この春、新幹線が北海道に上陸する。
かつて、青函連絡船で4時間かけて渡った津軽海峡は、たった1時間で渡れるようになる。
上野発の夜行列車に12時間揺られて、ようやくたどり着いた青森駅から、青函連絡船に乗り継いで函館に渡ったのは、30年近く前の事になる。上野から乗った急行は「八甲田」で、乗り継いだ連絡船は奇しくも八甲田丸。初めて乗った5000トンクラスの船は、前夜の不眠不休の旅の疲れのせいで、ぐっすり昼寝して目覚めると、「まもなく函館港に入港します」と放送があって、4時間の船旅はあっけなく終わった。甲板から見ると、目の前に函館山がそびえていた。感動して涙が出た。
群馬の家を出てから、実に24時間近くかかってたどり着いた、蝦夷の地であった。見るものが全て新鮮だった。街を走る路面電車、北海道でしか見られないキハ183形、地平線まで続く風景・・・。思えば、19歳という非常に多感な歳だったからかもしれないが、全てに感動して、全てが素敵に見えた。
もう、あの感動は二度と味わえないのだと思うと、非常に寂しい感じがする。
この春、群馬から4時間余りで函館にたどり着けるようになる。
あの時の感動は無いかもしれないが、新しい感動が生まれるかもしれない。
