ポーランドのビドゴシチで行われる、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクールが、ついに始まった(公式サイトはこちら)。
11月11日は、1次予選の第1日。
ネット配信を聴いた(No.1、No.2、No.3、No.4)。
なお、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
この記事で書いたように元は全56名だったが、最終的には45名へと減っている。
有名どころではKIM Kang TaeやYANG Tony Yikeがいなくなっており、少し残念。
1.
42. PIERDOMENICO Leonardo – Italy (27.11.1992)
O. Respighi – Nocturne
M. Clementi – Sonata in F-sharp minor, Op. 25 No. 5
F. Liszt – Scherzo and Marsch, S. 177
ピアノはファツィオリ。
ファツィオリの音を活かした味わいがあり、また技巧的にもまずまず。
ただし、洗練されているというほどではない(「スケルツォとマーチ」では急速なトレモロの部分で音のムラや抜けがある)。
2.
01. BELYAVSKY Sergey – Russia (02.11.1993)
L. van Beethoven – Rondo a capriccio in G major, Op. 129
S. Taneyev – Prelude and fugue in G-sharp minor, Op. 29
F. Liszt – Transcendental Etude No. 11 Harmonies du Soir,
F. Liszt – Rondo Fantastico on a Spanish Theme „El Contrabandista”, S. 252
ピアノはファツィオリ。
彼も洗練性にはやや乏しいが、ロシアらしいパワー、ロマン性、存在感のある音を持つ点が魅力。
3.
21. KOZÁK Marek –Czech Republic (08.06.1993)
L. van Beethoven – Sonata No. 13 „quasi una fantasia” in E-flat major, Op. 27 No. 1
F. Chopin – Scherzo No. 3 in C-sharp minor, Op. 39
A. Skoumal – The Jongleur
ピアノはヤマハ。
先日のブゾーニコンクールのときと似た選曲(その記事はこちら)。
あのとき同様、なかなかに完成度の高い出来(ベートーヴェンの終楽章で少しミスがあったが)。
4.
28. LIU Tianyuan – China (31.01.1998)
J. S. Bach – E. Petri – Sheep may safely graze, BWV 208
L. Kirchner – Interlude II
N. Medtner – Sonata in G minor, Op. 22
ピアノはカワイ。
美しく歌われたバッハに、妖しい雰囲気のよく出たキルヒナー。
メトネルのソナタも抜群のキレ味。
彼はまず間違いなく次のステージへ進むだろう。
5.
37. OTA Saya – Japan (12.11.1994)
A. Grünfeld – Soirée de Vienne, Op. 56
A. Scriabin – Piano Sonata No. 7, Op. 64
F. Liszt – Concert Paraphrase on Rigoletto, S.434 after Verdi’s opera
ピアノはカワイ。
丁寧で悪くないが、やや生真面目な印象で、グリュンフェルトやリストではもう少しロマン的な華やかさが欲しいところではある。
リストの速いオクターヴ連打もよく弾けているが、やや直線的であり、軽快さや洒脱さが出るとなお良いか。
6.
39. PACHOLEC Kamil – Poland (11.11.1998)
F. Chopin – Barcarolle in F-sharp major Op. 60
C. Debussy – Préludes Book I
No. 5 Les collines d’Anacapri
No. 9 La sérénade interrompue
No. 10 La Cathédrale engloutie
C. Gounod – F. Liszt – Walz from the Opera Faust
ピアノはスタインウェイ。
明るい音を持ち、華やかさがあるが、技巧的には(弾けていないというほどではないものの)若干危ういところもある。
7.
03. CAO Bolai – China (24.01.1997)
D. Scarlatti – Sonata in D minor, K. 1
L. van Beethoven – Sonata No. 26 in E-flat major, Op. 81 a
C. Debussy – L’isle Joyeuse
F. Liszt – Transcendental Etude No. 10 Appasionata
ピアノはヤマハ。
テクニック的にはまずまずだが、音色の魅力に乏しく、歌のセンスもそれほどではない印象。
ただ、リストは技巧が物を言う曲だからか、意外とサマになっている。
8.
