≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その17(スライド23と24)

(スライド23)

東洋医学は、スライドにしめす、全てが重要ですが、本日は、氣の概念、整体観念、経絡とツボ、ツボ刺激の生体反応を、簡単に説明させていただきます。

まずは、氣とは?どのようなものでしょうか・・・

(スライド24)

人間にとって、「氣」の存在は、「時間」と「空間」に存在するもので、体感するものです。

氣は姿、形がないので、各自が自分のイメージを確立する必要があります。 私の氣のイメージは、スライドに示す、このようなものです。

そして、「氣」を知る最も重要なことは、「氣を体感」することです。

この体感を得るために、ある有名な先生は、坐禅をすすめています。

氣の体感のある人と、ない人では、東洋医学で行使される治療効果に、差がある様です。

気が強い、気が利く、気難しい、気にする、気が重い、気が気でない、気が散る、気に入る、気を配る、気を失う、人気、元気、根気、天気、空気、病気・・・・など、枚挙にいとまがない。

この「気」という字は、略字であって、正しくは「氣」と書きます。

この字の由来として、「气」の部分は天体や自然を表し、下の「米」は人間が八方に光りを放っている姿であり、また食べ物の米という意味もあるようだ。

つまり、「人は天地自然からエネルギーを吸収することで、活き

活きと活動することができる」ということが「氣」の由来でです。

また、古代哲学や思想の中でも世界は「氣」から成り立っていると考えられ、人は「氣」が凝集されて形を象り、生命活動を維持しています。・・・・

東洋医学では、体も心も含めた様々は病証は「氣」の異常として現れると考えられている。

つまり、「氣」を全身に巡らせる通路となる「経絡」の流れがスムーズであれば健康であるが、「経絡」の流れに異常が起こってしまうと人は病気になる。

「病は氣から」という言葉も良く使われるが、この「氣」の本来の意味は「元気や気分の氣」と捉えるよりも、「経絡を流れる氣」と理解するのが正しいと思われます。・・・・・・・・・・・・・・・

東洋医学における病気の治療は、経絡上の経穴(ツボ)に対して鍼や灸を用いて「氣」の流れを整え、人が本来持っている自然治癒力を高め、病気になりにくい体、また、病気になっても治りやすい地質を創る事を目的としている。

氣は、神羅万象を構成する基本要素であり、天の「氣」のバランスによって、季節や天候が変化する考えられていた。

天気、大気、気象、気候などの語に、その名残が見られる。・・・・・・・・

養生訓に出てくる「氣」について

「氣」という言葉は、鍼灸、気功、武術などでは神秘的なニュアンスで語られることがあります。

しかし、「氣」とは玄妙な未解明の精緻な物質や特異能力を示すとは限りません。

たとえば、氣が合う、氣が重い、氣が遠くなる、氣を飲まれるなど、たくさんの日本語があります。氣が氣でないなど、よく考えればわからない言葉もあります。

空気、寒気、電気、気性、平気、気配などがありますが、これらの漢字の意味を限定して解釈したり、理解する必要はありません。

ただ、「養生訓」には、このほかに東洋医学の術語としての「氣」も含まれています。

「氣」の共通項は、「目には見えないが何らかの働きをするもの」です。

A「氣」は、人体の機能・働きをしめす

❶身体機能をしめす

 ①生命・寿命・健康など維持する力

 ②活動・新陳代謝・血行などを活性化する

  エネルギー

 ③防衛力、抵抗力、免疫力

 ④調整、平均化の機能

❷精神機能をしめす

 ①心、感情、精神

 ②気力、根気、精神的パワー

B「氣」は、ガス体のようなものをしめす

❶「氣」は、体内のガス体をしめす

 ①息、呼吸

 ②腸ないのガス、おなら、ゲップ

❷「氣」は、体外のガス体、およびそれに類似のもの

 ①空気、酸素

 ②地域・場所に特有の空気、毒気、雰囲気

 ③匂い、臭気、香気

 ④自然現象、気候、気象

次回は、「整体観念」です。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その16(スライド21と22)

※今僕が一押しの北大の村上教授。是非じっくり読んでいただきたい。

(スライド21)

