大型連休の一晩目のメイン対象と思っていたアンテナ銀河を現像してみました。春の銀河の季節に、遠征先で撮ってみたかった対象です。

アンテナ銀河(NGC4038 & NGC4039)は、からす座に存在している銀河で、二つの銀河が銀河が衝突している過程を見ているところです。ハート型の明るいところが二つの銀河の主体で、お互いの影響で、2本の長い触角のようなものが伸びていることから、触角銀河とも 呼ばれています。何億年も前は、この銀河は2つの別々の銀河だったろうと考えられ、NGC4038とNGC4039との、2つの番号がついています。この2つの銀河が衝突した際のエネルギーはすさまじく、その衝突によって放出された星が、この2本のアンテナ(触角)を形成したと想像されています。

このアンテナ2本を確認したくて、遠征地での撮影に挑戦してみましたが、残念なことに存在を確認するのがやっとでした。もっと時間をかければ別でしょうが、現在の技量では、この程度の出来上がりが限界のようです。

 

このころ、もう一つの望遠鏡で覗いていたのは、M83銀河。

M83銀河は、うみへび座の領域(その南にあるケンタウルス座の境)で輝いている渦巻銀河です。 渦巻を正面から見るフェイスオン銀河で、 銀河の腕がくるりと巻いた様子から、南天の回転花火銀河とも呼ばれています。(北の回転花火銀河は、おおぐま座のM101銀河ですね) 以前、200mm反射鏡(焦点距離1120mm)で、ミニ遠征して撮影したことがありました。 今回の対物レンズ口径(106mm)は、以前の主鏡より小さな鏡筒なので解像度では劣りますが、屈折鏡筒なので色はそこそこ表現できたででしょうか。天体望遠鏡の種類によっても、写り具合にその特性が反映されて興味深いと感じました。

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、天体写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ1: NGC4038 & NGC4039(アンテナ銀河)

ミューロン250CRS(直焦点 2500mm F10) + AXP赤道儀

OAG ASI174Mmini + PHD2 guiding   

QHY600M  (gain 26、 cooling −20℃ 

2022年5月3日の夜   APT 3.99.1 コントロール

L 300sec × 8コマ、 R、G、B 300sec × 各 2、1、2コマ (総露出時間 65分間) 

ステライメージ9、FlatAideProほかで現像処理  

 

撮影データ2: M83銀河 (うみへび座の銀河)

FSQ106EDP(直焦点 530mm F5) + SXP赤道儀

OAG ASI120Mmini    

ASI1600MM-cool (gain 139、 cooling −20°℃) 

2022年5月3日の夜  ASIAIRPRO コントロール

L 300sec ×  11コマ、 R、G、B 300sec × 各 5、1、4マ (総露出時間 105分間) 

ステライメージ9、FlatAideProほかで現像処理  

 

今回、初挑戦したアンテナ銀河では、3時間越えの撮影で成果をあげるつもりだったが、準備が遅れたり、撮影で星が流れたりして、結局の総露出時間は1時間余りに留まってしまった。総露出時間不足で、アンテナはやっとわかる程度となってしまった。冷却CMOSカメラのゲイン設定は、様々な要因を考慮して考えないといけない。

M83も、もっと総露出時間を稼がないといけないと思いつつも、最終的な総露出時間は2時間にも及ばなかった。特に、ASIAIRでの撮影は、なんでも自動でやってくれて便利だが、Gフィルター撮影時ガイド不良が続き、たった1コマのみになってしまった。こちらのセットでは、フラットを撮り忘れていたが、周辺減光が少ない鏡筒と小さな光学センサーの組み合わせで、後の処理は比較的容易だった。