猫はそれはもうたくさん飼いました。離別、死別、里子と別れ方はいろいろでしたが、やっぱり半野良で外と家に自由に出入りさせていた子の方が病気を拾ってきやすいらしく、短命で看取ったり、死期を悟ったか行方不明になったりする場合が多かったです。部屋飼いして去勢や不妊手術した子の方が断然長生きしましたが、外へ自由に出入りして発情期には遊びまわるのと、部屋飼いして外出恐怖症になるのとでは、猫としてどちらが幸せな生き方かはわかりません。
猫を子猫から飼っていると、その歳の取り方は人間の生涯の縮図のようで、幼猫時代には何もかもが新鮮なのかあらゆることを楽しんで、飼い主を親と思って甘えてくる(飼い主の服をちゅぱちゅぱ吸ってきたりする)様子なのが手に取るようにわかります。発情期が来る成猫時代になると自立心が芽生えるのか、飼い主との遊びよりも外遊びの方が楽しいのか、甘えてくるよりマイペースで気まぐれな様子になるのがわかります。そして成猫~老猫になると、もはや大して外界への興味を持たず、日向ぼっこ程度しか活動せず、飼い主がかまっても面倒そうな反応しか示しません。幼猫のうちに不妊・去勢手術を済ますと幼猫時代のまま歳を取るようで、飼い主に甘えたままの性格で育っていくようです。
外と家とで出入り自由に飼っていて、迷子になってしまった時はあちこちに貼り紙をコピーして貼り、よもや事故ではと保健所にも問い合わせてみましたが、怪我猫の発見は殺処分され、路上で横死しているような場合では生ゴミとして回収され、記録(猫種、特徴、首輪の有無)などは一切残されないと回答されました。そうした行方不明の別れも何度もありました。また人づてに里子にもらった生後2か月ほどの可愛い盛りの子猫が、すぐになついてくれたのにひと月も経たずに仕事から帰宅すると突然死していた時は泣きながら近所の空き地に埋めました。突然死は失踪と並んで出入り自由に飼っていた子の場合も多く、一本のシャベルで何匹の猫を埋葬したことか知れません。
飼い主より早く死んでしまうペットはいわば神様が使われしてくれた天使のようなもので、飼い主を慰め共にすごしてくれた後、再び天に召されていくのだと思うしかありません。これまで飼ったのは猫がもっとも多く、次いで金魚、文鳥、犬といった具合でしたが、金魚や鳥は自然界のものに近いとしても、猫や犬は農耕馬とともに人間よりよほど高貴な存在で、それゆえ人間より地上の生命は短命なのだろうと思えます。今や自分ではペットを飼える生活環境にありませんが、迷子ペットの貼り紙を見るたび胸が傷みます。末尾に人間とペットの関係を歌った美しい歌、ジャッキー・デシャノンさん80歳の最新曲「You're Here For Me」を引いておきましょう。
Jackie Deshannon - You're Here For Me (MV, jackiedeshannon.com, 2022) :