今年は4月のバベルの塔展、7月のベルギー奇想の系譜展と、ヒエロニムス・ボスの作品を楽しむことのできた一年でした。私も大大大好きな画家です!そのボスの傑作「快楽の園」(プラド美術館)をテーマにした映画が始まったので、さっそく観に行きました。
謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス
監督:ホセ・ルイス・ロペス=リナレス
出演:
シルビア・ペレス・クルース:歌手
ルドヴィコ・エイナウディ:作曲家
オルハン・パムク:作家
ミケル・バルセロ:画家
ウィリアム・クリスティ:指揮者・音楽学者
ラウラ・レストレーポ:作家
カルメン・イグレシアス:歴史学者
イザベル・ムニョス:写真家
ツァイ・グオチャン:現代美術家
ネリダ・ピニョン:作家
サルマン・ラシュディ:作家
セース・ノーテボーム:作家
ハンノ・ウィスマン:歴史学者
エリザベット・タビュレ=ドェラエ:クリュニー中世美術館館長
テレサ・メスキータ:スペイン国立図書館キュレーター
ソフィー・シュワルツ:神経科学者
ニルス・バトナー:美術史家
マックス:漫画家
ミシェル・オンフレ:哲学者
ルネ・フレミング:ソプラノ歌手
ヨハンナ・クレイン:美術史家
サー・ジョン・エリオット:歴史家
フィリップ・デ・モンテベロ:元メトロポリタン美術館館長
アルベール・ボアデージャ:脚本家
ザビエル・サロモン:美術史家
レオナルド・グラシア・アラルコン:指揮者
ホアキン・ディアス:音楽学者
ホセ・マヌエル・バジェステル:アーティスト
ピラール・シルバ・マロト:ボス没後500周年回顧展キュレーター
アレハンドロ・ヴェルガラ:プラド美術館キュレーター
エルリンダ・ガブレロ:プラド美術館美術修復家
(参考)映画の公式サイト
※冒頭に2分の予告編の映像が出てきます。
(参考)2017.4.21 ブリューゲル「バベルの塔」展 ― ボスを超えて ― (東京都美術館)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12267907612.html
(参考)2017.7.21 ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ファーブルまで(ザ・ミュージアム)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12294754045.html
この映画はヒエロニムス・ボスの没後500年を迎えて、プラド美術館全面協力のもと、製作されたスペイン・フランス映画です。ボスの傑作「快楽の園」について、上記の出演者たちが次々と感想を述べていく、ドキュメンタリーのような形で進みます。映画のコピーは、以下の通り。とても興味を惹かれたので、公開早々に観に行ったしだいです。
「この世は地獄か?天国か?」
「プラド美術館全面協力!没後五百年を迎えた今も、謎に満ちた画家ヒエロニムス・ボス。美術史上もっとも異彩を放つ、奇想ワールドはいかにして生まれたのか?」
公開が始まったばかりなので一部の感想のみに留めますが、傑作「快楽の園」について、各分野の一流の方々が、様々な視点からユニークな解釈や感想を述べられていて、もう圧巻でした!レザール・フロリサンでおなじみの指揮者ウィリアム・クリスティさん(上記の予告編の0:13~0:19にも登場)やMETの女王ルネ・フレミングさんも出てきます。絵に描いてある楽譜について音楽学者が「悪魔の音程」と指摘しますが、フレミングさんが無邪気に歌ったりして、ユーモアのある編集も(笑)。
この絵はフェリペ2世が宗教的価値観を確認するために、身の近くに置いていた絵だそうで(エル・エスコリアル修道院も登場)、関連してヴェルディ/ドン・カルロの公演のシーン(エリザベッタやフィリポⅡ世のアリア)も出てきます。オペラ好きにはどちらかと言うとネガティヴなイメージのあるフェリペ2世ですが、映画ではポジティヴに評価する感想も述べられていて意外でした。アルヴォ・ペルトの音楽も印象的に出てきます。
ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」の映画、大変見応えがありました!「快楽の園」に留まらず、絵画を観る時のいろいろな視点や観点のヒントも与えてくれる、極めて良作な映画だと感じました。バベルの塔展、ベルギー奇想の系譜展をご覧になられた方は、再びボス・ワールドにたっぷり浸れるので必見だと思います!(「トゥヌグダルスの幻視」も出てきます。)
そして、改めて感じたのは、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」自体の素晴らしさ!私もマドリッドを旅した時に、プラド美術館で実物の絵を観たことがあります。エル・グレコやベラスケス、ゴヤ、スルバランを目当てに観に行ったプラド美術館。最後の方にこの「快楽の園」が展示されていて、結局この絵に一番魅了されました!プラド美術館全体で2時間の時間枠を取っていましたが、この「快楽の園」1作品だけで30分かかり、時間オーバーでマドリッドの他の観光地を周れなかったくらい(笑)。そのくらい、いつまでも観ていたくなる興味の尽きない絵だと思いました。
ヒエロニムス・ボスの作品、「快楽の園」に留まらず、近い将来にぜひともまた観てみたいです!(あれ!?これも何だかフラグっぽいかも?笑)
(写真)マドリッドが世界に誇るプラド美術館。入り口には長蛇の列が…。