エルネスト・ミュールバッハーのモーツァルト「ホルン協奏曲」 | geezenstacの森

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エルネスト・ミュールバッハー

モーツァルト「ホルン協奏曲」


曲目/モーツァルト
ホルン協奏曲(第1番)K.412/514
ホルン協奏曲(第2番)K.417
ホルン協奏曲(第3番)K.447
ホルン協奏曲(第4番)K.495

ホルン/エルネスト・ミュール・バッハー
指揮/フランツ・バウアー・トイスル
演奏/ウィーン・フォルクスオパー管弦楽団

コロンビア ダイヤモンド1000シリーズ
MS-1075-TV 



 今日の一枚はレコードです。CD化されていないようなので中古ショップでも漁るしか無いようです。今年はモーツァルトイヤーとかで結構盛り上がっているようですが、小生の中ではモーツァルトのウェイトは結構低いです。レコードの購入履歴を振り返ってもショスタコーヴィチやメンデルスゾーン、リムスキー・コルサコフよりももっと後で、一番最初に買ったのもこのホルン協奏曲集で交響曲はクラシックを聴き始めて2年後の1970年になって初めて購入しているのです。
 
で、どうしてホルン協奏曲かというとこれがTVの影響なのですね。当時地元のTV局の夕方のニュースのテーマ曲としてホルン協奏曲が使われていたのです。もっとも、それがモーツァルトのホルン協奏曲だと知ったのはずっと後だったのですが、NHKのN響アワーとかでようやくその曲がホルン協奏曲の第1番の第2楽章だということを知り、レコード店で物色したのです。

 もちろん当時の中学生の小使いで買えるのはレギュラープライスは無理で出始めの廉価盤シリーズの中から選ぶことになりました。といっても選択肢がある訳でなく、コロムビアのダイヤモンド1000シリーズの中から見つけたエルネスト・ミュール・バッハーのホルン、フラント・バウアー・トイスルの指揮するウィーン・フォルクスオパー管弦楽団のLPでした。
 レコ芸では鼻も引っ掛けてくれないような演奏評でしたが自分にとっては毎日テレビから流れていたメロディを自分のものにできた喜びでいっぱいでした。確かに今聴いてもアマチュアオーケストラに毛の生えたような演奏だしホルンも決してうまいというものではありませんがホルンという楽器の朗々とした響きに魅せられた分今でもモーツァルトの作品の中では一番愛聴している作品でしょう。

 ところが最近の研究でこのホルン協奏曲の作曲年代が必ずしも番号順でないことが解ってきたのにはびっくり。実際は第2番が最初に作曲され、なおかつ第1番は弟子のジェスマイヤーが補筆完成させたものということです。作曲年代順に並べると2(1783),4(1786),3(1787),1(1791)番の順ということになるようです。これで1番が2楽章しかないにもかかわらず作品の構成からしても一番完成度が高い理由の説明がつくというものです。

ここで、ホルンを吹いているのは当時のウィーン響の主席を務めていたエルネスト・ミュールバッハーです。ウィーン響ということで、多分使っているホルンはウィンナ・ホルンではないでしょうか。鄙びた感じの朴訥とした音色は今では味わうことのできないノスタルジックな響きです。バックは小編成のオーケストラでこじんまりとした演奏ですがウィーン訛りのぷんぷんするすこぶるマイナーな響きが楽しめます。

 

 こんな響がモーツァルト時代のホルンの音色だったのかなぁと想像してしまいます。けっして洗練された演奏ではありませんがこの音色は味わいがあり、今でも時々棚から引っ張り出して聴いています。

 最近になってこの音源がYouTubeで聴けるようになりました。懐かしいですね。