・「過去」を振り返ることは 「過ち」を繰り返さぬこと
11歴史の確認と発見━で、どこから出発すべきなのか?
日本の若い人々<本書執筆の1970年代当時>が知りたいと思っている、朝鮮における日本帝国主義の支配と内実━この問題は結局、歴史哲学の問題にもなるし文明論にもなるんですが、人間の歴史は大きく一回転したような気がします。
先年トインビーが日本の一少女宛ての手紙の中で「われわれが歴史を学ぶということは、人間が行った悪を二度と繰り返さないということ」(『毎日新聞』一九七一年三月二十一日)であると言っています。
そこで弱肉強食の日本帝国主義の朝鮮統治の状況を一応おさらいすると、そこには実に滑稽あり、怒りあり、それを冷静な目で見ようとしても本当に身震いしてきます。人間はもともと野蛮人だったのでしょうか。
日本の文化は模倣なんですよ。
日本はあの中国の阿片戦争(一八四〇年)をよく見ていて、西洋から文明を取り入れると同時に、西欧流の弱肉強食の露骨な手段も取り入れ、それを応用したのです。
そしてそれを応用する際の第一歩は釜山からの上陸であり、最後に日本帝国主義が敗れて後退するときも釜山から出て行ってるんです。今、二番煎じをやろうとしてもできないでしょうけど。
今までは歴史の臭い所には蓋をしろということで、大分歴史が嘘で塗られてきたわけですが、それではすまされないわけで、いっそここで全てを暴き出すことが大切なのではないかと思うんです。さきほども申したように、日本は一九世紀のヨーロッパの植民地支配の悪い面を相当引き継いでいるわけですが、これから少し日本帝国主義の朝鮮支配の内実について話していきたいと思います。
まず私なりの歴史区分をしてみますと、一九世紀半ばごろまでは探偵時代ということなります。この時期は日本も朝鮮も鎖国時代で朝鮮にはフランス人宣教師以外は来ていないんですが、日本人はこの時期に旅行者を振舞って盛んに探偵をやるわけです。しかもこの探偵は軍人あがりの壮士型が多いのです。当時朝鮮の内部は、親清派、進露派、親日派の三つがグラグラやってたのです。
一八九五年に、ちょうど日清戦争のあとなのですが、日本公使の三浦梧楼が日本人居留民を引率して宮廷に押し入って閔妃<明成皇后>を殺してしまうのです。
‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その13(ころして、おかして、やきましたとさ)‐
もうその頃から具体的な作業が始まっているわけです。
日本の朝鮮侵略に際しては、分断と同化という両側面をもちつつ行われるわけですが、とくに天皇制的な支配のテクニックというか、最終的には中国侵略戦争に協力させるまでになる巧妙なやり口で臨んだ。
‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その32(世界恐慌と満州事変)‐
それまでには長い時間がかかったわけです。
いろいろの記録を読んでみますと、桂太郎の時代から「朝鮮」を無知蒙昧なものにしてしまおうと考えているんです。
‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その15(日露戦争と韓国併合)‐
もちろん違った意見を持っている人もいたのですが、ともかく当時の桂首相は、朝鮮民族を無教育状態にする愚民政策を謀ったのです。そして朝鮮語を廃止することをやったわけです。
その統治機関は憲兵隊です。
これを俗に憲兵政治と言いますが、末端の兵隊が行政権と司法権を握って、いわば殺生与奪を思うままに行使するわけです。そして総督府は基幹産業として、朝鮮人の所有地を収奪してゆくのです。
‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その19(続・過酷な植民地経営 強行された土地調査令)‐
朝鮮では当時、土地を自分の所有であると思っていても登記はしていないわけです。
そこにつけ込んで登記しなかった土地を全部取り上げるわけです。桂太郎の創案だという東洋拓殖会社の土地の取上げ方はもっと巧妙なわけです。東洋拓殖は半官半民的なものなのですが、そのやり口は全く強盗と同じなんです。
朴烈の言葉を引くと「日本政府は東洋拓殖株式会社と結託して朝鮮の経済的実権を握ることに努力している。日本人ならびに日本政府は政治上においても経済上においても社会上においても、その実権を奪い取って朝鮮民族の滅亡を計りつつある・・・・・・」ということになります。
当時日本人は、朝鮮に行けば気楽だからというので、どんどん渡ってきたわけですが、その人間たちは、土地を勝手に自分の名義にしてしまって、東洋拓殖会社に売ってしまうわけです。そして土地を売ってしまうとすぐに姿を消してしまう。東洋拓殖会社では、悪質な日本人なんかをかかえていてその人たちを通じて、土地を収奪するのです。
朝鮮人はそれは詐欺であり、印鑑偽造、文書偽造であるからと告訴するんですが、日本人で構成されている裁判所は、相手がいないんだからと、取り上げられないということになるのです。これは最初から土地を取り上げるための巧妙なチームワークなんです。
※<>は筆者註
『日朝関係の視角 歴史の確認と発見』 金一勉著 ダイヤモンド社 237~240頁より
・「ネグり」は もう通用せんよ
拙ブログでは、こうやって専門書をタネにしながら、何度も近代史の復習を行なうことで、現代の社会状況を「見抜く力」を、自分自身の鍛錬を含めて、ささやかながら発表させて頂いています。
‐『スパイ天国日本』を振り返って(ロシア・北朝鮮・中国の工作員を見張る公安)‐
先日書いた記事も、在日コリアンや近隣諸国の「政治事」を語るときは、リアルにおける当事者たちとの関係性や、過去の歴史、さらには世界ニュースの「大風呂敷」を広げなくてはならない。
そういう『ビックデータ』(無論、個人で処理できる量は限られているが)をもとに、出来る限りの「素材」を集めて、組み立てることによって、より確からしい認識を作り出す「必要不可欠な作業」であり、一個人の感情の赴くままに、大メディアの「ニュース報道」ばかり見ていると、いずれは、その『傀儡(くぐつ)人形』と化してしまうであろう。
‐『コロナ』めぐり中国に「集団訴訟」?一方アメリカ関係で報道されない内容も‐
彼らは「今」しか、それもごく一部のものだけを、意図的な情報選択にもとに作り上げて、『反日』という“言葉の自動機械(宮台真司氏)”によって、周辺諸国を貶めたり、自己を正当化したりするのだが、決まって「過去の歴史の詳細」については、一切語られることはない。
それに触れると、もはや必然的に自分たちの立場が「危うくなる」からであり、だからこそ、一切「触れない」」語らない」に固執して、例えば渋沢栄一だとか、過去の歴史的偉人に触れるときも、奇妙なほどにネガティブな側面にはスルーを決め込むのだ。
人々に「真実」や「反省にもとづく和解」を作らせないために、逆に、今の日本国民を「無知蒙昧」状況にすることによって、対立や分断を煽りつくっている政府やマスコミ、さらには彼らを下支えする存在含め、あらゆる方面に、思考の針を刺していかなくてはいけないと思います。
<参考資料>
・『日朝関係の視角 歴史の確認と発見』 金一勉著 ダイヤモンド社
<ツイッター>
【歴史学を学ぶ大切さを伝えるブログ(ふーくん)】
https://twitter.com/XMfD0NhYN3uf6As
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