フィギュアの作り方って、学校で習ったことの延長なんですよ
「フィギュアを作ることが出来ます」というと「すごいね」と言われます。そういえば自分はフィギュアを作ることに何時間かけてるんだろうかと、ふと思っておおざっぱに計算してみました。実際にフィギュアを作り始めたのは2007年の7月ころで、一番集中していたときは仕事の後で2時間、休日は丸一日というペースでした。昨年はまったく手をつけてなかったのでその辺を差し引いてざっと計算すると1年間で500時間程度、総計は3000時間、となりました。
あ、もうそんなにかけてたんだ。いま初めて知った。なので「みなさんも3000時間かけるくらいの覚悟を持って」・・・というのはもちろん冗談です。
「フィギュアを作りたい」でTwitter内を検索するとたくさんつぶやきが見つかります。でも実際に取り組んだ人はほとんどいないようです。これは紙とペンさえあれば始められる「絵画」に比べて「ナニから始めていいかわからない。いい教材が見つからない」ということもあって、初心者にとってフィギュアを作るという行為がいかに敷居が高いように感じられるかということなんでしょうね。pixivに比べて一時期隆盛した某SNSのユーザー数は1/10もいなかったですし。
でも、フィギュア作りに必要とされる技術って「学校で習った粘土細工と、彫刻の延長」なんですよ。これらにプラスで「設計力が必要」とされます。図面を描くことができれば設計力は独学で身についていきます。
それ以外は「素材の性質」「工具の扱い方」そして「強度の知識と経験」ですね。たとえば強度は「布を作ってるんだから薄くしないと」などといって0.1mmのスカートを作ったらシリコンやゴムでも無い限り、そんな造型はムリです。直径1mmの髪の毛先を作るにしても、ねんど系の素材はもろいので真鍮(しんちゅう)線などで補強しないとほぼ折れます。コンクリートの中に鉄筋を入れるのと同じ理屈です。
ぼくは最初に作ったフィギュアはキャストキットとソフトビニールキットだったのでその辺の基礎知識は最初からありました。学生の頃は模型雑誌を毎月買って、買ったばかりのガンプラをノコで切断してプラ板やパテで大改造をしてました。雑誌に「作り直した方が早いので、このガンダムの頭はフルスクラッチビルドです」とあれば本当に頭一個丸ごと自作しました。いま振り返るとすごく乱暴な記事とライターだよなあ。完全に初心者置いてけぼりじゃん(笑)。今のHGシリーズとかMGとかPGでそんな記事は書かれないとは思いますが。
話を戻します(ゴホン)。フィギュアを作る上で最大の障害となるのが「2次元のウソから破綻のない3次元への変換」です。3Dモデルで作られたキャラクターならば破綻がない分、作りやすいかもしれません。でもマンガ、アニメ、ゲームといったキャラクターの大部分は絵で描かれています。
この「2D→3D」について、いつかちゃんと説明しないといけないなと思ってはいたんですが、本日とうとう「不可能」という結論に至りました。人間の思考力と言語は「観測できないモノは説明出来ない」ということを最近学んだからです。
例えば「意識とは何か?」これは説明出来ません。観測できないからです。次に「身体の動き」も外面は観測できますが、身体の内部でどの部位がどのような仕組みで働いているかを完全に計測する機器は現代でもないため、これも説明できません。武術の達人の動きを撮影してスローで確認出来ても、誰でもできるというわけじゃないということです。
「じゃあ、どうすりゃいいのよ?」と思われた方、すいません。結局のところ「変換に正解と決まった方法はない。けど近似値を目指すことはできる」ということです。
特に顕著なのが顔です。一番大変なのはたぶん「幼児、児童向け作品のキャラ」です。
いまぼくが作っている子たちも女児向けアニメのキャラクターなので作り始めた頃は「この子たち、実は立体化不可能なんじゃないのか?」と本気で疑いましたよ。正面、斜め、横。これらの設定画かマンガのコマやアニメのキャプチャ画像があればできそう、に見えるんですけど「ほっぺ」がまずきわどい。次に鼻筋と横から見たときの目です。2次元キャラの横顔と現実の人間の横顔を並べて見ればすぐわかります。
横顔を基準に作ると「日本人なのに彫りが深い顔」になってしまい、上からみると魚のように鼻と鼻筋だけが飛び出た形になってしまいます。なのでぼくは「横顔はあまりこだわらないように」作ります。
そして「ほっぺ」ですよ。正面からみれば「ホームベース」なのに「なんでちょっと斜めから見ただけで、あのぷくっとした形になるのよ!」と、怒ってもしょうがないんですが、とにかくきわどい。ほっぺはプロでも手こずるポイントで「気がついたらほほだけが飛び出して、おたふくみたいな顔になってた」というくらいですから。なのでぼくは「古代ローマ人に『平たい顔族』と呼ばれるくらいに抑えておこう」という気持ちで作ることにしてます。いやマジで。
「ねんどろいど」とか、「キューポッシュ」とか、「きゅんキャラ」とかの原型作っている人、ほんとスゴイわ。あれも自分のセンスで再構築している以上「正解なんてないから」っていう世界ですし。
2~3頭身で作りたい人は「ムリせず改造」をお勧めします。「納得いくまで50個でも60個でも作るよ!」という猛者(もさ)の方がいらしたら、心から応援します。「いいね!」ボタン押すくらいしか出来ませんけど。
「ピンキーストリート」の改造からはじめるのもお勧めですよ。じつはいま作っている子たちは放送当時ピンキー改造で作ったひとがいたので。ただ「やっぱり劇中に忠実な姿をしたあの子たちのフィギュアを見たい!」という悪魔のささやき(笑)がぼくを突き動かしてしまったので。「この子たちのフィギュアを作りたい」という願いの代わりに魂を捧げ・・・じゃない、魂を込めて作ってます。
