レコード芸術 1974年2月号 5 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年2月号 5

 

 

 

 レコード芸術はクラシックの雑誌ですが、この当時は幅広くレコードを捉えていてポップスやジャズも積極的に取り上げていました。その中でジャズ畑の野口久光氏がこの号でテッド・ニーリーを取り上げている理にはびっくりしました。彼は映画「ジーザス・クライスト・スーバースター」でイエス・キリストを演じた俳優です。そして、小生はこの映画の名古屋でのプレミアム試写会に参加していました。写真のマリア役のイボンヌ・エリマンも登場しました。個人的にはこの映画の音楽をアンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団が担当しているということで観に行ったんですけどねぇ。いゃあ、素晴らしいミュージカルでした。そして、イギリスへ旅行した折にもピカデリーでこのミュージカルを観てきました。下の音源はそのロンドン・オリジナルキャストの「ジーザス・クライスト・スーパースター」です。

 

 

 

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 キースケジャレットとチック・コリアはジャズ・ピアニストとして双璧です。そして、二人ともクラシックにも造詣が深く、このキースなど、モーツァルトのピアノ協奏曲や最近ではC.P.E.バッハのピアノソナタ集なんかも録音しています。

 

 

 エルトン・ジョンもこの頃台頭してきていました。「ユア・ソング」で知られていますがバラードから激しいロックなロールまで何でもござれのシンガー・ソングライターの一人でしょう。この2月に来日しています。

 

 グラディス・ナイト&ピップスは1960-700年代にかけてモータウンを代表するソウル・アーティストでした。ソフィストケイトされた歌声はスリー・ディグリーズと共にブラック・ミュージックを牽引していました。

 

 サンタナも1973年に来日していました。何しろ「キャラバンサライ」が大ヒットしましたからねぇ。ちなみ上の写真カルロス・サンタナは右端にいます。下は当時のヒット曲「ストーン・フラワー」

 

 

 大御所ハリー・ベラホンテは「ウィ・アー・ザ・ワールド」でもその存在感を示しましたが、バナナ・ボートの歌声は今でも忘れられません。

 

 

 

 当時、好きだったのがこのスリー・ドッグ・ナイトでした。初期のヒット曲を網羅したコンピュレーションアルバムの「ゴールデン・ビスケット」は名盤ですなぁ。このスリー・ドッグ・ナイトが所属していたのがダンヒルレコードでした。ダンヒルABCはウェストミンスターまで包含し、クラシックまで発売するレーベルになっていたんですなぁ。

 

 

 そのスリー・ドッグ・ナイトの「Joy to the World」です。

 

 

 

 

 

 

 見開きのグラビアで「E.L.P」が紹介されています。日本のロックはクラシックがベースにない薄っぺらいものでしたが、ヨーロッパのアーティストはきちんとそういう素養を持っていてびっくりしたものです。その最たるグループがこの「E.L.P」でした。彼らの「展覧会の絵」が出たときには吃驚しましたし、その後の「トリロジー」ではコープランドのの「ホウダウン」で使われていたりとか、しっかりと地に着いた音楽づくりにはいたみ言った次第です。

 

 

 

 

 

 さて、これらのアーティストは本文に紹介されているポピュラーコーナーのアーティストと少なからずリンクしています。ここでは、野口久光、鈴木道子、立川直樹、蒲田耕二というメンバーがその月の新譜をピックうっ部して紹介しています。野口氏はキースジャレットやドン・チェリー、ジャック・ルーシェなどを取り上げています。この記事でジャック・ルーシェがデッカからフィリップスに移籍しているのを知りました。そして。サンタナまで取り上げていて吃驚ですが、このサンタナの「ウェルカム」というアルバムは立川氏も取り上げて絶賛しています。立川氏は他にもミッシェル・ポルナレフやELP、ザ・フーのアルバムなどを取り上げています。鈴木氏もグラディス・ナイト&ピップスを筆頭でとりあげ、さらにアンディ・ウィリアムス、ベッド・ミドラー、ジョニー・マティスを蒲田氏はジョルジュ・ムスタキのオランピア劇場のライブをトップに上げています。

 

 さて、最後は日本の芸人「小沢昭一」がデンスケ片手に日本全国の伝統系農を掘り起こした「日本の放浪芸」です。これはラジオ番組の「小沢昭一的こころ」とコラボして制作されたもので、当時はリアルタイムでラジオに聞き入っていました。この番組のテーマは山本直純氏が書いていたんですなぁ、で、「日本の放浪芸」です。第1巻が好評でこれは第2巻になります。このシリーズ都合第4巻まで発売されました。

 小沢昭一が自らの足で日本各地を歩き、高度経済成長のさなか滅びつつあった放浪芸人による、門付け芸、大道芸、路上の商い、流し、香具師(テキヤ)、僧侶による節談説教(ふしだんせっきょう)、ストリップ・・・などを約15年の歳月をかけて現地録音した音源の数々。
ユーモアを交えて、時に辛辣に語る小沢節のナレーションによって、単なる芸能発掘の記録ではなく、聴くエッセイのように愉しむことができる一代取材記ともなっています。

 

 

 

 多分当時はこの雑誌の隅から隅までは目を通していなくて、特集記事以外は全く記憶がありませんが、細かく読み直してみると当時の思想や潮流を敏感に感じ取っていた雑誌であることがわかります。クラシック目線でポップスも取り上げていた貴重な雑誌だったことがわかります。