タクフェス第7弾
流れ星
初めてこの演目を観たのは関学「演劇グループSomething」さん、その2年後同じく関学の「狸寝入」さん。
どちらもとってもとっても良くって、大いに笑って泣かされました。
今回で3回目!
それも本家の宅間さん演出で、タクフェスとしては、初。
この日を指折り数えて待っていました。
主演は田中美佐子さん、夏子のイメージにピッタリ!
魔女役の飯豊まりえさんは、存じ上げなかったんですが、40万人のフォロワー数ということでビックリ!
幸運なことに発売直後に予約したチケットは4列目ゲット!
【大阪公演期間】 2019年12月4日(水)~8日(日) 貸切公演を含め全7回公演
【会場】 シアタードラマシティ
【脚本・演出】 宅間孝行
【出演】※観劇回のキャストです。
星野夏子 ‥‥ 田中美佐子
魔法使いマリー ‥‥ 飯豊まりえ
徳田夏子 ‥‥ 柳 美稀
内藤ヨージ ‥‥ 富田 翔
中富先生 ‥‥ 三津谷 亮
ボン ‥‥ 冨森ジャスティン
田淵兼子 ‥‥ 近藤くみこ(ニッチェ)
一平くん・信彦 ‥‥ 松村 優
どんぴさん ‥‥ 越村友一
小田ヨウコ ‥‥ 遠藤瑠美子
駒村さん ‥‥ 若林元太
徳田慎太郎 ‥‥ ダンカン
星野謙作 ‥‥ 宅間孝行
【ストーリー】
東京の片隅にある古びた下宿屋「徳秀館」。星野謙作と夏子の熟年夫婦が営んでいるが、2人の間は冷え切っていた。そんなある日、会話らしい会話もなくいつものように出かけた謙作は、出かけた先で突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。
それから初七日を終えたある夜、夏子の前に突然、魔法使いだと称すマリーが現れ、夏子の願いを四つ叶えてくれるという。半信半疑の夏子だったが、人生をやり直すため、謙作と結婚をする前の時代にタイムスリップをすることに。
そして夏子とマリーは、1970年、昭和45年へ。
…果たしてマリーの正体は?目的は?夏子の知らなかった事実が、次第に明らかに…。
ストーリーオフィシャルサイトからのコピペを上にも載せています。
1910年。星野謙作と妻 夏子が営んでいる年季を感じさせる古びた木造下宿屋「徳秀館」が舞台。
冷え切った関係の40年連れ添った熟年夫婦の会話で始まる。妻に「お茶!」と言う謙作に、渋々重い腰を上げ露骨に嫌な顔で応じる 夏子。昔からの顔見知りのドンピさんが近所の新聞を回収に回ってきた。ドンピさんに愛想よく対応するも、仕事を終え帰っていくとまた2人の重苦しい空気に包みこまれる。
商店街の福引で当たったんだ」と言って夏子の眼の前に茶封筒置くも、つれない素振りの不機嫌な夏子。はかなく床にひらひらと落ちる茶封筒が2人の冷めた間柄を物語る。夫が居るだけで不愉快なようだ。「亭主元気で留守がいい」ってことだろう。
いつものように「手間だろうから、夕飯は外で食ってくる」と言って出かけた謙作。
だが、出先で事故に遭遇、帰らぬ人となってしまう。
その後通夜・葬儀・初七日かとバタバタと日々は過ぎ、少し落ち着いた謙作の死後10日目に夏子の前に突然魔女は現れた。魔女はマリーと名乗り「四つのお願い」を叶えて上げると夏子に宣言する。ただし、死んだ人を生き返らせることと人を殺すことはできないという。信じない夏子に、マリーはステッキを一振り、椅子を天高く持ち上げて見せ「はい、1つ目のお願い終了」と宣言する。
「2つ目の願いは?」のマリーの問いに、熟考しひらめいた夏子は「私は夫に騙された。夫により追い出された40年前にここで下宿していた中富先生との恋を実らせたい。」と言う。
