ちょうど先週、ももいろクローバーZの新アルバム『5TH DIMENSION』を買った。
発売当日には、二人ほど中学生か高校生ぐらいの子がおそらく予約して購入している姿を見て
改めて、全国規模になったんだなあと再認識。
後楽園のラクーアの狭くなってしまった新星堂で購入。れに(紫)のポストカード?も手に入れる。
プレイヤーにCDを入れ、流す。普段あまりCD、音楽を買わない僕にとっては
このワクワク感はあまり慣れていない。以下レビューに移るが、あまりファン視点ではなく、あくまで一介のプロレスファン的思想またはももクロの良さでもある多種多様な音楽性を語りたがる一介の音楽好きの戯言として読んでもらいたい。
一曲目。「Neo STARGATE」を聞く。聞き覚えのあるイントロ。これは「o fortuna」だ。
格闘技ファンならおなじみだろうが、レバンナの入場曲。あいにく僕はプロレスファンではあるが格闘技ファンではないので馴染みではないが。ここで少しの違和感があった。
それはその格闘技に関わってくるが、後回し。この曲は公式のPVで聞いていたので改めての衝撃はないが、アルバムを飾る一曲目として非常にテーマ的で良かったと思う。今までのファンやももクロに可愛さを求めている層(むしろそれが見方としては正しい)はこういう曲や前回シングルの「黒い終末」のようないわばクラシカルなレスリングみたいなマニア向けのような曲はあまり求めていないと思うが、僕はこういう手四つから始まるレスリングが好きだ。
二曲目「仮想ディストピア」と四曲目「5 The Power」。後者は作詞いとうせいこう。
さすが日本初のラッパーと呼ばれるだけで今までのラップもどきのようなリリックとはワケが違う。それだけでグッと曲としての締りが出ている。二曲目の「仮想ディストピア」は爽やかさ溢れる曲。と、ここまで聞いていて「おそらくこのアルバムは一般的にも好かれるだろう」という思いが浮かんだと同時に「昼に見た中高生二人はこのアルバムを聴いて楽しめているのだろうか」という思考に行きわたる。一般層にまで響き渡る曲というのは音楽の本質的には正解に近いと思う。
が、ここ最近の「猛烈」や「黒い終末」のようなメタル好きを引き込むような曲に慣れすぎていたためか、少し面を喰らったところはある。
そういう曲をキャッチアズキャッチキャンのようなヨーロピアンレスリングや日本的な手四つからリストロックへと移行するレスリングと仮定すると
今回のアルバムを四曲目まで聞いたときに「見た目は派手で痛さがわかるガチ勝負的要素」のあるアルバムだなあと感じた。つまり、格闘技性の高いプロレスということである。
ももクロとプロレスは切っても切れない関係であるため、さらに突っ込めば
確かに今までもK―1的なコールや演出と“そちらよりのプロレス好き”は否めなかった。
そもそも一曲目でレバンナの入場曲で察して知るべきところなのかもしれない。
が、僕は桜庭や箕輪を挙げて「プロレス」と語るのは非常に好きじゃない。
格闘技性の高いプロレスというとUWFが挙げられるだろう。正直、この時代はまだプロレスを見ていていないので語ることはできないのだが、「見た目は派手で痛さがわかるガチ勝負的要素」という言い表せない違和感をあえて言語化するとしたら「U系っぽいアルバムだなあ」という感想。
ちなみに、西武ドームの一日目の客入れのテーマ曲が「UWFのテーマ」だったみたいで
僕の感性もまあまあ出来る子というのが少しわかった。
5曲目「労働賛歌」。この曲を初めて聞いたとき「アイドルは所詮、商品だ」と言われてる気がしてあまり評価しきれなかったのだけど、今回のテーマ性を持たせたアルバムの中で聞くとより、そう感じてしまう。7曲目「Z女戦争」この曲がもともと作詞作曲やくしまるえつこだけあって異質なこともあって、この辺で前半の「U系」と感じた違和感はなくなってきて、今回のテーマである「五次元」というのに慣れてくる。
9曲目「BIRTHφBIRTH」イントロが少しprideのテーマに聞こえてくる。
アルバムが発表されたときに一曲目のネオスタとこの九曲目が公式PVとして挙げられた。ドリアンマスクと相まって否定的なコメントも多かった。が、アルバムを通して聞いたときに公式がこの2曲をセレクトし映像化したのが良くわかった。しっかりとリード曲として成立している。音楽的に言えば、サビ前のスラップが非常に僕の好きなももクロで安心する。そして作曲NARASAKIの安心感。
こうやって“音楽的”なところにも手が届くアイドルグループってのがいい。
例えるのなら、パワーファイターがローリングクレイドルを使った感じ。
歌詞の一部を抜粋すると「ダメなヤツを演じたヤツはダメじゃないと言ってほしがる そして胸をナデおろすような日々 それで気がすむか?安心してオシマイ?アホか・・?」
アホか・・?と言ってしまうのが攻撃的でいい。
10曲目「上球物語―carpe diem―」ポスト・チャイマ。非常にクサいメロディで僕はかなり好き。非常にももクロらしい。ラテン系の香りする曲。作詞の人を調べたら「抱いてセニョリータ」の人だった。スペイン語を使うとクサさの中に味がある曲が仕上がるんだなあ。11曲目「宙飛ぶ!お座敷列車」90年代のNHKアニメのような懐かしさ。
そしてメロディ的な感じなのか「タイムマシーンにお願い」を思い出した。
こういう“おっさんホイホイ”というのは初期ももクロに近いものがあると思うのだが。
13曲目「灰とダイヤモンド」今回、ヒャダインこと前山田健一が関わっているのは猛烈とこの曲だけ。前山田健一がツイッターで「自分もひと通り聴いたのですが、全く同じ感想です。『進化』てことでサウンドもただ小難しくしただけで、大切な芯を失ったアルバムだと思いました。面白味がない、というか・・。まあ、売れるんでしょうけど・・。」(すぐに削除)と意味深長なコメントをしていたりするのもあって、この曲がラストというのがまたしんみりとさせてしまうのであったりする。
大切な芯を失ったアルバムかあ。と考えたとこ、なんでももクロを好きになったかってその部活っぽさというか、「7曲連続で歌って踊ってケロっとしている」っていうのが凄すぎてそこを気にいって、どんどんスターダムに上るにつれて“音楽性”プログレっぽさやメタルっぽさやロックっぽさがどんどん出てきてそっちを好きになってきた。
「見た目は派手で痛さがわかるガチ勝負的要素」という言葉を使いUWFと称したけど
これって僕がU系が上っ面のプロレスってので嫌いだから表現しただけであって、ほんとは逆で今のテクニックに走ってる曲の方がU系っぽいのかなとも思う。よく自分で言っててわからないね。
ただ大切な芯を失ったってのが「走れ!」や「オレンジノート」や「怪盗」のような曲が出てきていないということならまあそうかもしれない。部活らしさという観点なら、もう全国大会レベルまで求められていて、育成の期間は過ぎたから技術的なところの話になっちゃったのかも。
「BIRTHφBIRTH」の「悪くない感じの・・・進化の途中」ってのを信じたいね。