breaking down into examples(hopping around)

http://www.law.tohoku.ac.jp/~hatsuru/hop/2008/12/breaking_down_into_examples.html


制度趣旨などは、その規定に則して、「具体的に」理解する必要があると考えます。

私自身も、理由付けについて「取引の安全」、「法的安定性」で全て説明してしまう人よりも、その規定に則して具体的に説明できる人の方が、この人はよく分かっているなあ、と思います。


各種の法律の試験の採点基準はよく分かりませんが、一定のテクニカルタームが求められていたとしても、「取引の安全」、「法的安定性」というキーワードが書いてあれば、即座に点数を与える仕組みにはなっていないと思います。

当たり前のことですが、心から忘れないために。


後藤昭=酒巻匡=田口守一「鼎談 刑事訴訟法の学び方・教え方」法学教室197号15頁以下(1997年)

後藤 (前略)

 また、酒巻さんがおっしゃったように、確かに答案を見て感じることがあります。いちばん困る型の答案は、具体的な事例を解決をきいた時に、『実体的真実発見と、人権保障の調和の観点から、これこれと解する』みたいなものです。こういう答案が、どうも司法試験の勉強をしていると思われる人の中に多いわけです。

 確かに、そういう利益の対立が問題になる場面も多いのですが、それはいわば当然のことであって、その調和をどう解決するかについて、刑事訴訟法あるいは憲法の条文に、一応の基準があるはずです。もちろん、条文だけからは自明の結論が出ないからこそ出題されるわけですが、やはりまずは解決の枠を示しているはずの条文に照らして問題点を分析してほしいのです。そこからどのような理由でどのような解決が導かれるかを説明してもらわないと、少なくとも実定法学の答案にはならない、と私は考えているのです。そのような姿勢で書いていけば、『何々と解する』というような、自己満足的な表現にはならないで、例えば『何々と解すべきである』とか、『介さなければならない』という、もっと力強い表現になるはずです。さらに言えば、刑事訴訟法についての利益の対立は、真実発見と人権保障のすべて還元できるわけではありません。もっと複雑な利益の絡み合いがあるのです。

 酒巻 後藤先生のおっしゃったとおり、私も授業では、口をすっぱくして『条文を読め読め』と言っております。法律の解釈をしている以上、すべての出発点は条文です。これは松尾先生の『刑事訴訟法と条文』(法学教室197号6頁以下-ESP補足)のむすびにもピシリと押さえられているところですから、よく注意していただきたいと思います」

アンダーライン、下線はESPによる。


なお、この鼎談で、私が一番印象に残ったのは、後藤先生が鼎談の17頁で述べている、


「刑事裁判には、ドラマがあると思うのです」


という発言です。


余談。

昔の法学教室を読んでいると、「あの先生のお若い頃の写真」が見られて、貴重です。

最近の判例。

2項道路該当性が問題となったケース。

「道路指定処分不存在確認請求」です。


平成19(行ヒ)91 道路指定処分不存在確認請求事件  
平成20年11月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 大阪高等裁判所

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37036&hanreiKbn=01


事件番号 平成19(行ヒ)91
事件名 道路指定処分不存在確認請求事件
裁判年月日 平成20年11月25日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄自判
判例集巻・号・頁

原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成17(行コ)96
原審裁判年月日 平成18年12月19日

判示事項
裁判要旨 建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際,A点からB点を経てC点に至る幅員4m未満の道のうちA点からB点までの部分にのみ建築物が存した場合において,B点からC点までの部分が同法42条2項にいう現に建築物が立ち並んでいる道に当たらないとされた事例

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081125143838.pdf

今日、2008年12月1日から、被害者参加制度がはじまります。

そして、それにあわせた形で、以下の本が出版されます。


酒巻匡/編,椎橋隆幸,川出敏裕,白木功,飯島泰,佐藤達文/著

『Q&A 平成19年 犯罪被害者のための刑事手続関連法改正』(有斐閣)

http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00007.html


裁判員の候補者に通知が発送されるなど、刑事司法改革が現実的に動き出していることを感じさせます。


刑事司法改革を批判するのは簡単ですが、改革は現実に動いているということを、我々は正面から直視しなければなりません。

新制度が廃止・延期される見通しがないのであれば、制度の開始を受け止めた上で対応するのが、現実的であると考えます。

舞鶴の高1女子殺害 異例の「捜査手法」、念頭に裁判員制度? (MSN産経ニュース)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081130/crm0811300042000-n1.htm


いわゆる「自白偏重」への脱却であれば、よいことだと思います。

そして、身体拘束が先か、捜索・差押さえが先かというのは、刑事訴訟法の条文上、決められていないのですから、捜索・差押えの要件を充足する限り、問題がないと思います。


「任意取調べ」という名目での、起訴後勾留等を利用した長期間の取調べよりは、ずっとましでしょう。


刑事訴訟法的にも、注目される事件になりそうです。


現場近くの60歳男宅を捜索、弁護人立ち会い 舞鶴(asahi-com。朝日新聞)

http://www.asahi.com/national/update/1128/OSK200811280003.html


これも極めて珍しいです。

捜査段階の捜索では、被疑者・弁護人の立ち会いは認められていないので。

(刑事訴訟法222条1項で、113条は準用されていません


捜査機関が認めた場合のみ、被疑者には捜索への立会権が認められているのは、222条6項。

「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる


113条1項の文言は、「検察官、被告人又は弁護人は、差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。但し、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない」となっており、違いは明白です。