夫は、家や私をほったらかして一人休日は山登りに出ていくのだと不満を吐露する。それに恋も引き裂かれ騙されて結婚したのだと訴える夏子。
「40年前に戻って私の人生をやり直したい。」と願う。
ということで、ステッキを一振りで物置をタイムマシーンに変え、約40年前の大阪万博の開催された1970年へタイムスリップ!1970年の「徳秀館」に、マリーと共に降り立つ夏子。
服装が時代遅れて野暮ったいとその頃の服装に変わってしまってると笑い合う2人。
生前の父 慎太郎や当時の下宿人の面々が懐かしく、もちろん意中の人、中富先生も居た。
そして、当時の若く可愛い自分(夏子)にも出くわし、惚れ惚れ。当時の夏子と中富先生は、お互いに照れながらも恋に発展しそうなイイ感じの会話に、未来から来た夏子はテンションマックス!自分自身を始め、懐かしい当時の面々に話しかけ、ドン引きされる。(笑)
父 慎太郎を前にマリーは夢野マリーと名乗り、夏子はその母 夢野夏美と名乗る。(以降 未来から来た夏子は夏美と記します)ここで住み込みで働かせて欲しいと頼み込む慎太郎は夏美に亡き妻の面影をみつけ、「どこか似てるなぁー」とポロリと呟く。(当たり前ですね。母娘なんだから(笑))
人手不足解消はありがたいが借金もあり「金は出せない」という慎太郎だが、「食事と住むところさえ与えてくれれば給与は要らないから」という2人の申し出に快諾する。
そして、ここへ謙作が現れ2人の出会いのシーンが再現される。
マリーに「最悪だった初対面を」を観ていてという夏美は、部屋の奥へ消え、謙作が黒人とのハーフでアフロヘアのヨージをしたがえて慎太郎の借金を取り立てにやってきた。来客に夏子がお茶を入れ、平謝りに「借金は待ってくれ」という慎太郎に「すぐに払えと」すごむ謙作。父が責め立てられることに苦しむ夏子だが、マリーが「ここで2人も住めば?どうせ返済してもらえないなら、借金を毎月の家賃で相殺して徐々に返済してもらえば?」との提案。シブシブながら納得する謙作。ヨージと共にここでその日から住み込むことに…。
「映画が大好き」という夏子は、中富先生と映画などでデートを重ねる。同じ屋根の下で暮らす中で徐々に気になる存在になり、密かに想いを寄せる謙作も中富先生と張り合うつもりはなく2人の関係を見守る。また謙作は映画関係者の友達がいるらしく「どんな映画でも好き」という夏子に、今度チケットを「プレゼントしてあげると約束する。
ある日、1人出かける謙作に上着のボタンのほつれを見つける夏子。「そんなのいいよ」という謙作を諭し、針と糸で手早く縫い付ける家庭的な夏子。その際の謙作に映画のチケットのお礼にちあきなおみの「四つのお願い」のレコードをプレゼントすると告げる夏子。2人の仲も急接近。それを見守る夏美は不愉快に違いない。謙作には夏子を近づけたくないのだから…。
ここで脇役のキャストを紹介。
実は実家がブドウ農園のお金持ちで東大一筋の8浪くらいしてるど近眼の万年浪人生、駒村。
自らの執筆の詩集を路上で売る、実は傷つきやすい詩人、兼子。
何かといえば「LOVE & PEACE」と叫び、ジョン・レノンを崇拝する、ボンとヨウコ。
すでに紹介済みだが、英語教師ながら休みの日には科学雑誌を読み漁る秀才、中富先生。
中富先生を師と仰ぐ大学生の一平君。
などの下宿人の面々に近所の「ドンピシャ!」が決め文句の古新聞古雑誌回収を生業とするドンピさん・慎太郎が加わってのドタバタで、笑いどころが満載で展開される。
ここらへんは、舞台の笑いどころでお腹が捩れるほど笑かされる。
兼子の「志集」(詩集)の朗読会。
怪しすぎる駒村くんの言動。
ボンとヨウコの恋の行方などなど…。
ある夜、謙作が居間に夜ひとりで居るとマリーが現れて不思議な隕石の話をしだす。
