フレーズでの拡大、たたみかけ
歌を聴かせるのには、少しずつ語りからメリハリを大きくきかせて、たたみかけていくのが一般的な表現方法です。聞き手に迫っていくときのように、少しずつ表現を大きくしていくのです。
人は、同じことを何度も繰り返されると飽きます。先が読めてしまうからです。気持ちのよいフレーズなら、何度でも聴きたいものですが、効果的な変化が必要です。このコンビネーションで創っていきます。表現の隔たりを埋めるのです。トレーニングでは、いつも大きめにということを意識しましょう。
[歌詞に感情を入れて読むトレーニング]
せりふや歌詞を読むときに、ことばのそれぞれの音がバラバラにならないようにすることです。大きな息の流れ、体の流れを感じ、声の流れのなかにことばを入れていく感じです。
「わたしはしんじている」
※弱点は後回しでよい
発声は、よいところと悪いところを混ぜて行うと、悪い方にそろうものです。弱点克服は必要なことですが、長所を伸ばすのを優先しましょう。トレーニングでは、短所も魅力的だと思わせるほどに長所を伸ばしましょう。そこで短所を長所に巻き込んでいくのです。実際のトレーニングのなかでは、「できることを何度もやることによってできないことまでしぜんとできるようになるまで待つ」、「できないことはやっても無駄か害になる」のです。そういうなかで少しずつ弱点を克服していくことが必要です。まわりからつぶしていけばよいのです。
歌になると声が全く変わってしまうことなどは、トレーニングをしているときは、やむをえないケースもあります。声というのは、どうしても苦手な方へとそろいがちです。もともと日本人は、声を出すのが得意ではないのですから、すぐにうまくいかない方へともっていかれてしまうのです。
そこで、ベスト・トレーニング(最もよい状態のとき、やや難しいことトレーニングする)と比較トレーニング(すでにできていることとまだできないことを交互にやり、できている方に合わせていく)を組み合わせます。
アエイオウでウが出にくいとすれば、その人の歌のなかで使える最大の声量と声域はウで限定されます。それぞれのことばの発音を優先して発声を別々のつくり方にすると、そろうはずがありません。そこは、同じような発声(アやエに合わせたウ)にしていくのです。よい方に伸ばしていく、よい方にまとめていく、これがしぜんなプロセスなのです。
※ヴォイスシャワーを浴びよう
私たちは、子供から大人になるとき、あるいは学校に通うようになったときに、大きな声を出すこと、遠くに声をひびかせることの快感、つまり声の力を失ったように思います。そこから今に到るまで、日本語は、毎日のように話してきたのですが、
大して声を使ってきていないのです。
英語を学ぶために、イングリッシュ・シャワーといって、毎日、英語を浴びるほどに聞いていると、知らずと英語の感覚が体に入ってくるという方法があります。
それと同じことをヴォイスでもやりましょう。よい声、よい歌を浴びるほど聞いてください。好きでも嫌いでも、とにかく一流のものをたくさん浴び、自分の細胞から変えていってください。
弱点の多くは、入っていないもの、慣れていないものなのですから、まずは、量で補うことです。