第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 1次予選 第3日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ポーランドのビドゴシチで開催されている、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

11月13日は、1次予選の第3日。

ネット配信を聴いた(No.1No.2No.3No.4)。

なお、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 出場者発表

1次予選 第1日

1次予選 第2日

 

 

27.

11. HSU Yun Chih – Taiwan (13.03.1997)

 

W.A. Mozart – Sonata No. 3 in B-flat major, K. 281

F. Chopin – Scherzo No. 3 in C-sharp minor, Op. 39

B. Bartók – Etudes Op. 18

 

ピアノはファツィオリ。

モーツァルトでの音の粒の揃い方はそこそこ。

ショパンは勢いがあるが、初日に同曲を弾いたKOZÁK Marekに比べると、コーダなどスムーズさに欠ける。

バルトークは力強さがありまずまず悪くない。

 

 

28.

46. SMIRNOVA Alina – Russia (21.08.1991)

 

L. van Beethoven – Sonata No. 26 in E-flat major, Op. 81a

M. Ravel – La Valse

 

ピアノはヤマハ。

フォルテがたたきつけるように硬い。

指回りも良いとは言えず、細部の表現も粗くて弾き飛ばす感じ。

 

 

29.

49. SZAŁUCKA Anna – Poland (15.10.1991)

 

G. Ligeti – Etude No. 10 Der Zauberlehrling, Book II

L. van Beethoven – Sonata No. 6 in F major, Op. 10 No. 2

F. Chopin – Ballade No. 4 in F minor Op. 52

 

ピアノはスタインウェイ。

一つ前の人よりは指がよく回っているが、それでも少しぎこちない。

 

 

30.

47. STARK Jonas – Germany (08.07.1998)

 

S. Gubaidulina – Chaconne

J. Haydn – Sonata in G major Hob. XVI: 40

F. Liszt – Spanish Rhapsody, S. 254

 

ピアノはスタインウェイ。

グバイドゥーリナは迫力があって悪くないが、ハイドンやリストはタッチにムラがあり、しばしば転んだようにテンポが詰まる。

 

 

31.

05. FURUMI Yasuko – Japan (05.02.1998)

 

J. Haydn – Sonata in C major, Hob. XVI: 48

K. Szymanowski – Etude in B-flat minor Op. 4, No. 3

D. Shostakovich – Sonata No. 1, Op. 12

 

ピアノはカワイ。

圧倒的な演奏。

他の多くの奏者たちと比較にならない、安定したタッチ。

ハイドンの終楽章など、音の粒が実によく揃っている。

速いパッセージの途中に装飾のトリルが入る箇所でも、全くよろけることなく、揺るぎない。

シマノフスキ、くどくならず自然に歌わせており、初日に同曲を弾いたKRZYŻOWSKI Mateuszのロマン性とはまた違った良さがある。

そしてショスタコーヴィチ、昨年の高松コンクール(その記事はこちら)同様、息もつかせぬすさまじい演奏。

激烈でありながら技巧的余裕があり、一分の隙もない。

1次予選で落ちることはまずないだろう。

 

 

32.

52. WON JongHo – Republic of Korea (14.01.1988)

 

W. A. Mozart – Piano Sonata No. 9 in D major, K. 311

D. Scriabin – Sonata No. 5, op. 53

F. Liszt – Grandes études de Paganini S. 141 no. 3 La Campanella

 

ピアノはカワイ。

古海行子の後に聴くと、タッチの不安定さがより際立ってしまう。

音色の魅力にも乏しい。

 

 

33.

38. OVCHARENKO Ilia – Ukraine (24.03.2001)

 

D. Scarlatti – Sonata in E major, K. 20

D. Scarlatti – Sonata in F minor, K.466

L. van Beethoven – Sonata No. 26 in E-flat major, Op. 81a

F. Liszt – Grandes études de Paganini S. 141 no. 3 La Campanella

 

ピアノはファツィオリ。

こちらもタッチにムラがあり不安定。

「ラ・カンパネラ」も、同曲を弾いた一つ前の人と大差ない。

 

 

34.