Neuro-immunology(神経免疫学)は、神経系と免疫系の密接な相互作用を紐解く分野です。

近年、この両者の相互作用解析により、神経変性や免疫性疾患の病態形成機構が明らかとなりつつあります。

そして、私たちが経験的に感じていた、「病いは氣から」ということわざ、の科学的根拠も明らかになってきました。

それを証明する、村上先生の論文の1つを、お示しいたします。

興味のある方は、実験医学の2018年2月号を、お読みください。

「病は氣から」は科学的にも正しい・・・・村上教授

私たちの体は、加齢やストレスにより神経回路が活性化すると、血液細胞が組織に侵入する

ゲート(入り口)を血管に作ります。これを、「ゲートウェイ反射」」と呼びます。

血液中には、病原体から身を守る免疫細胞が多数存在しますが、これらもまた加齢やストレスにより自己攻撃性を持つようになります。

攻撃性を持つ免疫細胞が、開いたゲートから組織内に入り込み、炎症を引き起こすことがあります。原因が「ストレス」にもあるという意味では、「病は氣から」ということわざも、あながち間違っていません。 

(スライド22)

村上教授らの研究グループは、これまでに自己免疫疾患のマウスを用いて、地球の重力が、ふくらはぎの筋肉を刺激することで神経が活性化し、第5腰髄(L5)の血管から血液脳関門を超えて免疫が集まり病気が発症する現象 「ゲートウェイ反射」を報告しています。

村上教授は、ストレスで神経が活性化されることで、脳内の特定の血管に免疫細胞が侵入し、微小炎症が引き起こされる、新しい「ゲートウェイ反射」を発見しました。

この血管部の微小炎症は、通常は存在しない神経回路を形成して活性化し、消化管、心臓の機能

不全を引き起こして突然死を誘導します。

これは、ストレスが臓器の機能不全を引き起こす理由を示す、世界で初めての発見です。

慢性ストレスにより、視床下部の室傍核での、交感神経が活性化し、第三脳室、視床、歯状回の間にある特定血管において、ケモカインccl5が産生され、病因性CD4T細胞が血液脳関門を超えてこの血管周囲に集積します。

これを起点に、他の免疫細胞も集まって微小炎症が誘導されます。

この微小炎症が契機となり、背内側核と、迷走神経の活性化に至る、新たな神経回路が刺激され、胃・十二指腸といった上部消化管と心臓の機能不全により、突然死が起こります。

慢性的なストレスは胃腸疾患、心疾患などの様々な病気を悪化させることが経験的に知られています。

これは顎関節症の原因が、慢性ストレスと、自律神経の関係なので、重要な一つのヒントになると思います。

さらに、東洋医学の「氣」の実態を知る重要な手がかりにも、なると考えられます。

微小炎症は、病の「芽」。  微小炎症=病。  病は氣から。

次に、東洋医学でヒトを診るポイントをお話しいたします。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その15(スライド20)

病気であっても、養生が大事です。

他人軸と、自分軸の2つの軸があってこそ、元気になれるのです。

他人軸とは、医師の調整・治療で、自分軸とは、個人自身が、日々行う、氣の調整・養生です。

必要なことは、未病を自分で正しく、診断できることです。

それには、毎日、コツコツと、体養生、心養生をおこない、自分自身の声を、正しく聞く稽古が必要です。

聞こえたら、それを実践することです。

次回は、現代で「病は氣から」を使用している、北大の村上教授です。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その14(スライド18と19)

(スライド18)

貝原益軒は次のように述べています。

「氣」を感じられなくなった人々の肉体と精神は、人間崩壊の注意信号である。

健全な肉体があってこそ「氣」が巡る。 その氣によって心身を癒し、健康増進を図ることが、養生であると述べています。

他人に任せるのでなく、自分の軸で日々、淡々と行う養生が、大事であると。

養生訓には、養生法として、476項目の記載があります。

それを、私は、次のように、まとめました。

(スライド19)

スライドは、私コペルがまとめた「養生法」です。大学病院を辞めた後、気づいたことがあります、それは、養生法を患者さんに、おつたえしていなかったことです。

その反省のもとに、この本をまとめました。

今日は、快食・快眠・快便.快語などの、10項目を示していますが、自分軸の確立は、無数にあると思われます。

▪︎快食

▪︎快眠

▪︎快便(尿)