ずっと昔、凄い力を持った星が地球に激突。その欠片は粉々になってあちこちに飛び散った。それらの破片の石はよく見ると☆の印がついてて山などどこででも見つけることができるという。それを88個集めると魔女が目の前に現れ、1つだけ願いを叶えてくれるという。但し人を生き返らせることと殺すことはできないとらしい。
それをしてしまうと、魔女自身が流れ星になってしまうのだとか…。
「流れ星はみんな魔女なんだろう」と信じがたいマリーの話だが、夢のある話を聞いて夜空に想いを馳せる謙作だった。
そんな中、近所で小さな爆弾を利用した爆破事件が起こる。一番に怪しまれるのは、東大志望のガリ勉 駒村で警察に任意同行を求められ連れていかれる。やがて容疑が晴れて釈放されるも、真犯人がわからないまま、モヤモヤと日々が過ぎる。
ある日、謙作が中富先生に借りた本の続きが見たく我慢できなくて留守中の先生の部屋を外から覗き、一人とんでもないものを部屋の中の様子を目の当たりにする。
そう、爆破事件の犯人は中富先生だったようで、部屋の中は爆弾づくりの部品などで溢れていたようだ。科学雑誌を購読していたのもそのためだったようだ。
中富先生に詰め寄る謙作に「私は今の社会を変えたい」と、自らの活動を真っ向から主張する。「暴力で何も変わらないよ」と説く謙作に「よりよい国家を創るため、仲間とこれからも行動を共にする」と告げ、話しは平行線に。「好きな女一人を守れないのに…」と追い打ちをかける謙作に暴力を振るわないことを約束して中富先生は出ていく。その際、「夏子を守ってあげて欲しい」と謙作に気掛かりな想いを託す。
その後、中富先生は、意見の違いからか仲間からのリンチに合い殴り殺されることに…。だが力尽きるまで中富先生も暴力を振るわなかったと慎太郎から聞く。そして、この事実は夏子にだけは教えないで欲しいとお願いする。
それを陰でそっと聞いている、マリーと夏美。
知らなかった真実に驚く夏美は涙するも、それに乗じて「謙作さんはいい人だ!」というマリーに、「あなたに何がわかる? ずっとほっとかれて、私はあの人と40年連れ添って来たのよ!」と、それでも謙作に対する積年の恨み事をマリーに訴える。
すると、マリーは「謙作さんの本当の胸の内を教えてあげる。それが3つ目のお願いでいいですか?」と静かに呟く。夏美は頷き、それから数十後へ再びタイムスリップ。
数十年後の「徳秀館」は、世代が変わり、一平の息子 信彦が登場。荷物を置いて新宿への行く道を謙作に尋ねる。母と同様に志集を売りに行くという。そう、一平と金子は結婚していたのでした。母譲りだと苦笑いの謙作。駒村は東大を断念し実家の広大なブドウ農園を継ぎ、毎年謙作の元へブドウが届いていた。
ふと一人になった下宿の居間で「丁度いい」と謙作は大事そうに重そうな箱を取り出す。
箱を開けると88個の石が入っていた。
夏美が「休みのたびに一人で山へ行って、家を顧みない」と謙作へグチは、この石を集めるためだったのだ。
「やっと集まったぞ」と謙作が言うと、暗闇に石たちは光だし、マリーがそこへ現れた。
「やっぱり魔女だったんだ」と謙作。しかし、マリーには何のことだかわからない。1つだけ願いを叶えてやるというマリーに。
「これまで幸せにしてやれなかった妻に私が死んだら、妻の前に現れて『四つのお願い』を叶えてやって欲しい。こんな願いは無理かい?」と問う。
「大丈夫!」あっさり受け入れてマリーは、「なぜ『四つ』なの?」と問い返す。
自分が妻から初めてプレゼントされたレコードがちあきなおみの『四つのお願い』だったと打ち明ける謙作。
「自分が死後、バタバタするだろうから、10日後あたりの落ち着いた日に妻の前に現れてくれないか。」とお願いする。
