(務川慧悟&反田恭平の新譜 ルトスワフスキ パガニーニ変奏曲 ブラームス ハイドン変奏曲) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、務川慧悟&反田恭平の新譜が発売された(Apple MusicCD)。

曲目は、ルトスワフスキのパガニーニ変奏曲、ブラームスのハイドン変奏曲、フォーレのドリー組曲である。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

ベストバディによる2台ピアノシリーズ第2弾!

反田恭平と務川慧悟のピアノアンサンブルシリーズ第2弾!
2012年に日本音楽コンクールで同率1位を獲得し、反田はロシアとポーランドへ、務川はフランスへ、それぞれの留学先で研鑽を積み2019年の初共演から2台ピアノの世界を広げてきた二人がお届けする新たな一枚。
近代のポーランドが生んだ「ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲」、オーケストラのサウンドでも親しまれる「ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56b」、子どもへの愛が詰まった連弾の名曲「フォーレ:ドリー組曲」というピアノアンサンブルの王道プログラム。(販売元情報)

【収録情報】
● ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲
● ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b
● フォーレ:組曲『ドリー』(連弾)


 反田恭平(ピアノ)
 務川慧悟(ピアノ)

 録音方式:ステレオ(デジタル)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

 

 

 

最初の曲は、ルトスワフスキのパガニーニ変奏曲。

この曲で私の好きな録音は

 

●アルゲリッチ、フレイレ(Pf) 1982年8月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●反田恭平、小林愛実(Pf) 2021年12月8日東京ライヴ(音源)

 

あたりである。

また、2017年に聴いた佐藤卓史&山本貴志の実演にも圧倒された(その記事はこちら)。

 

 

今回の反田恭平&務川慧悟の演奏は(2023年ツアーと同じならPrimo:反田恭平、Secondo:務川慧悟か)、上記の迫力に満ちた名演たちに比べるとおとなしい。

2人ともライヴの人であり、セッション盤ではそうはいかないのは致し方ないか。

ツアーでの演奏はすごかったようであり、ライヴ録音がもしあれば聴いてみたいものである。

 

 

 

 

 

次の曲は、ブラームスのハイドン変奏曲(2台ピアノ版)。

この曲で私の好きな録音は

 

●小林愛実、反田恭平(Pf) 2021年12月8日東京ライヴ(音源)

 

あたりである。

この曲はオーケストラ版が有名で、フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュやカラヤンの名盤がある。

このような感動的な演奏は、2台ピアノ版では表現不可能だとずっと思っていたのだが、小林愛実&反田恭平のライヴ音源を聴いた際、そんな自分の想像力の貧弱さを痛感したのだった。

小林愛実の美しい情感の発露に反田恭平の雄弁な分厚い低音、たった2台のピアノでも大オーケストラに負けない感動的なブラームス演奏が可能であることを思い知らされた。

 

 

今回の反田恭平&務川慧悟の演奏は(2023年ツアーと同じならPrimo:務川慧悟、Secondo:反田恭平か)、それとはまた違った、より淡々としたもの。

小林愛実&反田恭平だと冒頭のテーマからして大変にロマン的で、ぐっと心を掴まれてしまうのだが、今回の演奏はテーマのメロディも低音部も控えめで、より一般的な弾き方となっている。

これはこれで悪くないのだが、この曲もライヴならさらに感動的だっただろうか?

 

 

 

 

 

最後の曲は、フォーレのドリー組曲。

この曲で私の好きな録音は

 

●ヴォロンダ、ヴァンデン・エインデン(Pf) 1989年セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●ル・サージュ、タロー(Pf) 2012年10月25-28日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

 

あたりである。

いずれも、フランスのエスプリとはこういうもの、といったお手本のような演奏。

抒情的なヴォロンダらと理知的なル・サージュら、とそれぞれ個性が際立っているのも良い。

 

 

今回の反田恭平&務川慧悟の演奏は(2023年ツアーと同じならPrimo:務川慧悟、Secondo:反田恭平か)、ライヴのノリを要する曲でないからか、あるいは務川慧悟得意のフランス物だからか、先の2曲よりも好印象。

この組曲で私が最も好きな第3曲「ドリーの庭」については、上記の2種の名盤があまりに美しいため敵わないが、それ以外の曲については十分に匹敵する。

特に、第1曲「子守歌」中間部のシンプルなメロディの、濁りそうで濁らない幽玄のペダリングが何とも絶妙で(務川慧悟か)、ここについては上記名盤をも上回る最高の演奏だと感じた。

 

 

 

 

 

Two Pianos 2 - 反田恭平 · 務川慧悟 - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=PrCl94GMPMw&list=OLAK5uy_kvwXw6L_ADNXdbH6nWFRyox2bmQJGsfRI

 

 

 

 

 

 

ところで、書きそびれてしまったが、昨年にも務川慧悟の別の新譜が発売されたのだった(Apple MusicCDYouTube)。

ラヴェルのピアノ・ソロ曲全集である。

そちらも良かったらぜひお聴きいただきたい。

 

 

 

 

 

なお、務川慧悟のこれまでのCDについての記事はこちら。

 

務川慧悟のデビュー盤 ラヴェル クープランの墓 バッハ 最愛の兄の旅立ちに寄せて

務川慧悟の新譜 ラヴェル ヴァイオリン・ソナタ ツィガーヌ

務川慧悟&反田恭平の新譜 ラフマニノフ 組曲第2番 ラヴェル スペイン狂詩曲

務川慧悟の新譜 ショパン バラード第1番 ラフマニノフ 楽興の時 ブーレーズ アンシーズ

 

 


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