≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫
「病は氣から」その16(スライド21と22)
※今僕が一押しの北大の村上教授。是非じっくり読んでいただきたい。
(スライド21)
Neuro-immunology(神経免疫学)は、神経系と免疫系の密接な相互作用を紐解く分野です。
近年、この両者の相互作用解析により、神経変性や免疫性疾患の病態形成機構が明らかとなりつつあります。
そして、私たちが経験的に感じていた、「病いは氣から」ということわざ、の科学的根拠も明らかになってきました。
それを証明する、村上先生の論文の1つを、お示しいたします。
興味のある方は、実験医学の2018年2月号を、お読みください。
「病は氣から」は科学的にも正しい・・・・村上教授
私たちの体は、加齢やストレスにより神経回路が活性化すると、血液細胞が組織に侵入する
ゲート(入り口)を血管に作ります。これを、「ゲートウェイ反射」」と呼びます。
血液中には、病原体から身を守る免疫細胞が多数存在しますが、これらもまた加齢やストレスにより自己攻撃性を持つようになります。
攻撃性を持つ免疫細胞が、開いたゲートから組織内に入り込み、炎症を引き起こすことがあります。原因が「ストレス」にもあるという意味では、「病は氣から」ということわざも、あながち間違っていません。
(スライド22)
村上教授らの研究グループは、これまでに自己免疫疾患のマウスを用いて、地球の重力が、ふくらはぎの筋肉を刺激することで神経が活性化し、第5腰髄(L5)の血管から血液脳関門を超えて免疫が集まり病気が発症する現象 「ゲートウェイ反射」を報告しています。
村上教授は、ストレスで神経が活性化されることで、脳内の特定の血管に免疫細胞が侵入し、微小炎症が引き起こされる、新しい「ゲートウェイ反射」を発見しました。
この血管部の微小炎症は、通常は存在しない神経回路を形成して活性化し、消化管、心臓の機能
不全を引き起こして突然死を誘導します。
これは、ストレスが臓器の機能不全を引き起こす理由を示す、世界で初めての発見です。
慢性ストレスにより、視床下部の室傍核での、交感神経が活性化し、第三脳室、視床、歯状回の間にある特定血管において、ケモカインccl5が産生され、病因性CD4T細胞が血液脳関門を超えてこの血管周囲に集積します。
これを起点に、他の免疫細胞も集まって微小炎症が誘導されます。
この微小炎症が契機となり、背内側核と、迷走神経の活性化に至る、新たな神経回路が刺激され、胃・十二指腸といった上部消化管と心臓の機能不全により、突然死が起こります。
慢性的なストレスは胃腸疾患、心疾患などの様々な病気を悪化させることが経験的に知られています。
これは顎関節症の原因が、慢性ストレスと、自律神経の関係なので、重要な一つのヒントになると思います。
さらに、東洋医学の「氣」の実態を知る重要な手がかりにも、なると考えられます。
微小炎症は、病の「芽」。 微小炎症=病。 病は氣から。
次に、東洋医学でヒトを診るポイントをお話しいたします。