このやりとりは陰で聞いていた夏美、いや夏子は、初めて夫の深い愛を知って、泣き崩れる。
そして四つ目のお願いとして、「もう一度、夫謙作に逢って想いを伝えたい。」と懇願するのです。
そして、我に返ると冒頭のシーンが繰り返される。
ドンピさんが現れて古新聞を集めに来た。
「あ、あの日だ!」と独り言をつぶやく夏子。
謙作が「お茶!」と呟く、あの日と全く同じなのに、感じ方が全く違う。両目から溢れ出す涙を拭うのに必死な夏子。
「ご飯は、外で食べて来た方がよさそうだな。」という謙作に、
「用意しているから、必ず帰ってきてね。」と夏子。最期の会話とわかっている夏子は泣けて泣けて仕方がない。
そこへ持ってきて「福引で当たったんだ。」と茶封筒を渡される。冒頭のシーンでは見向きもしなかった封筒だが、今度はしっかり受け取り開けてみると中には映画のチケットを入っていた…。
もう、胸が引き裂かれそうな想いの夏子の心中が痛いほどわかる。
「今までこんな私と長年連れ添ってくれて、本当にありがとう。」と、四つ目の願いの目的を果たす。
「じゃあな」といつものように出ていく謙作。
真っ暗になっていく舞台、空だけ明るい。そこへ一筋の流れ星が滑るように流れて…(幕)
冒頭のシーンから、やっぱりラストを知ってるだけに、胸を打つものがありました。
やっぱり良く作品だと、しみじみ思いました。
主演の田中美佐子さんは、やっぱりいいですね。
過去に戻ったシーン、過去の自分や懐かしい面々にオバちゃん的にガンガン話しかけに行くのはほんと可笑しかった。また「あなたは、そのままでいい。将来ビッグな女優になるから」と兼子に予言したり、お節介を焼くところも絶妙で面白かったです。
でも、自分がもし過去に戻っても同じように自分に助言したり、懐かしい顔にはしゃいでしまうだろうなと思います。
それでも、若い頃の自分も悩み苦悩し決断し日々生きているのだから、それも尊重しないとね。
マリー役のまりえちゃんも良かったね。
夏美が悪役のレッテルを貼る謙作を自分の目で観察。彼の言動、例えばアメリカ軍の父と売春婦の母という両親の元に生まれ「アイノコ」と幼少期に虐められ育ったヨージに「あいのこは『愛の子』だから…」と励ますエピソードなどから心の温かい人だと判断し、謙作の夏子への恋の後押しする。
魔女の話の会話や二人きりで交わすマリーと謙作の会話のシーンはどのシーンもとても素敵でしびれました。
あと、3回目にして気づきました。
ラストシーンで流れ星が流れます。
これはずっとタイトルにもなっているし、この舞台を象徴する演出として観ていましたが、深読みすると4つ目の願い事を叶えた直後の流れ星。
もしかしたら、マリー自身が流れ星になったのかもしれませんね。
マリーが言ってましたよね。
人を生き返らせることと殺すことはできないとらしい。
それをしてしまうと、魔女自身が流れ星になってしまうのだとか…。
そう考えると、マリーは謙作の愛の深さに ほだされ魔法を使い、謙作を事故から回避し生き返らせ夏子の待つ徳秀館へ無事に帰らせたとも、とれますね。
それを想像すると…、謙作と夏子、2人はその後どのように過ごしたのかな?
きっと幸せに過ごしたことでしょう。
と、考えもつきません。
観劇後も感動を引きずる素晴らしい舞台でした。
また、学生劇団などでこの演目を観れることを楽しみにしています。
宅間さん演出じゃなくても、ぜんぜんいいので関西の劇団でもやってくれないかなー。
その時は、マリー役は澤井里依さん。駒村さん役は、元2VS2の長橋さんとかで観れたらいうことないです。(笑)
もちろん満点の星。
★★★★★