第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 1次予選 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ポーランドのビドゴシチで開催されている、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

11月12日は、1次予選の第2日。

ネット配信を聴いた(No.1No.2No.3No.4)。

なお、第11回パデレフスキ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第11回パデレフスキ国際ピアノコンクール 出場者発表

1次予選 第1日

 

 

14.

54. YOO Se-Hyeong – Republic of Korea (28.02.1990)

 

L. van Beethoven – Sonata No. 27 in E minor, Op. 90

A. Scriabin – Waltz in A-flat major, Op. 38

S. Rachmaninov – Etudes-Tableaux, Op. 39:No. 5 Appassionato

 

ピアノはスタインウェイ。

落ち着いたロマン的な雰囲気を醸し出すセンスがある。

スクリャービン、幻想的で美しい。

ラフマニノフも、昨日同曲を弾いたHAO Yileiに劣らない出来。

 

 

15.

51. WIECZOREK Marcin – Poland (12.07.1996)

 

F. Chopin – Etude in C major, Op. 10 No. 1

F. Chopin – Scherzo No. 1 in B minor, Op. 20

K. Szymanowski – Variations in B-flat minor, Op. 3

 

ピアノはファツィオリ。

歯切れよい、推進力のある演奏。

細部にこだわるというよりは勢い重視のやんちゃな感じだが、意外と技巧面も確か。

 

 

16.

55. ZHANG Yunling – China (09.11.1996)

 

S. Prokofiev – Sarcasms, Op. 17

L. van Beethoven – Sonata No. 28 in A major, Op. 101

 

ピアノはカワイ。

器用なタイプというわけではなさそうだが(ベートーヴェン終楽章の連続和音など弾きにくそう)、誠実さの感じられる演奏。

これら2曲には、その素朴で愚直な感じが合っていなくもない。

 

 

17.

04. CHEN Xuehong – China (12.12.1999)

 

D. Scarlatti – Sonata in E major, K. 380

D. Scarlatti – Sonata in F minor, K. 481

D. Scarlatti – Sonata in D major, K. 96

F. Chopin – Ballade No. 1 in G minor, Op. 23

A. Scriabin – Sonata No. 4 in F-sharp major, Op. 30

 

ピアノはファツィオリ。

明るい歌心があって良いのだが、少しあっけらかんとしており、もう少し繊細なニュアンス付けが欲しいところ。

ショパンのコーダやスクリャービンの終楽章で音をよく外すのも惜しい。

 

 

18.

07. HA Gyu Tae – Republic of Korea (07.11.1996)

 

J. Haydn – Sonata in B minor, Hob. XVI: 32

F. Chopin – Nocturne in D-flat major, Op. 27 No. 2

F. Liszt – Mephisto waltz No. 1 in A major

 

ピアノはファツィオリ。

ハイドン、第1、2楽章は悪くないが、終楽章はテンポの速さに指がついていっていない感じが少しある。

リストも、粗いとまでは言わないがミスがちょこちょこあり、また左手のオクターヴが苦しそうだったり、(よくあることだが)最後の跳躍部分でテンポが落ちたりするのが気になる。

 

 

19.

43. ROH Hyun Jin – Republic of Korea (01.07.2001)

 

J. Haydn – Sonata in B minor, Hob. XVI: 32

F. Chopin – Etude in A-flat major, Op. 10 No. 10

M. Ravel – La Valse

 

ピアノはスタインウェイ。

ハイドンの終楽章、(同曲を弾いた)一つ前の人より幾分よく弾けているが、それでも完全とはいえない。

ショパンやラヴェルもまずまず弾けているしパワフルなのは良いが、もう一歩洗練が欲しく、またラヴェルではテンポの変え方のクセが強い。

 

 

20.

36. ONODA Arisa – Japan (16.01.1996)

 

F. Chopin – Fantasie in F minor, Op. 49

C. Debussy – Pour le piano

 

ピアノはヤマハ。

ショパン、情感たっぷりといった演奏ではなく、あっさりしているが、清潔感があってこういうショパンも良いかも。

ドビュッシーは「らしさ」がよく出ていて、技巧的にも概ね安定し、持ち味を発揮できている(終曲はさらなるキレを望みたいが)。

 

 

21.

