読書雑記 -28ページ目

読書雑記

読書日記。

ほとんど自分のためのものです。

マスカレード・イブ (集英社文庫)/集英社

¥648
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☆☆☆★★

「マスカレード・ホテル」以前の話。

最初に「マスカレード・ホテル」を読んだ時ほどのインパクトはないけれど、やはり読ませる。

物語の中でホテルのフロントクラークが様々な客に対応する様を見て、自分ならどうするだろうとシミュレーションしながら読んでみるとおもしろい。
すべてがFになる (講談社文庫)/講談社

¥792
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☆☆☆★★

巻末の解説では瀬名秀明が絶賛しているが、3分の2くらいまで読むのがつらいと感じたのは僕だけだろうか。

パソコンやコンピュータの知識が全くない人には読了は厳しく、トリックの一部も理解できないと思う。

孤島のハイテク研究所という舞台設定がSFとは言わないまでも、あまり現実味がなく今一つ入り込めなかった。でも、そこは好き嫌いの問題なのかもしれない。
☆☆☆☆★

久々に東野圭吾の作品を読んだ。

やはりおもしろい。

仮にミステリーの要素を抜いたとしても、ホテルマン(ウーマン)を描いた物語として十分に楽しめる。
空中ブランコ (文春文庫)/文藝春秋

¥562
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☆☆☆★★

表題作を含む全5編のコメディ短編集。2004年の第131回直木賞にも選ばれた。

なかなか人には言えない症状に悩む患者たちが、伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎のもとへ訪れる。

この色白で太った中年男、患者を患者とも思わず、治療らしい治療もしない、精神年齢が小学生かとも思えるような変人医師に、患者も最初はあっけにとられ、二度と来るもんかと思う。

しかし、人懐っこく常識やぶりの伊良部には、他の人間や他の医師には話せないことを打ち明けることができ、なんとなく通院してしまう。

そして、伊良部の無茶くちゃなアドバイスや行動に付き合っているうちに、患者たちは、問題解決の糸口を見つけていく。

伊良部の歯に衣着せぬ物言いや奇行、患者のおかしな症状が笑える。

伊良部一郎シリーズには、他に『イン・ザ・プール』や『町長選挙』がある。

続けざまに同シリーズ作品を読みたいという程でもないが、また間をおいて読むことになると思う。
半落ち (講談社文庫)/講談社

¥637
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☆☆☆☆★

寺尾聡の主演で映画化された作品。

アルツハイマーの妻を扼殺した警察官の梶聡一郎は、自首して犯行を認めるも、殺害してから自首するまでの『空白の二日間』について口を開こうとはしない。

梶は完全に自供する(落ちる)のではなく、いわば『半落ち』の状態にあった。

確かに、殺害してから自首するまでの『空白の二日間』の行動は、警察が立件すべき『後のこと』でしかない。
『梶は既に、犯行に至る経緯も犯行時の状況も自白した。その供述内容は詳細を極め、少しの破綻もない。このまま調書を作成すれば、送検、起訴、公判のいずれの段階でも立派に通用する代物だ。』
つまりは『事件後の出来事を知るということは、事件を起こした人間の持つ物語を完結させるーといったほどの意味しか持たない』のだ。

それでもなお、梶の持つ物語を完結させたいと思う人物が次々に登場する。梶の誠実で正直な人柄、静謐な態度、澄んだ瞳を見ると、なぜ彼が事件後のことを語ろうとしないのか、みな不思議に思うのだ。

捜査官、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官など、梶の事件に関わる人たちが、それぞれの職務上の義務や使命と、自らの好奇心・道徳感との葛藤のに悩み、時には職場の上司や組織の論理と衝突しながら、梶の真実の物語に迫ろうとする。

取調べ、送検、起訴、公判、判決と事件が進んでいく過程でのキーパーソンの名を冠した章立てになっており、各人が道半ばにして諦めざるを得なかった真実の解明を次の人にリレーしていくような巧みな構成が見事だ。
ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)/新潮社

¥853
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☆☆☆☆★

警視庁強行犯係・樋口顕シリーズの3作目。

このところ毎週一冊のペースで今野敏の作品を読んでいる。

シリーズ1作目・2作目で樋口の捜査を手助けした荻窪署生活安全課・氏家の登場シーンが少なくて寂しいが、これまで読んだ今野敏の小説と同様に、思わせぶりな終わり方をせずに、物語を丁寧にしめくくっているのがよい。相変わらず読後感も心地いい。

本作を読んで興味深かったのが、同僚の不祥事に対する樋口の対処の仕方だ。同じ今野敏の警察小説『隠蔽捜査』の主人公であるキャリア警察官僚・竜崎伸也が見せた不祥事への対応とは一見正反対に思える。別の作品とはいえ、主人公の価値観が問われるような事態への対処の仕方が対照的だったので特に印象に残った。

また、本作では、若者たちの踊るダンスが重要な題材になっており、ダンスの動きに対する描写が非常に丁寧で、なぜ著者はダンスに関して細部や踊るときの感覚的なところまで書けるのだろうと不思議に思うが、そのあたりのことは、あとがきに詳しい。
夜のピクニック (新潮文庫)/新潮社

¥724
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☆☆☆☆★

世代を超えて読まれている作品というのも納得できる。でも、やはり十代、二十代の時に読んでみたかった。

朝の8時から翌朝の8時まで、80キロをひたすら歩くという高校の行事が物語の舞台。

普段の学校生活とは異なり、昼夜を問わず歩き続け、体力的にも極限状態の中では、いつもより他人に対して正直になれたり、固定観念や偏見からも自由になれたりするもの。

そんな非日常の助けを借りながら、主人公は高校生活最後の行事に『秘密の賭け』を託し、友人に対する違った見方や新たな人間関係が生まれる。

高校生たちが繰り広げる歩きながらの会話、独白、回想を中心に進む長編小説でありながら、飽きずに読ませる作家の筆力はすごい。