ほたるいかの書きつけ -66ページ目

貧困と結核

 と言っても女工哀史ではなくて、現代の話。ついでにもういっちょ『赤旗』から。
   「結核注意 ネットカフェ感染 近い距離 複数店から同じ菌」 (『赤旗』3/31)
 要するに、ネットカフェに泊まるという事は、長時間人の密集したところにいるわけで、結核に感染しやすくなる(そして実際にそういう事例があった)、という話。ワーキングプア問題などとあわせて考えると、貧困により寝る場所がなくネットカフェに寝泊りするようになると、感染はしやすくなるし、体力が落ちて発症もしやすくなるのだろう。
 あちこちで言われているけど、もはや「格差」の問題ではなくて、「貧困」の問題だよね、これは。おそらく本人たちもその多くが自覚していないと思うのだけれども、確実にこの日本では貧困層が増大しているのだろう。そして「自己責任」という空気が、彼らにして「この状況は自分が悪いのだから仕方がない」と思わせているのだ。
 また、橋下大阪府知事にかみついた女性職員に対して「オレたちもこんなヒドイ状況で我慢してるのに何言ってるんだ」というようなバッシングに象徴されるように、労働者がどんどん自分の首をしめるような状況になっている。より条件の低いほうへ合わせようと労働者自身の動きがつくられている。
 こういう動き、財界からしてみればこんなに嬉しいことはないだろう。昔、「機動警察パトレイバー」だったか、「社長が一番欲しがるもの、給料を欲しがらない労働者」みたいなセリフがあったが(記憶違いかな。もう10年以上も前だもんなあ)、労働者が自発的にそうなっていくんだもんね。

 国民を分断して互いを競わせ、足を引っ張り合うように誘導する。財界は喜び、孤立化した労働者は帰属意識も求めてナショナリズムに走り、国家と自分を同一視するようになる。あるいは完全に個にこもり、スピリチュアルな世界に救いを求める。いずれにしても政権は安定し、このような政策にポジティブフィードバックがかかる。さらに保守二大政党化を進め、同じ政策のもと定期的に政権を交代させることでガス抜きをし、より安定化を図る。まあちょっと単純化しすぎた図式だとは思うけど、しかしこの10年来進んでいることの本質はこういうことなのではないかなあ。

後期高齢者の扶養家族は気をつけるべし

 明日から始まる後期高齢者医療制度についてはこのエントリ でも書いたけれども、とにかく人としてどうか、と言わざるを得ない部分が多分にある。それに加え、さらにひどい仕組みになっているらしい。
   「7万人、無保険の恐れ 後期高齢者医療 健保の扶養家族」 (『赤旗』3/31)
 なにが問題かというと、75歳を超えた人の扶養家族が74歳以下だと、色々手続きしないと無保険になる、というのである。75歳を越えた人は自動的に新しい仕組みに移行するのだが、その扶養家族は、自分で一旦資格喪失届けを出さないと、国保に加入できないのだそうである。

 なんというか、勝手に国のほうで線を引いておいて、あとは知りません、というか、自分の身は自分で守ってね、とでも言うような仕打ち(まさに「仕打ち」であろう)はひどすぎる。国の都合で制度をいじってるんだから、ケアまで国がやるべきだろう。


ひどすぎる、「靖国」4月からの公開は白紙に

 こちらのエントリ で触れた、稲田朋美議員らによる「試写会」要求という名の検閲。功を奏したようだ。『朝日』より。
映画「靖国」公開白紙に 上映館全て辞退 トラブル警戒

2008年03月31日21時31分

 中国人監督が撮ったドキュメンタリー映画「靖国」をめぐり、公開日の4月12日からの上映を決めていた映画館5館すべてが、31日までに上映中止を決めた。すでに1館が3月中旬に中止を決めていたが、残り4館も追随したかたちだ。

 いずれもトラブルや嫌がらせなどを警戒しての判断という。5月以降の上映をほぼ決めていた別の数館は、上映するか中止するか配給側と協議を続けている。

 映画は4月12日から都内4館、大阪1館での上映が、配給・宣伝を担当するアルゴ・ピクチャーズと映画館側との間で決まっていた。

 今回中止を決めた「銀座シネパトス」を経営するヒューマックスシネマによると、3月20日過ぎから街宣車などの抗議を受けたことなどから、27日にアルゴに「降りたい」と伝えた。「お客さんや近隣の店への迷惑もあり、自主的に判断した」という。

 また、「渋谷Q―AXシネマ」も31日、「お客様に万が一のことがあってはならない」と判断。「シネマート六本木」と「シネマート心斎橋」を経営するエスピーオーも「他の映画館が中止すると、こちらに嫌がらせが来るのではないか」と、ひとまず中止にした。この3館については、これまで嫌がらせや抗議などはなかったという。

 これより先に東京・新宿の1館が中止を決め、15日にアルゴ側に申し入れていた。

 この映画をめぐっては、公的助成金が出ていることを疑問視した自民党の稲田朋美衆院議員側が文化庁に問い合わせたのをきっかけに、国会議員向けの異例の試写会が3月12日に開かれた。

無茶苦茶だ。これでも民主主義国家なのだろうか。
 上映中止は撤回してほしい。5月以降公開予定の映画館は頑張って公開してほしい。そして、稲田朋美ら試写会を要求した議員らは民主主義を破壊する軽率な行為に対して謝罪すべきである。

(追記)
『読売』 の記事。
日中合作の記録映画「靖国」、相次ぎ上映中止に

 靖国神社をテーマにした日中合作のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、東京と大阪の映画館5館で上映中止となったと、映画を配給するナインエンタテインメント社が31日発表した。