(*^▽^*)
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:見た目をそのまま作ってはいけない場合
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あ、もうそんなにかけてたんだ。いま初めて知った。なので「みなさんも3000時間かけるくらいの覚悟を持って」・・・というのはもちろん冗談です。
「フィギュアを作りたい」でTwitter内を検索するとたくさんつぶやきが見つかります。でも実際に取り組んだ人はほとんどいないようです。これは紙とペンさえあれば始められる「絵画」に比べて「ナニから始めていいかわからない。いい教材が見つからない」ということもあって、初心者にとってフィギュアを作るという行為がいかに敷居が高いように感じられるかということなんでしょうね。pixivに比べて一時期隆盛した某SNSのユーザー数は1/10もいなかったですし。
でも、フィギュア作りに必要とされる技術って「学校で習った粘土細工と、彫刻の延長」なんですよ。これらにプラスで「設計力が必要」とされます。図面を描くことができれば設計力は独学で身についていきます。
それ以外は「素材の性質」「工具の扱い方」そして「強度の知識と経験」ですね。たとえば強度は「布を作ってるんだから薄くしないと」などといって0.1mmのスカートを作ったらシリコンやゴムでも無い限り、そんな造型はムリです。直径1mmの髪の毛先を作るにしても、ねんど系の素材はもろいので真鍮(しんちゅう)線などで補強しないとほぼ折れます。コンクリートの中に鉄筋を入れるのと同じ理屈です。
ぼくは最初に作ったフィギュアはキャストキットとソフトビニールキットだったのでその辺の基礎知識は最初からありました。学生の頃は模型雑誌を毎月買って、買ったばかりのガンプラをノコで切断してプラ板やパテで大改造をしてました。雑誌に「作り直した方が早いので、このガンダムの頭はフルスクラッチビルドです」とあれば本当に頭一個丸ごと自作しました。いま振り返るとすごく乱暴な記事とライターだよなあ。完全に初心者置いてけぼりじゃん(笑)。今のHGシリーズとかMGとかPGでそんな記事は書かれないとは思いますが。
話を戻します(ゴホン)。フィギュアを作る上で最大の障害となるのが「2次元のウソから破綻のない3次元への変換」です。3Dモデルで作られたキャラクターならば破綻がない分、作りやすいかもしれません。でもマンガ、アニメ、ゲームといったキャラクターの大部分は絵で描かれています。
この「2D→3D」について、いつかちゃんと説明しないといけないなと思ってはいたんですが、本日とうとう「不可能」という結論に至りました。人間の思考力と言語は「観測できないモノは説明出来ない」ということを最近学んだからです。
例えば「意識とは何か?」これは説明出来ません。観測できないからです。次に「身体の動き」も外面は観測できますが、身体の内部でどの部位がどのような仕組みで働いているかを完全に計測する機器は現代でもないため、これも説明できません。武術の達人の動きを撮影してスローで確認出来ても、誰でもできるというわけじゃないということです。
「じゃあ、どうすりゃいいのよ?」と思われた方、すいません。結局のところ「変換に正解と決まった方法はない。けど近似値を目指すことはできる」ということです。
特に顕著なのが顔です。一番大変なのはたぶん「幼児、児童向け作品のキャラ」です。
いまぼくが作っている子たちも女児向けアニメのキャラクターなので作り始めた頃は「この子たち、実は立体化不可能なんじゃないのか?」と本気で疑いましたよ。正面、斜め、横。これらの設定画かマンガのコマやアニメのキャプチャ画像があればできそう、に見えるんですけど「ほっぺ」がまずきわどい。次に鼻筋と横から見たときの目です。2次元キャラの横顔と現実の人間の横顔を並べて見ればすぐわかります。
横顔を基準に作ると「日本人なのに彫りが深い顔」になってしまい、上からみると魚のように鼻と鼻筋だけが飛び出た形になってしまいます。なのでぼくは「横顔はあまりこだわらないように」作ります。
そして「ほっぺ」ですよ。正面からみれば「ホームベース」なのに「なんでちょっと斜めから見ただけで、あのぷくっとした形になるのよ!」と、怒ってもしょうがないんですが、とにかくきわどい。ほっぺはプロでも手こずるポイントで「気がついたらほほだけが飛び出して、おたふくみたいな顔になってた」というくらいですから。なのでぼくは「古代ローマ人に『平たい顔族』と呼ばれるくらいに抑えておこう」という気持ちで作ることにしてます。いやマジで。
「ねんどろいど」とか、「キューポッシュ」とか、「きゅんキャラ」とかの原型作っている人、ほんとスゴイわ。あれも自分のセンスで再構築している以上「正解なんてないから」っていう世界ですし。
2~3頭身で作りたい人は「ムリせず改造」をお勧めします。「納得いくまで50個でも60個でも作るよ!」という猛者(もさ)の方がいらしたら、心から応援します。「いいね!」ボタン押すくらいしか出来ませんけど。
「ピンキーストリート」の改造からはじめるのもお勧めですよ。じつはいま作っている子たちは放送当時ピンキー改造で作ったひとがいたので。ただ「やっぱり劇中に忠実な姿をしたあの子たちのフィギュアを見たい!」という悪魔のささやき(笑)がぼくを突き動かしてしまったので。「この子たちのフィギュアを作りたい」という願いの代わりに魂を捧げ・・・じゃない、魂を込めて作ってます。
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