水瓶座の満月(5)
ライオンズゲートが閉じるという2022年8月12日は、水瓶座の満月だった。獅子座の父に起こったこと。私に起こったこと。行動したこと。選択したこと。受け取ったこと。その記録です。ヤマなしオチなし日記。3~4回連載の予定だったのに。5回目です。◆よりそう◆帰省中の長男と◆ひとりという平安***これまでの投稿は、タイムラインまたはコメント欄のブログに連載中。【水瓶座の満月(1)】◆発熱外来前夜◆朝◆受診【水瓶座の満月(2)】◆帰宅◆救急車◆病院着【水瓶座の満月(3)】◆救急診療◆入院【水瓶座の満月(4)】◆帰宅する車の中で◆電話の嵐★その1(病棟)★その2(保健所)********************◆よりそうスマホに着信。あわててタップして耳にあてると、凛とした女性の声が、救急の時に担当した医師だと告げる。メモを用意して、ペンを握る。救急搬送され、入院した父についての報告だ。施した検査のこと、結果のこと、父の現在の状況を伝えてくれる。今回、意識不明の状態に陥ったことと「心臓の疾患の痕跡」との関連がわからないため、できる限りの検査が行われているとのこと。とてもていねいに、言葉を選びながら、状況を話してくれたが、結論は、陽性者の病棟にいる間は、限られた検査しかできないため、さらに詳しい検査や治療が必要となった場合は、退院後となるので、月曜日に正式に決まる主治医と相談してほしいとのことだった。父は、現在、落ち着いていて、症状も安定しているとのこと。心臓に何か問題があるなんて「初耳」だが、父の弟も、父の従妹のおじさんも、心臓の病気を持っているので、遺伝的なものがあるのかもしれない。感染は、その人の中に眠っている潜在的な疾患や、持病のスイッチを押し、暴走させ、それが重篤な症状に至らせていると感じる。だとすれば、父にも、心臓に関する何か因子があり、それが感染によって、目を覚ましたのかもしれないし、以前から疾患があり、たまたま感染と重なったのかもしれない。きっかけはなんであれ、検査や治療をしてくださるのは、とてもありがたい。だけど、そのことと同時に、黒雲のように湧き出してやまない思いを伝える。〈高齢者が入院によって、認知症が進んだり、筋力が低下して、退院後、人間としての尊厳が損なわれるような状況になることを耳にしているが、実際にどうなのか〉そう質問しながら、相反する現状が、あふれだす。(認知症の父を、家庭内隔離することは難しいこと)(デイサービスも行けず、ほかの人と接触できない、家の中だけの生活を、父に納得させることは難しいこと)(父は、最近、また、短気の症状が出るようになり、思い通りにならないと、かんしゃくを起こすこと)ふだんは、デイサービスのお世話になっているので、父と関わるのは、朝と夜と日曜日だけだ。玄関を出たら、一目散に会社に出勤。机に座ったら、父のことはすべて忘れて、仕事モードに切り替わる。そんな限られた時間の介護でさえ、父の不可解な行動や、理不尽な言動につきあうのは、疲れるのだ。毎週、日曜日は、最悪だ。週に一度だから、なんとかもっているのだ。それが、連続10日間。介護に加えて、看護!自分も感染せずに、父と24時間、家の中で生活できるだろうか?(そんなこと、やったことがない)(感染者と濃厚接触者なので、誰にも代わってもらえない!)(自分も発症するかもしれない!)(無理―――!)それをやらなくてもいい状況が、訪れようとしている。プロの手にまかせて、安心できる。介護と看護から解放される。夢のような計らいだ。しかし、そのあいだに、父の認知症や尊厳が損なわれていくかもしれない……先生は、はっきりと、「10日間という入院期間は、看護をするご家族様にとってはメリットがありますが、症状が軽減された患者にとっては、むしろよくありません」と伝えてくれた。「…………」「どうされますか?」「…………」即答できない。「……どうしたらいいでしょうか?」と、ぐずぐず、ぐだぐだしてしまう。「決められないと思います」と、先生が言ってくださり、その言葉に、救われる思いがした。先生の言葉は、続いた。「決められないと思いますので、私の話をします」(え?)(先生が、自分の話を?)先生にも高齢のご両親がいること。どう対処するかはいつも考えていること。ご両親が感染したら、重症化の危険がなくなるまでは、医療体制の整った病院で治療を受けるが、危険がなくなったら、退院させ、自宅で看護をすること。自分も感染するかもしれないし、仕事も休まなくてはならないが、少しでも早く退院させ、自宅で生活させることが、両親にとって大切だと考えている。あくまで、自分の場合はこうする、ということなので、ご家族の中には、会社を休めない人もいるだろうし、看護が難しい場合もあるので、参考までにと、何度も念を押しながら、伝えてくれた。切々と。病院の先生が、私の揺れる気持ちをくみとり、よりそってくれて、ご自身のことを話してくださっているという状況に、いいようのない感銘を受けた。