ヴェスコーヴォ
モーツァルト/ホルン協奏曲
モーツァルト/
ホルン協奏曲第1番(二長調 KV.412)
1.Allegro 4:48
2.Allegro 3:37
ホルン協奏曲第4番(変ホ長調 KV.495)
3.Allegro Moderato 8:36
4.Romanza (Andante) 4:24
5. Rondo (Allegro Vivace) 3:40
ホルン協奏曲第3番(変ホ長調 KV.447)
6.Allegro 8:03
7.Romance (Larghetto) 4:10
8.Allegro 3:44
ホルン協奏曲第2番(変ホ長調 KV.417)
9.Allegro Maestoso 6:47
10.Andante 3:51
11.Rondo 3:31
ホルン/ピエール=デル・ヴェスコーヴォ
指揮/ジャン=フランソワ・パイヤール
演奏/パイヤール室内管弦楽団
録音/1973 ノートルダム・デ・ ローズ教会、グリジー=スイヌ、フランス
P:ミシェル・ガルサン
E:ガイ・ラポルテ
エラート OP-7017-RE
モーツァルトのホルン協奏曲は数ある作品の中でも大好きな作品で昔からレコードを数多く集めています。
モーツァルトのホルン協奏曲全集はフランスの名手ピエール・デル・ヴェスコーヴォのホルン・ソロです。ヴェスコーヴぉはモノラル時代の1950年代のような明るい音色ではなく、1970年代からのフランスのホルンの音色の変化と共にこの演奏も変わってきたのでしょう。ヴィブラートも極端なものではなく大変聴きやすいものです。録音会場の「ノートルダム・デ・ ローズ教会」はパリの南東部にある教会で、1966年に建てられた教会で3角形の屋根が特徴なものとなっている近代建築物です。
詳しい録音年月日の記載はありませんが、この録音のスナップが残っていて、そこから察するに初夏の録音ということが伺えます。このレコードは1973年の発売ですが、日本コロムビアの発売となっていますから、1973年10月25日に発売されています。小生の取り上げた「懐かしのレコード芸術」シリーズでは1974年3月号にこのレコードの発売されていることを告知しています。この時はモーツァルト・ベスト・コレクションの中に組み込まれていましたから、これが新録音としては大きく取り上げられなかったのでしょう。
ホルン協奏曲第1番はやわらかく美しい響きのホルンでレガートのきれいな演奏はヴェスコーヴォらしいホルン演奏です。第2楽章の流麗なホルンは見事なものです。パイヤールの指揮と共にこれぞモーツァルトといえそうな名演です。
ホルン協奏曲第2番は弦楽の響きの良さ、管楽器の美しい響きと共に、ヴェスコーヴォの美しいホルンが始まります。レガートのきれいな演奏のホルンが流れます。まさにモーツァルトのお手本といえるでしょう。第2楽章はオーボエに始まる穏やかなテンポ、美しいホルンの響きが素晴らしいです。第3楽章のロンドも軽やかなホルンで素晴らしい演奏です。
ホルン協奏曲第3番はクラリネットとファゴットが入る独特の響きのオーケストラの中でホルンが明るく響きます。ヴェスコーヴォのホルンが生き生きとした響きに聴こえます。流麗なホルンが実にきれいです。これぞ3番の演奏といえそうです。カデンツァはオリジナルでこれは実にきれいな演奏です。第2楽章のロマンスはホルンの美しい響きが素晴らしいです。ロマンティックな演奏です。第3楽章は快適なテンポできれいな演奏です。そして力強いホルンも聴かれます。これは素晴らしいです。
ホルン協奏曲第4番は重厚なオーケストラの響きと共に始まります。ホルンのソロの響きの良さ、オーケストラの良い響き、この4番独特の響きは素晴らしいです。展開部のホルンの豊かな響きは見事なものです。カデンツァの力強い演奏はハイトーンまで使う見事なものです。第2楽章のロマンスは第3番同様大変きれいな演奏です。オーケストラの響きの良さもあって、ホルンの美しい響きが引き立ちます。第3楽章のロンドは速めのテンポで軽快な演奏です。聴いていると楽しくなります。コーダ前のカデンツァはありません。これも素晴らしい演奏です。
ただこの録音、競合盤がひしめく中ではあまり目立ちませんでした。そんなことでCDでは目立つ形では発売されず、モーツァルトの作品集の中に組み込まれてしか発売されていません。そんなことで、YouTubeにもヴェスコーヴォの演奏はほんの一部しかアップされていません。