56. ZHDANOV Denis – Ukraine (12.12.1988)

 

J. Haydn – Sonata in C major, Hob. XVI: 50

R. Rautavaara – Études, Op. 42

  1. Terssit

  2. Septimit

  3. Tritonukset

  4. Kvartit

  5. Sekunnit

  6. Kvintit

 

ピアノはファツィオリ。

ハイドンもラウタヴァーラも、音の明瞭度の高い彼の演奏スタイルが曲によく合っている。

彼は2017年のルービンシュタインコンクールではリゲティを弾いていたが(その記事はこちら)、こうした現代曲が得意なのだろう。

 

 

35.

45. SHIGEMORI Kotaro – Japan (11.01.2000)

 

W. A. Mozart – Sonate No. 3 in B major, K. 281

F. Chopin – Etude in A-flat major, Op. 10 No. 10

F. Chopin – Polonaise-Fantaisie in A-flat major, Op. 61

 

ピアノはスタインウェイ。

タッチが軽快かつ安定している。

音楽のつくりが常に丁寧で、声を荒げることなく、品がある。

 

 

36.

23. KULIKOVA Polina – Russia (16.10.1991)

 

G. F. Haendel – Chaconne in G major, HWV 435

S. Rachmaninov – Prelude in D minor, Op. 23 No. 3

S. Rachmaninov – Prelude in B-flat major, Op. 23 No. 2

F. Liszt – Hungarian Rhapsody No. 13 in A minor, S. 244

 

ピアノはカワイ。

こちらも軽快で丁寧なタッチが魅力。

ラフマニノフやリストでは重みが足りないといえばそうなのだが、こうした軽やかな演奏も悪くない。

 

 

37.

15. KA Joo Yeon – Republic of Korea (20.12.1995)

 

M. Ravel – Jeux d’ eau

J. Brahms – Variations on a theme by Paganini, Op. 35, Book II

F. Chopin – Ballade No. 4 in F minor, Op. 52

 

ピアノはファツィオリ。

全体的にテンポが遅めでやや安全運転気味(特にブラームス)。

弾き飛ばすことなく丁寧に仕上げているのは良いが、ショパンの終盤はそれでもミスタッチがちょこちょこみられる。

 

 

38.

06. GORANKO Joanna – Poland (21.02.2001)

 

J. Haydn – Sonata in E-flat major, Hob. XVI/52

F. Chopin – Ballade No. 4 in F minor, Op. 52

 

ピアノはヤマハ。

明るい音色が持ち味だが、タッチはところどころムラがある。

ショパンも、同曲を弾いた一つ前の人と同じくテンポが遅めで(特にコーダ)、それでも弾きにくそう。

 

 

39.

09. HIRAKAWA Aya – Japan (20.02.1992)

 

F. Liszt – Années de pèlerinage I, S. 160:

  No. 5 Orage

  No. 6 Vallée d’Obermann

F. Chopin – Prelude, Op. 45

S. Prokofiev – Toccata, Op. 11

 

ピアノはスタインウェイ。

派手さはないが、リストやショパンのロマン性をよく表現できている。

プロコフィエフも、バキバキの技巧派というよりは無理のないテンポによる安定した演奏で、ピアノとフォルテの対比など音楽面でもなかなか聴きごたえがある。

 

 

そんなわけで、第3日の演奏者のうち、私が2次予選に進んでほしいと思うのは

 

05. FURUMI Yasuko – Japan (05.02.1998)

56. ZHDANOV Denis – Ukraine (12.12.1988)

45. SHIGEMORI Kotaro – Japan (11.01.2000)

23. KULIKOVA Polina – Russia (16.10.1991)

09. HIRAKAWA Aya – Japan (20.02.1992)

 

あたりである。

次点で、

 

11. HSU Yun Chih – Taiwan (13.03.1997)

 

あたりか。

 

 

次回(11月14日)は1次予選の第4日(最終日)。

佐藤元洋らが演奏する。

結果発表は、本日11月14日の夕方(日本時間でいうと夜)と思われる。

 

 


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