(務川慧悟のデビュー盤 ラヴェル クープランの墓 バッハ 最愛の兄の旅立ちに寄せて) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

昨年のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールのピアノ部門(その記事はこちらなど)で見事第2位を受賞したピアニスト、務川慧悟。

彼のデビュー盤が今月発売予定となっている(Apple MusicCD)。

曲目は、ラヴェルの前奏曲イ短調、クープランの墓、メヌエット嬰ハ短調、「…風に」、ハイドンの名によるメヌエット、リストのバラード第2番、J.S.バッハのカプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」。

発売前だが、Apple Musicではもうすでに聴けるため、さっそく聴いてみた。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 

これは期待通りの出来栄え。

ラヴェルの「クープランの墓」は、“スイスの時計職人”といわれたラヴェルの曲だけあって、

 

●三浦友理枝(Pf) 2004年12月22-25日セッション盤(Apple MusicCD

●ソン・ヨルム(Pf) 2015年頃?セッション盤(Apple MusicCD

 

といった精巧な人工美を感じさせてくれる演奏が私は好きなのだが、今回の務川慧悟盤もこれらに劣らぬ完成度となっている。

加えて、彼らしいフランス風の洒脱な雰囲気も出ている。

その意味では、少しサンソン・フランソワ風ともいえるかも(フランソワのように勢いで流すところはなく、より緻密で真面目だが)。

ラヴェルの他の小曲やリストのバラード第2番も同様。

 

 

最後の、バッハの「最愛の兄の旅立ちに寄せて」は名盤が多い。

ピアノに限っても(つまりチェンバロは除く)、ギーゼキング、ケンプ、テューレック、ニコラーエヴァ、フライシャー、園田高弘、グルダ、リュプザム、ヒューイット、ル・ゲ、カツネルソン、カバッシ、バーラミ、バッケッティ、カヴェー、シュタットフェルト、カドゥシュ、ギルハム、ジュニエ、シムクスといった数多くのピアニストによる良演が残されている(先ほどの「クープランの墓」に比べ、私の中で“良い演奏”のハードルが低いのもあるだろう)。

今回の務川慧悟盤も、これらに並ぶ出来。

特に、第4曲での緩徐でしっとりとした柔らかな奏法と解釈、第5曲のポストホルン風アリアでの快いテンポとリズム感、第6曲のフーガでの安定したタッチとテクニックが素晴らしく、上記の各名盤に比べとりわけ優れた点だと思う。

 

 


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