 中止を決めたのは東京都内の銀座シネパトス、渋谷Q―AXシネマ、新宿バルト9、シネマート六本木の4館と大阪府内のシネマート心斎橋。いずれも今月12日から公開を予定していた。「公開によって、近隣の劇場や商業施設などに迷惑が及ぶ可能性がある」(銀座シネパトス)などと理由を説明している。

 この映画は文化庁所管の芸術文化振興基金750万円の助成を受けており、「政治的な宣伝意図があるのではないか」などとして、国会議員から問題視する声もあった。議員の要請もあって配給会社は3月12日、都内で試写会を開き、議員約40人が参加。議員と文化庁関係者らの意見交換会が開かれ、参院文教科学委員会でも質疑が行われた。19日に新宿バルト9が公開中止を決定。その後、他の映画館や配給会社に上映中止を求める電話などがあったという。

 この作品は、日本に住む中国人の李纓(りいん)監督が、靖国神社を訪れる参拝者や遺族の姿などを記録した日中合作映画。昨年の釜山国際映画祭など海外の映画祭でも上映され、今年3月の香港国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。

 配給会社では「国際的な評価も高い作品が、こうした事態に陥ったのは大変遺憾。日本社会における言論の自由、表現の自由への危機を感じる」とコメントを発表。文化庁芸術文化課では「一般論として、芸術文化の発展の機会が外部からの嫌がらせで妨げられてはならない」と話している。

 最初に助成を問題視し、試写会に参加した自民党の稲田朋美・衆議院議員は「我々が問題にしたのは助成の妥当性であり、映画の上映の是非を問題にしたことは一度もない。いかなる内容の映画であれ、それを政治家が批判し、上映をやめさせるようなことが許されてはならない。私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。

2008年3月31日21時44分 読売新聞)

最後の稲田朋美のコメント、本気かね。本気だとすれば自分のやったことがどういう結果を生むかまったく理解していなかったという点であまりにも浅はかだし、口先だけで本音は喜んでいるのであれば、議員失格だしなにより汚すぎる。

(追々記)
ついでに『産経』 も調べてみた。
東京での「靖国」上映中止に 「近隣に迷惑の恐れ」2008.3.31 18:46

 靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」について、東京都内の映画館3館と大阪市内の1館が、4月12日に予定していた上映を取りやめたことが分かった。これで東京での上映予定はすべて中止となった。

 上映を中止した銀座シネパトス(東京都中央区)を運営するヒューマックスシネマは「近隣の商業施設に迷惑を掛ける恐れがあるため」と説明している。ほかに取りやめた映画館は、シネマート六本木(東京都港区)、Q-AXシネマ(同渋谷区)、シネマート心斎橋(大阪市中央区)。

 同映画をめぐっては、自民党の一部議員が、文化庁の所管法人から助成金が出ていることを理由に「政治的に中立かどうか疑問がある」として、事前の試写会を要求。全国会議員向けの異例の試写会が開かれた。関係者によると、その後一部の政治団体が上映中止を働き掛ける動きを見せていたという。

えらいアッサリした記事。気になるのは記事になった時間が『朝日』『読売』に比べてえらい早いのだが、どういうことかな?両紙とも『産経』と同じころに記事にしたが、その後差し替えたということか。

陰謀論の素地

 沖縄「集団自決」訴訟に関連して、産経記者の方のブログ をちょっとだけ読んだ。
 なんというか、ブログ主の主張自体、かなり香ばしいのだけども…まあ産経だし、と思ってしまうが本当はそれではいけなくて、ジャーナリストとしてそれはどうか、と問題設定すべきなんでしょうが。
 凄いのは、エントリよりもそのコメント欄。ここにコメントを寄せる方々の内容がもう凄いとしかいいようがない。裁判で負けるのは左翼が日本を支配しているからだ、みたいな勢い。おいおい、ホントにそうなら今頃日本はもっとマトモになってるよ、って。
 こういうのを見てると、陰謀論が受け入れられるのもわかる気がしますね。結論先にありき(いまの場合ならば裁判に負けるのはおかしい、と)で、それが受け入れられないのは自分たちに反対するものが裏から支配しているからだ、と。脳内で「合理的」説明をつけちゃうんだなあ。
 それはそれとして、そこで頑張ってるni0615さんはえらい。淡々と、ブログ主の矛盾点を指摘し続けている。コメントしている他の人々も、いつか気がつくときが来るのかなあ。というか来て欲しい。

 ところで、3/27のエントリ を見てたら、国会議員になった義家弘介氏の国会での質問が載っていた。なんというか、堕ちるところまで堕ちたなあ、という感じ。ちょうど、江原啓之の雑誌「KONOYO」を立ち読みしてて、義家氏が登場してたのを見たばっかりだったので、いっそう「堕ちたな」という感を強くした。

「FirefoxやThunderbirdのメモリ消費量を劇的に減らす方法」(追記あり)

 あーこれは凄い。
 →「FirefoxやThunderbirdのメモリ消費量を劇的に減らす方法」
 たしかに劇的にメモリ消費量が減っている。2年も前の記事ですが。

 というか、そもそも windows に毒されつつある自分が哀しい…。

(追記)
windows vista のマシンでもやってみた。
メモリ消費量が変わらない…。ちなみに上でうまく行ったのはXPのマシンです。
やっぱvistaは使えんなあ(と経験を一般化する。まあ他にも使えんと思うことはいっぱいあるのだけど^^;;)。