今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。
好きなピアニスト、チョ・ソンジンの演奏音源がネット上で放送された。
2010年8月13日、ポーランドのドゥシニキ=ズドゥルイでのライヴ音源である。
曲目は、シューマンのアベッグ変奏曲とフモレスケ、ショパンのバラード第1番と「12のエチュード」op.10、それからアンコールとしてドビュッシーの「月の光」、ショパンのノクターンop.9-2と英雄ポロネーズ。
当時彼は16歳だった。
演奏は期待通りで、シューマンのアベッグ変奏曲は私の好きなノ・イェジンの浜コンライヴや丸山凪乃の名古屋ライヴDVD(その記事はこちら)にほぼ匹敵するし、フモレスケも、彼自身の近年の演奏(その記事はこちら)に聴かれた甘美さはまだないにしても、やっぱりうまくて聴き入ってしまう。
ショパンのバラード第1番も良いのだが、ややスマートにすぎるきらいはあって、主要主題はもう少しじっくり歌ってほしく、またコーダはもう少しがっついてほしい気もする(私の好きなポリーニやフアンチのように)。
とはいえ、展開部後半の軽快なパッセージなど誰よりもうまい。
ショパンの「12のエチュードop.10」、これを彼の演奏で聴けるとは。
後年のショパンコンクールでも弾いた、彼得意のop.10-1(こちら)、op.10-2(こちら)、op.10-10(こちら)あたりは、この頃からすでに文句なくうまい。
それ以外の曲は、彼の演奏としては今回初めて聴くが、全体として完成度が高く、穴が少ない。
欲を言うと、op.10-4(こちら)やop.10-12「革命」(こちら)はポリーニくらい激しく弾いてほしかったり、op.10-5「黒鍵」(こちら)やop.10-7(こちら)は古海行子くらい攻めのテンポで弾いてほしかったり、と各曲少しずつ注文はある。
それでも、12曲全体として見ると、ポリーニ盤に次ぐくらい、ロルティ盤に並ぶくらいの相当なレベルに達しているように思う。
なお、この音源、YouTubeにもアップされているようであり(そのうちに消去されそうだが)、興味のある方はお早めにぜひ。
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