フランスのパリで開催されている、ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
11月16日は、ファイナルの第3日(協奏曲2日目)、ついに最終日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
(2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール(ピアノ部門) 予選開催中)
(2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール(ピアノ部門) 予選通過者発表)
(2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール(ピアノ部門) セミファイナル開催中)
(2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール(ピアノ部門) セミファイナル通過者発表)
なお、以下はいずれもJesko Sirvend指揮、フランス国立管弦楽団との共演である。
4.
37 Zhora SARGSYAN (Armenia) Age: 24
S. Rachmaninov: Concerto pour piano et orchestre n° 1 en fa dièse mineur opus 1
ピアノはヤマハ。
シャープなラフマニノフ。
いわゆるロシア風の深々とした音ではなく、やや軽めの音であり、物足りないといえばそうだが、曲のロマン性は十分に表現されているし、これはこれで悪くない。
速いパッセージをとことん速く、颯爽と弾き抜けるのもスリリングでかっこいい。
ただ、オーケストラを置いて一人で突っ走ってしまいそうなことがときどきある。
5.
39 Alexandra STYCHKINA (Russia) Age: 15
L. Beethoven: Concerto pour piano et orchestre n° 1 en ut majeur opus 15
ピアノはヤマハ。
安定したタッチによる鮮やかな演奏。
昨日同曲を弾いたClément LEFEBVREが弾けていなかった終楽章の連続和音もほぼ問題なく弾けているし、左手の速い走句もスムーズ。
そして、音楽に推進力というか、勢いがある。
理知的というよりは直感的なセンスで演奏している感じ。
勢い余って走ってしまい、ところどころオーケストラとずれそうになるが、どうにか崩壊せずにとどまっている。
この「走り」を許容するかどうかで評価が分かれそう。
私は、少し気になってしまうほうである。
「そんなのは野暮よ」と審査員長のアルゲリッチに叱られそうだが。
6.
10 Jean-Baptiste DOULCET (France) Age: 26
B. Bartok: Concerto pour piano et orchestre n° 3 Sz 119
ピアノはヤマハ。
現代音楽的というよりはロマン的な演奏であり、よく歌う。
とはいっても、音は柔らかすぎず、硬質でくっきりとよく立っており、存在感がある(この「音の存在感」は、協奏曲では重視されそう)。
アーティキュレーションも明快。
バルトークに合っている。
テクニック的にはキレキレというわけではないが、この曲に必要なだけの技術は概ね持ち合わせている印象。
そんなわけで、ファイナル第1~3日をまとめて、私の中で勝手に順位をつけるとすると
1. 30 Keigo MUKAWA (Japan) Age: 26
2. 10 Jean-Baptiste DOULCET (France) Age: 26
3. 29 Kenji MIURA (Japan) Age: 26
4. 39 Alexandra STYCHKINA (Russia) Age: 15
5. 37 Zhora SARGSYAN (Armenia) Age: 24
6. 26 Clément LEFEBVRE (France) Age: 29
というような感じになる。
ただし、1~5はいかようにも入れ替わりうる気がする。
一体どうなるだろうか。
さて、ファイナルの実際の結果は以下のようになった。
【ファイナル結果】
1位: Kenji MIURA (Japan) Age: 26
2位: Keigo MUKAWA (Japan) Age: 26
3位: Zhora SARGSYAN (Armenia) Age: 24
4位: Jean-Baptiste DOULCET (France) Age: 26
5位: Alexandra STYCHKINA (Russia) Age: 15
6位: Clément LEFEBVRE (France) Age: 29
Special Prizes
Kenji Miura
・H.R.H Prince of Monaco Prize for the best concerto interpretation
・Harrison Parrott Prize
・Warner Classics Prize
Jean-Baptiste Doulcet
・Public Prize offered by the Rotary Club France
私としては、予想とは少し違った点もあるものの、全体として大いに納得のいく結果となった。
1位に三浦謙司、2位に務川慧悟。
何とも喜ばしいことだし、それに見合うだけの演奏だったと思う。
皆様おめでとうございます!
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