声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話 -10ページ目

声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

歌手、声優、俳優、芸人、ビジネス、一般、声に関心のある人に。
プロ、トレーナーも含め、トップレベルのヴォイトレ論を展開します。

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同質に使える声としての1オクターブ

 

 最低1オクターブの声を同質でもっていることが必要だと思います。

そう言うと、3~4オクターブの間違いではないか、自分でも2オクターブは出せる、という人がたくさんいます。ここでは、一声でプロとしてわかる1オクターブ、聞いて違いのわかる、価値のある音色での1オクターブということです。

 

声域は、歌のなかでは1条件にすぎません。

広ければよいのですが、広くても使いものにならなくては何にもならないのです。

 

 同質の声として1オクターブというのは、たとえばピアノの真ん中のドから1オクターブ上のド(女性はラからラ)まで、どの音も、長いフレーズでもシャウトでもできる、ことばで言い切れるということです。

 頭の方へひびかせたり、のどを締めて出すのではありません。

カラオケで歌う人なら、どんな人でも1オクターブくらい使っています。

 しかし、ここでは、同じ発声でということにこだわりたいのです。1

オクターブのなかで、どの音も統一したものをもつことです。

 

声区のチェンジで声の出し方を変えているような人もいます。

それが聞いている人に明らかにわかるようではなりません。

高音においては、細く弱く音色を変えている、脱力して浮かせるか、力でぶつけてガナってキンキン鳴らしているかのどちらかが大半なのです。いろいろなくせがついているわけです。

 

くせが出ているというのは、うまくできていないからです。バランスが崩れてきて、この先の発展が望めないという点で絶望的なのです。

そのままでは、くせをカバーするために、さらにくせをつけて声域を広げることになるからです。

 

そういう指針がヴォイトレでは少なくないのです。私からみると、本来のトレーニングと逆方向です。

スポーツ選手でしたら、そこで成績が落ち、その結果、トレーナーも厳しく注意します。歌の場合は、高音にさえ届けばよいと曖昧にやり続けてしまうからよくないのです。

 

くせがない、しぜんな声であるからこそ、いろいろな応用がきくのです。どんなことにも可能性をもってチャレンジし、それを克服できるキャパシティを広げていくこと、それが基本です。

1から始めて10に行き、また1に戻る。これを10回ほど繰り返して、やっと一つ身につく。こういう地道な努力を経て、本当の地力として得られたものが基本の力です。

まず、1オクターブをしぜんな声で使えるようにすることが基本ではないでしょうか。

 

ヴォリュームのある声

 

 私は、声を強いとか大きいというよりも、ヴォリュームのある声という使い方をよくします。ヴォリュームとは音量のことですが、単に音量というのではなく、そこに圧(力)が詰まって聞こえてくるということです。密度、緊張感、パワー、声の芯、共鳴、表情などが含まれます。

 

再生してみて音圧が感じられるもの、音量レベル(ヴォリューム)を落としても聞ける声、聞き劣りのしない声、それは通る声のことです。声が、音量を最大に上げなくては聞こえないというのでは、エレキの力に負ってしまいます。

声の実力があるとは言えません。

 

 

[小さな声で通るようにするトレーニング]

 次のことばを小さく、深い息で送り出すように読みましょう。

遠く(10メートルくらい先)にレコーダーをおいて録音してチェックしましょう。

ことばとリズム

 

 音楽としての歌の基本は、ことば、メロディ、リズムです。

それに対し、ヴォーカルとしての基本は、

表現力に直結する体、息、声です。

この三つの柱が備わって歌える条件が整うのです。

 

フレージング、感受性、センスなどは、表現力を支える要素です。

重要な割に、あまりチェックされていないことが多いようです。

 

[ことばとリズムのトレーニング]

 ここでは英語でやってみましょう。韻を踏んだものは歌いやすいでしょう。

 

Mona Lisa, Moon River, Only You, Desperado

情感を入れて読む

 

 あなたがよく知っている歌の出だしをトレーニングに使ってみましょう。

その歌の情景をイメージし、この1文のなかにその雰囲気を出せますか。

 

知っているものをチェックして繰り返していくなかで

フェイクする(変えていく)とよいでしょう。

タイトルを念頭においてイマジネーションを働かせ、充分に表現してみましょう。

 

 知っている歌のタイトルを書き出し、順に読んでみましょう。

苦手なことばや発音のチェックにも使えます。

 

[情感を入れて読む発音トレーニング]

(歌の出だし)…歌のイメージを想い浮かべて

(歌のタイトル)…歌の情景を思いながら

 

発声のチェック表

 

 次のフレーズを歌ってみましょう。好きなメロディをつけてください。

 

「いつまでも、そこに愛がある」

 

それぞれについてチェックしてみましょう。

1)体(フォーム)

2)息(ブレス)

3)声(ヴォイス)

4)共鳴(ひびき)

5)表現力