第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 2次予選 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ポーランドのビドゴシチで開催されている、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

11月16日は、2次予選の第2日。

ネット配信を聴いた(No.1No.2No.3No.4-1No.4-2)。

なお、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 出場者発表

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

2次予選 第1日

 

 

9.

17. KIM Saetbyeol – Republic of Korea (25.12.1994)

 

C. Debussy – La plus que lente, L. 121

F. Mendelssohn – Fantasy Op. 28

I. J. Paderewski – Miscellanea: Melody, Op. 16 No. 2

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Cracovienne fantastique, Op. 14 No. 6

S. Rachmaninov – Sonata No. 2 in B-flat minor, Op. 36

 

ピアノはファツィオリ。

音色はやや硬めだが、きびきびした小気味よい演奏。

テクニックがかなりあり、特にメンデルスゾーンの終楽章が見事。

緩徐な曲での表現力もある。

ラフマニノフも、深々とした音はないが、きりりと引き締まっている。

上位に進むであろう一人。

 

 

10.

54. YOO Se-Hyeong – Republic of Korea (28.02.1990)

 

I. J. Paderewski – Polish Dances: Mazurka in A major, Op. 9 No. 3

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Burlesque, Op. 14 No. 4

S. Prokofiev – Pieces for piano from the ballet Romeo and Juliet Op. 75

  No. 4 Young Juliet

  No. 5 Masks

  No. 6 Montagues and Capulets

  No. 7 Friar Laurence

  No. 8 Mercutio

  No. 10 Romeo Bids Juliet Farewell

A. Scriabin – Sonata No. 5, Op. 53

 

ピアノはスタインウェイ。

落ち着きのある大人の表現力を持つ。

プロコフィエフ、ショーピースとは思えない説得力ある演奏。

スクリャービンも、主部のテンポが遅めだがその分しっかりとタッチコントロールされ、下手にロマン派的に崩すことなく、思慮深い。

彼も上位に進むだろう。

 

 

11.

51. WIECZOREK Marcin – Poland (12.07.1996)

 

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Cracovienne fantastique, Op. 14 No. 6

I. J. Paderewski – Miscellanea: Nocturne, Op. 16 No. 4

I. J. Paderewski – Miscellanea: Thème varié in A major, Op. 16 No. 3

F. Chopin – Ballade No. 1 in G minor, Op. 23

S. Prokofiev – Sonata No. 7 in B-flat major, Op. 83

 

ピアノはファツィオリ。

1次では粗さがありながらも勢いが良いと感じた彼だが、今回は粗さのほうが目立ってしまった。

また、暗譜が飛んでしまう痛いミスが何度かあったのも残念。

 

 

12.

04. CHEN Xuehong – China (12.12.1999)

 

F. Schubert – Sonata in A major, D. 664

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Menuet, Op. 14 No. 1

I. J. Paderewski – Miscellanea: Nocturne, Op. 16 No. 4

I. J. Paderewski – Polish Dances: Mazurka in B major, Op. 9 No. 4

S. Rachmaninov – Sonata No. 2 in B-flat minor, Op. 36 (1931)

 

ピアノはファツィオリ。

1次で聴かれた明るい歌心が、今回のシューベルトでも発揮されており、なかなか悪くない。

ラフマニノフもどこか明るくまったりした余裕のある演奏となっており、ラフマニノフらしいかどうかはともかくとして、これはこれで面白い。

もう少しテクニックがあるとなお良いものの、1次よりは少し好印象。

 

 

13.

07. HA Gyu Tae – Republic of Korea (07.11.1996)

 

M. Ravel – Ondine from Gaspard de la Nuit

I. J. Paderewski – Album de Mai: Au Soir, Op. 10 No. 1

I. J. Paderewski – Album de Mai: Scherzino, Op. 10 No. 3

R. Schumann  – Kreisleriana, Op. 16

 

ピアノはファツィオリ。

ラヴェル、右手の細かな和音伴奏音型をしっかり歌わせようとしているのは伝わるのだが、ちょこちょこ音が抜けがち。

シューマンのほうは、詩情にあふれているとまでは言わないにしても、技巧面で無理のある曲でない分、しっかりと音楽表現できている。

彼もまた、1次より少し株を上げた印象。

 

 

14.

33. MURADOV Rustam – Russia (14.10.1987)

 

D. Scarlatti – Sonata in D major, K. 29

D. Scarlatti – Sonata in B minor, K. 89

J. Brahms – Sonata No. 2 in F-sharp minor, Op. 2

I. J. Paderewski – Miscellanea: Nocturne, Op. 16 No. 4

I. J. Paderewski – Album de Mai: Caprice Valse, Op. 10 No. 5

 

ピアノはスタインウェイ。

スカルラッティは、やはり指の回りがスムーズでないことが気になってしまう。

ブラームスは、彼らしい力強さが曲に合っており、悪くない。

パデレフスキも、華やかさがあって良い。

 

 

15.

41. PAPOIAN Ilia – Russia (12.02.2001)

 

L. van Beethoven – Sonata No. 31 in A-flat major, Op. 110

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Cracovienne fantastique, Op. 14 No. 6

I. J. Paderewski – Miscellanea: Nocturne, Op. 16 No. 4

I. J. Paderewski – Polish Dances: Polonaise in B major, Op. 9 No. 6

M. Ravel – La Valse

 

ピアノはヤマハ。

ベートーヴェン、彼らしいロシア風の美しい音が魅力。

ラヴェルもパワフルで良い。

ただ、彼は細部の表現をとことんこだわるというよりは、キレとパワーで勝負するタイプのようで、今回の選曲では1次ほどのインパクトはなかった。

それでもポテンシャルはありそうだし、次に進んでほしいところ。

 

 

16.

11. HSU Yun Chih – Taiwan (13.03.1997)

 

I. J. Paderewski – Album de Mai: Au Soir, Op. 10 No. 1

I. J. Paderewski – Humoresques de Concert: Cracovienne fantastique, Op. 14 No. 6

A. Scriabin – Sonata – Fantasy No. 2 in G-sharp minor, Op. 19

F. Liszt – Sonata in B minor, S. 178

 

ピアノはファツィオリ。

彼女は、やや硬めの音でガツンと直線的に攻めるタイプ。

1次のショパンのスケルツォやバルトークのエチュードは良かったが、今回のようにファンタジーを要する曲はあまり向いていない印象。

それでもスクリャービンの終楽章やリストなどでは、こういうアプローチも迫力があって面白くはある(ミスタッチはやや目立つけれど)。

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がセミファイナルに進んでほしいと思うのは

 

17. KIM Saetbyeol – Republic of Korea (25.12.1994)

54. YOO Se-Hyeong – Republic of Korea (28.02.1990)

41. PAPOIAN Ilia – Russia (12.02.2001)

 

あたりである。

次点で、

 

04. CHEN Xuehong – China (12.12.1999)

07. HA Gyu Tae – Republic of Korea (07.11.1996)

33. MURADOV Rustam – Russia (14.10.1987)

11. HSU Yun Chih – Taiwan (13.03.1997)

 

あたりか。

 

 

次回(本日11月17日)は、2次予選の第3日(最終日)。

本日11月17日の10時(日本時間でいうと18時)に開始予定。

古海行子がトップバッターで演奏する。

重森光太郎は本日の12時45分(日本時間でいうと20時45分)から。

結果発表は、本日の19時(日本時間でいうと明日18日の早朝3時)。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。