しかも、感染者が急増している、お盆休み真っ最中の、たてこんでいるさなかに、だ。この時点で、私は、父を早めに退院させると、決めていた。8月12日(金)の夕方近くのことだ。どんなに重い病気であっても、自宅と家族のもとに帰りたいと、入院している人すべてが、願っているだろうと思う。主治医が決まるのが月曜日。月曜日の父の状況で、退院日の相談をすることになる。せっかく、粗大ゴミを捨てる計画を立てていたのに、予約をキャンセルしなければ……。◆帰省中の息子と4月から社会人となり、配属先の広島で単身生活をしている息子(23歳)の、初めての帰省。夜は、久しぶりに、みんなでごはんを食べるはずだったのに、父は入院。私は濃厚接触者。(会えないなんて、さびしすぎるー――っ)というわけで、みんなでzoomをしようと思い立ち、とりあえず、ラインにリンクを送ったら、息子が速攻で入室してきたので、びっくり。しかも、屋外!歩いている!(歩きながら、zoomに参加できるなんて、フットワーク軽いー――っ)何をしているのかと質問すると、娘(20歳)の買い物につきあい、近所のショッピングモールまで行くとのこと。なぜ、一緒に歩いていないのかと尋ねると、娘は、あとから自転車で来ることになっていたが、追い越しざまに、ニヤっと笑って、先に向かったという。(は?)兄に買い物をつきあってもらうのに、平気で置き去りにして、自転車で先に行く妹と、この暑いのに、それをなんとも思っていない、ほんわかした兄の、ふたりの関係性がイマイチわからないが、本人たちがどう思っているかはともかく、親の目には、仲良しに見える。屋外にいる息子と、実家のPCで会話をするのは、不思議な感じ。歩きながら、zoomをして大丈夫なのかと尋ねると、「ヒマだからちょうどよかった」というので、ショッピングモールに着くまで、近況などを尋ねた。いまどき、文系の大学では、地方公務員以外、転勤必須の仕事にしか就けないのかもしれないけど、このまま、一生、日本各地を回り続けるとしたら、それは果たしてどうなんだろう…… と思いながら、うらやましい気もする。そういえば、ソウルコーチ養成コース0期の受講を決めたとき、子どもたちと、(親としてではなく)人として話ができるようになりたいと望んだことを思い出す。リスペクトしたいし、されたいし、好きと感じたいし、感じてもらいたい。そうなりたいし、力になれたら嬉しい。23歳だから当然だけど、大人になったなあ~ と思う。「離れたままでいいから、会いに来てね!」とお願いすると、「お土産があるから、持っていく~」との嬉しい言葉。成長したものだ。◆ひとりという平安前夜からの覚悟。発熱外来受診。抗原検査陽性。帰宅。異変。救急要請。救急外来。決断。入院。葛藤。電話の嵐。(めっちゃ、がんばったやん)と思う。そして、(ひとり)しんしんと、ひしひしと、その気配がしみてくる。(物音がしない)耳の遠い父が大音量でかけているテレビの音も。ごはんを食べた後に、お菓子や、あんぱんをとりだす、がさがさした音も。洗面所で歯を磨いたり、電気シェーバーを使ったりする音も。トイレに出入りする音も。何度も、二階の戸締りや、玄関の門扉を確認する音も。「今日、何日や?」「今、夜か?」「明日は、仕事か?」と、すべてにおいて、3~5回、繰り返さなければ終わらない会話も。「もう、寝るからな」と、3回は言いにくることも。(なにも、聞こえない)(父の部屋にだれもいない)(家の中にだれもいない)夜中に突然、玄関を出て飛び出すことも。突然、起こされて、説教が始まることも。(なにもない)それは、ふと、気づけば、あまりにも平安。(だれもいない)(ひとり)(だれの気配もない)奇跡のような、平安。母の遺影のそばには、父方の祖父母の写真。ご先祖さまからの、プレゼントだと思った。つづく。ようやく、一日目終了。ここからまた、二転三転。これまでの投稿(1)『水瓶座の満月(1)』ライオンズゲートが閉じるという2022年8月12日は、水瓶座の満月だった。獅子座の父に起こったこと。私に起こったこと。行動したこと。選択したこと。受け取っ…ameblo.jp(2)『水瓶座の満月(2)』ライオンズゲートが閉じるという2022年8月12日は、水瓶座の満月だった。獅子座の父に起こったこと。私に起こったこと。行動したこと。選択したこと。受け取っ…ameblo.jp(3)『水瓶座の満月(3)』ライオンズゲートが閉じるという2022年8月12日は、水瓶座の満月だった。獅子座の父に起こったこと。私に起こったこと。行動したこと。選択したこと。受け取っ…ameblo.jp(4)『水瓶座の満月(4)』ライオンズゲートが閉じるという2022年8月12日は、水瓶座の満月だった。獅子座の父に起こったこと。私に起こったこと。行動したこと。選択したこと。受け取っ…ameblo.jp