オスカー・ココシュカ展だけで、もはやお腹一杯ですが(笑)、レオポルト美術館ではさらにもう一つ凄い企画展がありました。Vienna 1900展。ゼセッションを中心にウィーンの美術が大きく花開いた時代、その様々な画家の作品を紹介する企画展です。

 

 

 

(写真)Vienna 1900展のPRパネル。あれっ!例のクリムトが猫を抱く有名な写真が!(笑)

 

 

このVienna 1900展。実は昨年のGWにウィーンに行った時も同じタイトルで企画展をやっていましたが、今回は格段に規模が大きくなっていました。一連のシリーズものの企画なのかも知れません。

 

正直、1フロア分のココシュカ展で多くの時間を費やした後、3フロア分(笑)のVienna 1900展はかなり流して観て周る形となりましたが、特に印象に残ったのは以下の通りです。(絵葉書は限られました)

 

 

 

 

(写真)Gustav KlimtDeath and Life, 1910/11

※購入した絵葉書より

 

まずはこのクリムトの有名な絵から。現在、上野の東京都美術館で開催されているクリムト展にはユディットが出ていますが、この「死と生」と「ユディット」と「接吻」がクリムトで最も有名な絵ではないでしょうか?この絵を再び観ることができ、大いなる感動。

 

(参考)2019.4.23 クリムト展 ウィーンと日本1900(東京都美術館)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12456428390.html

 

 

 

(写真)Gustav KlimtThe Large Poplar Ⅱ(Gathering Storm, 1902/03

 

以前にも観た一つだけ高いポプラの木がとても印象的な絵。空も不穏な動きです。

 

 

Gustav KlimtLitzlbergkeller, 1915/16

クリムトの風景画は装飾的と言われるのがよく分かる絵。家の白と森の装飾的な緑の対比が見事。

 

Gustav KlimtOrchard in the Evening, 1898

夕闇に怪しく輝く艶かしい木々の絵。

 

Klimt's studio

クリムトの1892年のJosefstaedter Strasse 21のスタジオの再現。仕事部屋ではなく、書斎あるいは居間のような印象を持ちました。

 

 

Call MollForest Pond with Water Lilies, 1900

沼の蓮の葉の描き方が見事。カール・モルはこれまでアルマの養父、というイメージでしたが画家としてどの絵も本当に素晴らしい。

 

 

 

(写真)Koloman MoserWotan and Bruennhilde, 1914/15

 

コロマン・モーザーの絵は昨年いろいろ観ましたが、この絵は昨年にはなかったもの。ワーグナー/ワルキューレ第3幕ラストの場面です。力強い筆致のヴォータンと眠るブリュンヒルデ、ヴォータンの槍で炎が立ちこめ始めているシーンです。

 

この他、トリスタンとイゾルデなど、いろいろな絵に再び逢えて嬉しい限り。コロマン・モーザーの絵は一見してモーザーと分かるきらびやかな雰囲気があります。

 

 

◯リヒャルト・ゲルストルの絵の数々。ゲルストルの絵も以前にいろいろな作品を観ました。恋人だったマチルデ・シェーンベルクの絵が切ない…。

 

 

◯アーノルト・シェーンベルクの絵の数々。とてもシロウトの作品とは思えないシェーンベルクの描いた絵の数々。シェーンベルクによる奥さんのマチルデ・シェーンベルクの絵(1910)までありました!トランプをデザインした絵や、ミュージック・タイプライターの設計図まで、シェーベルクの絵は本当に幅広い。

 

Arnold SchoenbergHatred, 1910

Arnold SchoenbergAlliance, 1910

えっ!シェーンベルクがこんな絵を描いていたの?という感想を持つ、非常に印象的な絵。

 

Arnold SchoenbergGustav Mahler, 1910

マーラーの髪を自分の髪のように描いて、イタズラしたような絵(笑)。同じユダヤ人でマーラーに可愛がられていましたが、結構、喧嘩もしたという話を思い出しました。さらにはアレクサンダー・ツェムリンスキーの肖像画もありました。

 

 

(写真)Egon SchieleHouses by the Sea, 1914

 

この作品は昨年ここで観たエゴン・シーレ展にはなかったように思いました。海辺に白い家が並ぶ印象的な絵。

 

Egon SchieleCalvary, 1912

丘に十字架や奇妙な柱の立つ印象的な絵。

 

 

Rudolf WackerAchbruecke Bregenz, 1926

ブレゲンツの印象的な田舎の絵

 

Franz SedlacekWinter Landscape, 1925

まんまブリューゲル!(笑)の思わず笑みがこぼれてくる絵。フランツ・セドラチェクは昨年ベルヴェデーレで観たBeyond Klimt展でも大いに惹かれた画家でした。もっと体系的に観てみよう。

 

 

 

Vienna 1900展、3フロアにまたがる圧倒的なスケールの展示で、大いに魅了されました!オスカー・ココシュカ展とともに、ウィーンの世紀末美術を押さえるには非常に貴重な機会だと思います。

 

今後、ヨーロッパへの旅行を考えられている方は、1日ウィーンに立ち寄ってレオポルト美術館を観に行くことをお勧めします。ココシュカ展は7月8日までですが、Vienna 1900展は会期末が明示されていないので、それより後までやっているものと思われます。上野のクリムト展と合わせて観ると、世紀末ウィーンの美術をかなり追うことのできる、絶好のチャンスだと思います。

 

 

(写真)レオポルト美術館の前の広場。いつも紫の台の上で多くの人たちが寛いでいて、大好きな光景。左奥の黒っぽい建物はウィーン近代美術館(通称MUMOK)。レオポルト美術館があまりにも充実しているので、なかなかMUMOKを観に行くことができません…。

 

 

 

さて、後半はかなり駆け足とはなりましたが、素晴らしいウィーンの絵画の数々をタップリ堪能できました。名残り惜しくも2時間のみでレオポルト美術館を離れたのは、この後に私の大好きなオケ・指揮者・曲目による最高のコンサートが待っていたからです。

 

その聴く前の時点から最高と確信できたコンサート。実際に聴いて、果たして圧巻のコンサートとなりました!次の記事で!