遠い星79(帰郷編Ⅱ⑨) | たろすけ日記

「茜ちゃん忘れてた。ずっとほったらかしてたからな」お茶飲んだ後、茜ちゃんはしばらく座っていたが、退屈になったのか俺たちのそばで腰下ろして小石を拾って一人遊びしてたのだ。「茜ちゃん、ごめんね。もうおうち帰ろうか?」

「うん、おじちゃん、だっこ」

「はいはい、だっこはちょっと難しいからおんぶして帰ろうね」茜ちゃんをおんぶして家に帰った。その光景は若夫婦と一粒種の子供って感じで違和感なかったな。裕美との結婚。具体的にはまだ何も決まってないけど、裕美と結婚したい。しばらくは二人で生活送っていつかは子供も欲しい・・・。

と思う間もなく、帰ると家族はみんな餅つきに忙しかった。食卓に餅つき機置いて回りに新聞紙敷いて餅作ってる。

「ただいま、遅れてごめん、手洗って手伝うよ!」

「遅くなってごめんなさい、すぐお手伝いしますね」裕美と一緒に洗面所行って珍しく石鹸で手を洗って食卓に行った。

「お帰り、楽しめた?これから炊けた餅米出すから適当に千切って丸めて。鮫行は千切る係りで裕美さんは丸めてね。それと適当にあんこも入れないといけないけどこれは私がするから。ほら、あんたたちもちゃんとやってね!」

「は~い」tension低いな。姉ちゃんも志奈子も低血圧。茜ちゃんはじっと餅見てる。食べるなら姉ちゃんが千切ってやらないと喉詰まらせてマズイことになるな。おとんは餅米の水洗い役で次の餅米既に洗い終わってて暇そう。

大勢でやった方が手っ取り早い。確か餅炊くのは4回やってよな。後2回か。もち米が炊くのを待ってあんこ入りの餅を一つ頬張った。

「うん、美味しい。正月気分が味わえる」

「これ、鮫行、裕美さんがいる前ではしたない!」

「ごめーん、いつもならこんなこと当たり前なのにな。あ、ゴメン。まだ遠慮してるな。裕美も食べたらみんな同じになる。食べてみて」

「え、私はいいよ。お母さんのサンドイッチでお腹いっぱい」

「えー、裕美って小食やなぁ。それに比べてこの人たちのよく食べること!何個食べたの?」姉ちゃんと志奈子に顔向けた。

「あんたも裕美さんの前なんだから遠慮しなさいよ」と姉ちゃん。

「酷~い、私まだ2個しか食べてない」と志奈子。

「彼女みたいな小食になりなさい!ってウチじゃ無理か。いっつもガバスカ食べてるもんな」

「ええカッコしぃ。裕美さんの前でそんなに威張りたいか」と志奈子。

「お母さん、志奈子ちゃん、お餅いただきます」また裕美のフォロー。俺も言い過ぎた。

「悪い。言い過ぎた。別にお前馬鹿にして言ったんじゃない。分かって欲しいけど」

「素直になったね。それでいいのよ。でもあんたホント変わったね。昔は全然喋らなかったのに。裕美さんと付き合い始めたからかな?」と姉ちゃん。
(続く)