▪︎快語(愛語)

▪︎快運動

▪︎快瞑想

▪︎快口腔(舌・舌骨・顎)

▪︎快かみあわせ(口と全身)

▪︎治療より養生が大事。治療より予防。 早期発見、早期治療なのです。

次回は、「養生で未病を治す」です。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その13(スライド17)

「病は氣から」という言葉がありますが、気の持ちようで、どんな病も軽くも重くもなるという意味合いがあると思われます。しかし、気の持ちようと言われても、どのような気持ちでいることが良いのか?

その考え方の基礎になっていると思われるのが、「素問」の養生学になります。

病気になってからでは遅い、病気にならないような気持ちの持ちようがあるというのです。

それを「未病を治す」という表現になっています。

素問の根底に流れている考え方である、養生法の重要性を説いたものです。

その養生法の第一として、四時の季節の陰陽の変化、すなわち自然界の春夏秋冬の季節の変化に、身体も順応させることが一番の養生法であることが説いています。

元気で長生きするためには、まず四季の変化に正しく対応することが大切であり、それが、「未病を治す」ことにつながりなす。

黄帝内経では、病因の一つである、内因については、現代でも共通するものがあります。

黄帝は、多くの疾病が「氣」の異常によって発生することを、述べています。

たとえば、激しく怒れば氣が上逆し、大いに喜べば氣は弛緩し、悲しめば氣は消沈し、恐れれば氣は下降する。

また寒にあえば、氣は収縮し、熱によって氣は、外に漏れると。

これらは、現代だと、「万病のもと、慢性炎症」となるかもしれません。

四季の氣と五臓の氣

五臓(五行)論の現代医学的解釈

木(肝)

肝臓の働き・自律神経の調節・筋肉トーヌス運動神経系調節・血液(静脈、微少循環)の調節

・免疫能・情緒の調整

火(心)

大脳皮質の働き(意識、思考)・大循環睡眠リズムの調整

土(脾)

消化吸収機能

栄養状態・エネルギー供給

水分代謝

免疫能・血管壁の機能維持など

金(肺)

呼吸器系・皮膚の機能

水(水)

成長・発育・生殖など生命力・泌尿生殖器系の維持・調整内分泌・代謝の維持・調整体液の維持・免疫系・神経系・骨格の形成・思考能力(肝)

百病は、みな「氣」から生じる

元氣は、四季にあった養生から

次は、「貝原益軒」です

 

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その12(スライド15と16)

(スライド15)

帯津良一先生は、「病は氣から」という、昔からの言い伝えは、

病気に対する先人の「観察力」の深さを示す、珠玉の言葉です、とおしゃっています。 

「病は氣から」を、使用したヒトを今回は、次の3人を、取り上げてみました。

(スライド16)

今回は、ご覧のような、3人をご紹介いたします。

一人は、黄帝内経の、黄帝です。

2000年前の中国の医学書である、黄帝内経には、百病はみな「氣」から生じると記載されています。

病むとは、「氣」を病むこととあり、氣についての記載が多くあります。

さらに、未病を治すことの重要性も、書かれています。

次に、貝原益軒です。

300年前の、江戸時代の医師である貝原益軒は、養生訓の中で、未病での養生が重要であると説いており、氣血の滞りが病の原因とし、氣血の流れ巡りが大切であるとしています。

なお、養生訓では、養生法が476項目、記載されています。

次は、村上教授です。

現代では、北大の村上教授が、分子神経免疫学で、「病は氣からの謎に迫る」という論文を発表しています。

交感神経と免疫の関わりから、氣の働きを読み解こうと、しています。

次に、それぞれを詳しく、ご紹介いたします。 

次回は、「黄帝内経」です

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その11

(スライド14)

人体の構造や機能は、不明な部分が多く、複雑です。

そのため、疾病の様式やメカニズムも複雑です。

西洋医学、東洋医学、漢方、鍼灸、気功などの治療法は、それぞれ特徴があり、疾患に対するアプローチの方向性に違いがあります。

歯科心身症(顎関節症など)は、必要に応じ、複数のアプローチを駆使することで、問題解決に、つながると考えられます。

古来からの言い伝えである、「病いは氣から」を、現代医学、歯科医学、東洋医学で読み解くことができれば、複雑な病態を、読み解く解決方法が、見出せると確信しています。

次は、「病は氣から」です。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その10

(スライド13)

