レコード芸術1974年3月号 6 | geezenstacの森

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レコード芸術1974年3月号 6

 

 

 

 この号の新譜の推薦盤の一覧です。点数的には通常月と変わらない点数が上がっています。ケルテスのモーツァルトは1972年11月の録音で、これがオリジナルのカップリングです。ケルテス死の半年前の録音です。ケルテスはクラリネット入りの第2版で演奏しています。ただ、今では多くの名演の中で埋もれています。というのも、この月は交響曲は6点しか新譜がありません。新譜と月評は微妙にずれることがありますが、新譜ではハイティンクのブラームスの交響曲第1番だけがリストアップされていますが、月評ではオーマンディのブラームス交響曲第1番も新譜として扱われています。すでにRCAに移籍していたオーマンディですが、1968年5月に録音されてものが未発売であったようです。なをステレオでの旧録音は1959年1月になされています。でも、発売の告知もなく月評も無印です。

 

 

 

 この月実際に新譜として発売された点数です。交響曲、管弦楽曲、協奏曲あわせてこの1ページしかありません。前月号で報じられた信越科学の火災事故の影響が如実に出ていることが窺い知れます。バレンボイムがエルガーの交響曲第2番をこの時発売しています。最近ではこのエルガーを再録音しているものも出ています。非イギリス系のアーティストがここまでエルガーに入れ込んでいるのも珍しいのですが、大木氏は難解ということでこれも無印評価です。

 

 

 3月号のソニーの広告です。グールドのヒンデミットは推薦盤になっていますが、バッハは月評では取り上げられていません。バレンボイムのエルガーは小さく取り上げられているだけで、売る気の本気度が足りません。3枚組4,600円というのは2枚組2,500円のごまかしのような販売方法です。

 

 

 

 コロムビアはこの年の9月いっぱいでエラートの販売権が切れますから最後の販促をかけています。主力はスプラフォンしかありませんからパネンカとフッフロのベートーヴェンのチェロソナタ全集をトップに持ってきています。オイロディスク経由でザンデルリンクのシベリウス交響曲全集は旧譜ですがブラームスと共にいいアルバムでした。小生はCD時代にブリリアントから発売された全集を買いましたが、カラヤンのものより好きです。もつとも、カラヤンは全集を残していませんけどね。

 

 ソニーもそうでしたがグラモフォンもまともに新譜を発売できず、広告はドイツ直輸入盤で対応しています。

 

 

 この時代になるとグラモフォンは色々な指揮者の演奏を集めて全集を出せるだけの録音ストックができていました。意外なのはバーンスタインについでクーベリックがマーラーの交響曲全集を録音していたということです。ほとんど話題にはなっていなかったように思います。モーツァルトとベートーヴェンをカール・ベームが抑えているというのも意外です。カラヤンなんかはチャイコフスキーとシューマン、メンデルスゾーンと意外な作曲家に割り振られています。シベリウスはとうとう第3番を録音しませんでしたからカラヤン・コンクールの第1回優勝者オッコ・カムが補遺して全集を発売しています。