遠い星77(帰郷編Ⅱ⑦) | たろすけ日記

裕美も楽しそうだった。普段の食事はいつも一人のようだし、そうなると会話なんか出てこない。寂しい食事なんだろうな。少しでも俺の家族の会話聞いて仲間に入って欲しかった。そうは思っていても、裕美は相変わらず聞く一方で終わったが・・・。

「ごちそうさまでした」食事も終わり、餅つき機の準備をして、後は姉ちゃん一家が来るのを待っていた。13時半になろうとしていた。

「こんにちは」そうこうするうちに姉ちゃんたちが来た。裕美を連れて玄関に行った。玄関には姉ちゃんと茜ちゃんの二人で寛さんは来てなかった。

「コンチハ。久しぶりやね。こちら今お付き合いさせてもらってる横山裕美さん。今日からしばらくここ泊めてもらうよ」

「菜摘さん初めまして、横山です。いつもでしたら親子水入らずの年末に押しかけてしまってごめんなさい。今日はよろしくお願いします」

姉ちゃんはちょっとあっけに取られたような表情(多分裕美の綺麗な顔に)だったが、

「初めまして。菜摘です。もう結婚しちゃってこの家出てますけどよく帰ってますよ。鮫行がお世話になってるみたいで、これからもよろしくね。茜もご挨拶しなさい、って分かんないか」茜ちゃんはぼんやり回りを見ていたが、

「こんにちゎ」と小さな頭でちょこんとお辞儀してくれた。その仕草がとっても可愛かったので、

「こんにちは!茜ちゃん、鮫行だよ、茜ちゃんのおじちゃんだぞ、分かるかな?」って言ってしまった。だって可愛いんだもん、姉ちゃんと違って?・・・姉ちゃんはちょっと棘があるからあんまり話さない。俺が高校の頃からずっとそうだった。姉ちゃんはどことなく唯我独尊的な性格でB型特有の自己中心的な性格。俺にはそれが合いそうになかった。

「・・・わかんにゃい」ちょっぴりしょんぼりしてる茜ちゃん。いいなぁ・・・。ふと思いついて、

「姉ちゃん、茜ちゃんと公園行ってきていい?」

「え?でもあんた餅つき手伝うんじゃないの?」

「いいよ、行っといで」とおかん。

「じゃ、まかせるよ。私も子守り疲れたしね」

「アリガト。じゃ茜ちゃん、一緒に公園行こ!裕美も来て」裕美も当然誘った。

「こうえん、いきまっしょ!」どんな仕草も可愛い茜。思わず微笑んでしまう。

「可愛いな、私もお供するね。お母さんごめんなさい、お手伝いちょっと遅れます」とは言いつつも嬉しそうな裕美。

「いいよいいよ、せっかくのお休みだもの。ゆっくりしてらっしゃい」

「鮫行、オムツはもう取れてるけど、おしっことか気をつけてね」

「はーい。じゃ、行ってきます!」と言って3人家を出た。

10分で着いた大井戸公園。バラで有名?な公園だが今は咲いてない。あるのは樹木くらいか。滑り台もブランコもないから茜ちゃんは怒るか。やっぱり尼崎離れてるから茜ちゃんも俺のことは誰だか分かってなかったが、単純に公園で遊べることに喜んでた。

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(続く)