このスライドは、今回発表した内容で一番大事なものと考えています。

歯科心身症(顎関節症)の、鑑別疾患として、線維筋痛症・慢性疲労症候群などが挙げられており、体と心と口腔を一体として、総合的に診る必要があるようです。

西洋医学と東洋医学の、総合診療が必要ですが、歯の噛み合わせや慢性炎症も、診ることを忘れてはいけません。

原因の多重性は複雑にからんでおり、それをほどくには困難をともないます。

しかし、ヒトを診る視点を時間と空間の広がりに向けると、それは自然とほどけます。重要なことは、患者さんと医師の共同作業です。

顎関節症の診査・診断・治療や養生法には、ヒトが持つ「未知のシステム」、を活用する事が重要だと私は、考えています。

私は、「養生と治療の、一体でのアプローチを忘れないように、心がけています。」

東洋医学は、顎関節症の治療に役に立つのでしょうか?とよく質問を受けます。

東洋医学の最終目的とは〜未知の自然体感覚を感得することにあるようです。

それは、一般的には「整体観念」といわれているようです。

この「整体観念」を理解するには、自我を捨てる必要があるようです?

そして、自我の世界(陰)と無我の世界(陽)との合間を揺らぐことが真理であることの気づきです?

臨床自然運動学は、自分と自然が一体であることを学ぶ学問です。

そして、その一体感覚を深く掘り下げるには、日々忘れることなく続ける必要があります。

厳しい病名であっても、このような養生法を実践すれば、身心は解放され原初の風に乗ることができます。

そうすれば、身心の苦から解放され、安心して「風」にのれ、風を楽しむことができます。

次回は、東洋医学で顎関節症を診ることができるかです。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その9

(スライド12)

線維筋痛症と、臨床各領域にみられる、合併しやすい疾患に、顎関節症・ドライマウスや口腔過敏症が挙げられており、顎関節症の多様性を表しています。

特に注目すべきは、精神症状と、全身痛と、膠原病様症状です。

これらは、東洋医学を利用することで、問題解決につながる可能性があります。

診査・診断・治療において、人体が持つ、未知のシステムを活用する事が重要です。

それは、「未病」の領域を、正常な領域に、ベクトルを向けることが可能になると思われるからです。

ヒトを診るには、病名を探すことも必要ですが、病の根源にも意識を置いて原因の多重性も忘れてはいけません。

さらに、治療においても、新たな発想で「人間の未知のシステム」を活用することも重要です。

次に、顎関節症の原因・治療と養生について、お話を進めたいと思います。

 

≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

「病は氣から」その8

(スライド11)

系統発生的に、「歯科臨床」をみる必要があるようです。

ヒトの5億年の記憶が、胎生5週目に、一気に再現されます。 

スライドに示すように、哺乳類は、ホヤから始まり、八目鰻のえらの神経・筋肉・骨は、ヒトの 咀嚼筋/表情筋/舌/下顎骨/上顎骨などに変化し、体壁筋は人の、舌筋から横隔膜、腹直筋、骨盤底筋に変化していきます。

これは、舌/舌骨/肩甲骨の不安定が、横隔膜にまで影響を与え、それは、さらに迷走神経にまで作用して、全身に影響を与え、心身を不安定してしまいます。

さらに、肩甲舌骨筋と迷走神経の走行も、いろんな問題を、起こします。

シーラカンスの鱗は、歯の硬組織と同じものからできています。一本の歯と、全身がつながっており、それは、さらに、自然ともつながっている、可能性があります。

ヒトを診るには、小さな物語を読むより、大きな物語を読み解く必要があります。

ヒトが噛むということは、アゴだけでかむのではなく、全身でかむのです。

次に、顎関節症が、線維筋痛症の鑑別疾患の一つであることから、全身との関係性を忘れてはいけないようです。

次回は,顎関節症と線維筋痛症です。