33. MURADOV Rustam – Russia (14.10.1987)

 

J. Haydn – Sonata in D major, Hob. XVI: 42

G. Faure – Barcarolle No. 2 in G major, Op. 41

I. Stravinsky – G. Agosti – Firebird Suite

 

ピアノはスタインウェイ。

ロシア風の力強い演奏だが、ハイドンの終楽章やストラヴィンスキー/アゴスティでは、音の粒がいまいちよく揃っていない。

まるでラフマニノフのように情熱的なフォーレはある意味で面白いが。

 

 

22.

19. KIM Seunghui – Republic of Korea (25.07.1999)

 

W. A. Mozart – Sonata No. 18 in D major, K. 576

I. Albéniz – Iberia No. 6 Triana

K. Szymanowski – Variations in B-flat minor, Op. 3

 

ピアノはスタインウェイ。

指回りが比較的スムーズで、どの曲も安心して聴ける。

ただ、音色や表情付けがモノトーンというか、単調なきらいがある。

 

 

23.

31. MIZUMURA Shogo – Japan (11.02.1999)

 

K. Szymanowski – Variations in B-flat minor, Op. 3

S. Prokofiev – Sonata No. 7 in B-flat major, Op. 83

 

ピアノはスタインウェイ。

冷静だが内に情熱を秘めたような演奏スタイルで、シマノフスキのロマン性も、プロコフィエフの無機質な律動もしっかり表現できている。

技巧的にもなかなかに安定している。

なお、東京大学理学部物理学科3年生とのことで、まさに文武両道。

 

 

24.

41. PAPOIAN Ilia – Russia (12.02.2001)

 

M. Clementi – Sonata in A major Op. 33 No. 1

S. Rachmaninov – Etude-Tableaux, Op. 33: No. 6 in E-flat minor

S. Rachmaninov – Etudes-Tableaux Op. 39: No. 5 Appassionato

F. Liszt – Hungarian Rhapsody No. 12 in C-sharp minor, S. 244

 

ピアノはヤマハ。

同じロシアの同年生まれのピアニスト、マロフェーエフにも並ぶ情熱的で勢いのある演奏。

ラフマニノフのop.33-6は相当キレがあるし、op.39-5は(この日最初に弾いたYOO Se-Hyeongも良かったがそれ以上に)激しくてインパクトがある。

タッチコントロールも、完璧とまでは言えないがかなりのもの。

きっと次のステージに進むだろう。

 

 

25.

10. HSU Ting Chia – Taiwan (07.08.1990)

 

L. van Beethoven – Piano Sonata No. 9 in E major, Op. 14 No. 1

A. Scriabin – Sonata No. 5, Op. 53

S. Rachmaninov – Etude-Tableaux, Op. 39: No. 6 Allegro

 

ピアノはカワイ。

こちらも勢いがあるが、タッチの精度は劣る。

例えば、スクリャービンでの急速な和音のスタッカートや、ラフマニノフでの同音連打などが、不明瞭になったりミスタッチしたりする。

 

 

26.

16. KHOMICHKO Anna – Russia (27.03.1991)

 

D. Scarlatti – Sonata in E major, K.380

D. Scarlatti – Sonata in A minor, K. 149

L. van Beethoven – Sonata No. 6 in F major, Op. 10 No. 2

S. Gubaidulina – Chaconne

 

ピアノはカワイ。

音色や表現がやや生硬なところはあるが、タッチは安定しているし、ロマン性も感じられる。

浜コンでも弾いていた(その記事はこちら)グバイドゥーリナのシャコンヌも完成度の高い演奏。

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私が2次予選に進んでほしいと思うのは

 

54. YOO Se-Hyeong – Republic of Korea (28.02.1990)

51. WIECZOREK Marcin – Poland (12.07.1996)

36. ONODA Arisa – Japan (16.01.1996)

31. MIZUMURA Shogo – Japan (11.02.1999)

41. PAPOIAN Ilia – Russia (12.02.2001)

16. KHOMICHKO Anna – Russia (27.03.1991)

 

あたりである。

次点で、

 

55. ZHANG Yunling – China (09.11.1996)

19. KIM Seunghui – Republic of Korea (25.07.1999)

10. HSU Ting Chia – Taiwan (07.08.1990)

 

あたりか。

 

 

次回(11月13日)は1次予選の第3日。

応援しているピアニスト、古海行子が出場する。

彼女の演奏は本日12時半(日本時間では本日20時半)頃から。

 

 


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