49年ぶりに入院した。
前回の入院は、母から出産された時で、勿論その時の記憶は無い。従って、基本的に初めての入院である。有難い事に、半世紀近くにわたる人生の中で、入院をしたことが無いというのは、本当に幸運である。
そんな中、その健康を維持するために、2年に一度、大腸内視鏡検査をしてもらっている。前回の時は、市の検診で再検査となったことから、ドキドキの内視鏡検査であった。そして、その時1つ小さなポリープが発見された。しかし、その時点では医師の判断で、まだ切除しなくて良いというものだった。
今回の検診でも、そのポリープ以外には発見されなかった。実に幸運な事である。しかも、大きさもほとんど変わっていない様だ。なので、今回も無罪放免となると思った。しかし、今回の先生は、「取りましょうか。」と言った。私は、「えー?取るの?!」と思ったが、もし、このまま置いていつか癌化するなら、今取っておいたほうがリスクは最小限に抑えられると思い、覚悟を決めた。
切除術自体は5分もかからなかった。しかも痛みも無い。しかし、術後の経過を見るため、1泊入院となった。もともと、注意書きに『入院の準備をしてくるように』と書かれていたので、準備はしてきた。さあ、初めての入院である。
術後、安静にするようにということで、わざわざ車椅子で迎えに来てくれた。「そうか、安静にしないといけないんだ。さっき、猛ダッシュでトイレに行ってしまった・・。」それはともかく、早速4人部屋に案内される。そして、ベットに横になると着替えをして、早速点滴が始まる。朝から何も食べてないので、栄養補給をしてくれるようだ。そこで、今日は絶食と告げられた。「えー?!ごはん、もらえないの?!」
でも、よく考えてみれば、こんな贅沢な時間、ここ数年過ごした事が無い。せっかく、神様が与えてくださった休養時間なのだから、ゆっくりさせてもらおう。私は、ベッドに横になり、何をするでもなく目を閉じてみた。なんて贅沢な時間なのだろう。いつもなら、時間に追われて仕事しているのに、今日はこんなゆっくり昼間から寝ているなんて。心の底から、ストレスが消えていくような気がした。何もしない、という贅沢を久しぶりに満喫した。
翌朝はおかゆが出た。丁度、七草だったので、七草粥である。36時間ぶり位に食事をした。「美味い!」病院給食がこんなに美味いなんて。いつも、仕事で週一回くらい検食を食べることがある。患者さんと同じ食事だが、美味くない。こんな食事では、患者さんに申し訳ないといつも思っていた。でも、久しぶりに食べた食事は超美味かった。日ごろ、いかに贅沢になっていたかと反省する。食後、主治医の先生が回診に来られて、「もういつでも退院していいよ。」と笑顔で言われた。ありがとうございます。無罪放免ですな。
翌日は、通常通り朝から仕事に行き、そのまま当直に入った。夕食は検食、すなわち病院給食である。食べてみて思った。「あれ・・・?おかしいな・・。」それは、昨日の朝食べた、美味しい食事とは全く別の、いつもながらの検食であった。
私が入院した病院の給食が美味しかったのか。それとも、前日の絶食のせいで美味しかったのか。今となってはわからない。
でも、健康のありがたさを改めて教えてくれて、しかも休養を与えてくれた、今回の内視鏡検査に心から感謝である。