22. KRZYŻOWSKI Mateusz – Poland (06.03.1999)
C. Debussy – Prélude, Book II:
No. 1 Brouillards
No. 2 Feuilles Mortes
No. 3 La Puerta del Vino
K. Szymanowski – Four Etudes Op. 4:
No. 1 in E-flat minor
No. 2 in G-flat major
No. 3 in B-flat minor
No. 4 in C major
ピアノはカワイ。
ドビュッシー、繊細な演奏で、詩情も十分に感じられる。
シマノフスキもロマン的で雄弁、聴きごたえあり。
次のステージに進みそう。
9.
35. NIIRO Kana – Japan (06.12.1991)
W. A. Mozart – Piano Sonata No. 9 in D major, K. 311
B. Bartók – Piano Sonata, Sz. 80
ピアノはカワイ。
モーツァルト、ペダル薄めの音づくりが軽やかで良いが、テンポがやや揺れて安定せず、またフォルテが重いきらいがあるか。
バルトークは、豪快というよりは丁寧な弾き方で、なかなか悪くない。
10.
08. HAO Yilei – China (09.10.1996)
D. Scarlatti – Sonata in G major, K. 14
D. Scarlatti – Sonata in C minor, K.11
D. Scarlatti – Sonata in E major, K.135
S. Rachmaninov – Etudes-tableaux, Op. 39 No. 5 Appassionato
Janáček – In the Mists
ピアノはカワイ。
軽快なスカルラッティ、ゆったりと歌わせるラフマニノフ、神秘的な雰囲気のよく出たヤナーチェク、いずれも良い。
技巧的にも余裕がある。
11.
02. BYRDY Łukasz – Poland (29.06.1994)
C. Debussy – Préludes, Book I: No.12 Minstrels
C. Debussy – Preludes, Book II: No.6 General Lavine – eccentric
C. Debussy – Préludes, Book I: No.11 La danse de Puck
C. Debussy – Preludes, Book II: No.3 La puerta del Vino
C. Debussy – Préludes, Book I: No.5 Les collines d’Anacapri
C. Debussy – Preludes, Book II: No.12 Feux d’artifice
F. Liszt – Hungarian Rhapsody No. 12 in C-sharp minor,, S. 244
ピアノはヤマハ。
雰囲気は良いのだが(特にドビュッシー)、「花火」やハンガリー狂詩曲ではテクニック面での弱さが出てしまっている。
12.
29. LYNOV Philipp – Russia (06.01.1999)
L. van Beethoven – Sonata No. 18 in E-flat major, Op. 31 No. 3
S. Prokofiev – Four Etudes, Op. 2
ピアノはスタインウェイ。
ベートーヴェン、誠実な演奏だが、終楽章はやや滑らかさに欠ける。
プロコフィエフ、ミスや弾きにくそうな箇所も多いが、全体的にはこの曲としてはまずまず弾けているほうか。
13.
17. KIM Saetbyeol – Republic of Korea (25.12.1994)
F. Liszt – Hungarian Rhapsody No. 13 in A minor, S. 244
J. Haydn – Sonata in A-flat major, XVI: 46
D. Shostakovich – Prelude and Fugue in D-flat major, Op. 87 No. 15
ピアノはファツィオリ。
かなりのテクニシャンで、リストやショスタコーヴィチのフーガが映える。
ハイドンも、軽めの安定したタッチがよく合っている。
そんなわけで、第1日の演奏者のうち、私が2次予選に進んでほしいと思うのは
21. KOZÁK Marek –Czech Republic (08.06.1993)
28. LIU Tianyuan – China (31.01.1998)
22. KRZYŻOWSKI Mateusz – Poland (06.03.1999)
08. HAO Yilei – China (09.10.1996)
17. KIM Saetbyeol – Republic of Korea (25.12.1994)
あたりである。
次点で、
42. PIERDOMENICO Leonardo – Italy (27.11.1992)
01. BELYAVSKY Sergey – Russia (02.11.1993)
29. LYNOV Philipp – Russia (06.01.1999)
あたりか。
次回(11月12日)は1次予選の第2日。
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