こんな時期だからあんこ入りの餅も腐ることはない。疲れた。

後はしばらくぼんやりしてるだけか。もうどこにも行きたくないし。でも・・・。家族は食卓座ってのんびりしてる中、俺は裕美とリビングのソファに座った。

「ご苦労さん。お餅つきも無事終わったね。これからしばらくしてお風呂沸かして入ってもらって・・・、菜摘、今晩どうするの?寛さん来るの?」おかん。

「悪いけど、私帰るね。寛さん多分もう帰ってると思うし、茜も落ち着いて眠れないだろうし。また改めて来ますね」姉ちゃん。

「そう、寛さんもどうしたのかねぇ。茜ちゃんまだ寝てるけど、起きてから帰る?」おかん。

「そうね。今起こしたら泣いちゃうし、ちょっとそのままにしとこうか。その間に・・・」姉ちゃんは俺たちのいるソファに来て「鮫行と裕美さんにちょっと訊かせてもらっていい?」

「え?何、また急に」俺。

「あんたみたいなのがどうしてこんな人と付き合ってるのか知りたくなっただけよ」姉ちゃん。

志奈子のときと同じだなと思って頬を緩めてしまった。それ聞いて志奈子もこっちに来たけど。

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(続く)