放漫財政からの円安を止めるには?
高市内閣が発足した10月下旬から円安が急速に進み物価対策どころか物価上昇を援護してしまい、これに歯止めが掛からない。そして現内閣はその止める術をしらないまま解散総選挙に打って出た。大変な振舞いに映る。
ではどうすれば円安に歯止めが掛かるのか?金利差というストーリーを信じる人たちも、米国が連続利下げし日本が利上げしても全く円安に歯止めが掛からない事実をみて困惑している。
この金利差主義の前提には高金利通貨は買われやすい、といった財政規律を無視した認識が蔓延しているからである。
今回のような「無制限に増刷する」といった印象を持たれてしまうと「通貨安と悪性インフレがこの水準であるにも関わらず、財政も無視して増刷するのか?」といった認識もマーケットで広がることになる。
たとえば米国はどうだろう? 米国で財政拡張をしても通貨安不安は発生しない。それは基軸通貨だからということではなく、財政出動が経済成長に直結しているからである。日本の場合は違う。以前からお伝えしているが、財政出動しても成長に直結しない。急激な少子高齢化と低賃金によって需要が見込めない。費用対効果で1以上のものはほとんどない(過去記事)、といった大きな事情を抱えている。
インフレ対応にしてもそうである。米国は迅速に、そして急激に利上げする。日本は政治への配慮からそのような事はあり得ないし、それ以前に消費に基因するインフレが発生しない。むしろ円安インフレといった利下げ要因のインフレが発生しているのが現況だといえる。
そして今回は露骨だが、高市総理によって責任ある財政拡張とは言いつつも、その責任の部分が不明なまま。米国の場合は流動性の出口は出口戦略として正確にコミットし、確実に通貨供給を止める。(マーケットから信用される) 日本は「通貨供給のブレーキ」がわからないので信用されていない。
積極財政といえばMMT理論たるものがあるが、それは国内における閉鎖的な考えで国際的な為替マーケットでは通用しない。デフォルトはしない(国内MMT論者)、しかし通貨は売られ毀損する(国際マーケット)。 止まらないインフレによって家計がデフォルトに近づいても構わないのだろうか。
評論家のコメントなど見かけるが、金利差神話を盲目的に発信し続ける人たちはマクロ経済寄りの人たちで、彼らは市場参加者でもなくマクロファンドの考え方も持ち合わせていない印象を受ける。MMTを信じ込む人たちは、リフレ派ともよばれているが、通貨安インフレという概念が存在しない。
「悪性インフレが起こり、それでも財政を拡大する。そしてその効果も出口もわからない。よって通貨は売られ輸入インフレは継続」、という流れである。
この考え方であれば通貨は毀損し物価は上昇し続けるだけである。エコノミストの中にも、マーケット寄りの考え方の人たちはいるがこのような人たちは表に出てこない。TV向きでないからである。だからビジネス番組では現場とかけ離れた論調が中心になる。
現在の円安を止めるには?
防衛ラインといわれる160円のところで、通貨当局が為替介入を発信した。しかしそれは今までと変わり映えしない。「断固たる」「あらゆる手段」といった精神論だけで、数字的なものはでてこないからむしろ追い込まれたNGワードだと看做される。
これまでどおり時間稼ぎになるか否か(為替介入)、といったところで、さらにいえば現在の巨大な為替市場の中で、米国と連携したとしても為替介入に効果ナシ、といえるだろう。 (米国はこの状況でも日本の単独介入に釘を刺している/為替報告書)
今、高市政権が円安を止めたいということであれば、抽象的な言葉でなく具体的な、中央銀行的なフォワードガイダンスを発信する事である。原因が積極財政なのであれば、放漫財政ではないことを数値でコミットしなくてはならない。これだけで円独歩安は止まる。
国債発行のルールにコミットする、制度化まで踏み込めばもっと効果はある。
国債発行額をGDP比でいくらまで、と数値化する。
時間軸も明確にする
補正予算における発動条件の数値化
その他発行ルールの取り決め
このようなガイダンスを総理自身が発言することで、「政治判断でまたコロコロ変わる」といった日本の印象は確実に変化する。
日本の経常収支は第一次所得収支によって大幅な黒字である。よって、経常赤字で利上げを講じた通貨危機の国々と比較し、上記のようなガイダンスとともに円高反転のチャンスを日本は持っているのである。
しかしこのような日中関係ふくむ大変な国難の中、困難に向き合うのではなく逃げるように現総理は解散総選挙を表明した。国民生活は完全な置き去り状態で、本当に残念な事だといえる。
日本の潜在リスクについて
対日レアアース輸出制限強化、とあるけど、個人的な感覚からすると、本当にやるのかな?という感じだった。
理由としては、世界各国が脱中国依存を加速させる中、この行為は中国自体が長期的リスクを負う訳です。
まして日本はレアアース中国依存軽減を長期的に強化してきた国。先進各国は徐々に代替策を整備しているさ中。中国の対日禁輸措置の強化は中国自身のリスクにつながる。よって、禁輸措置を強化するとはいえども(メディアベース)、詳細はわからない。意図的に濁しているように感じる。
つまり中国が今回の特定国に対する禁輸措置を大々的に講じれば、レアアース外交は衰退方向へ。それに変わる次なる中国の外交カードはレアアース以上のものは無いわけです。よって基本的には、中国は容易に踏み切れない。日本はそこを上手く利用すべきだったと思うのだが、高市総理がこの国難に真正面から向き合うことはまったく無く、それどころか解散の話が出てきた。
争点なき解散総選挙
公約(消費減税)を守ることなく自らの失言で経済損失を招き、放漫財政から円安、輸入インフレ加速という認識が一般国民にも広がった。台湾発言では「海上封鎖を解くために米軍が来援をする」となぜか米軍が駆けつける、という前提発言をしたために、日中対立だけでなく擦り寄っていたトランプからも距離を置かれる羽目に。
各自治体は予算編成・審議と繁忙期で選挙権を得た新成人は受験の真っ最中、物価高だけでなく年初から震災続きで大変な思いをしている人たちもこの時期に選挙をするということで突き放された思いかもしれない。選挙にも足が向かないのではないだろうか? それを意図している、と揶揄されても仕方がないだろう。
現実味のあるシナリオ
総選挙の結果、第二次高市政権が発足した場合、実際の戦争にはならなくとも触発的な軍事衝突で緊張が最高度に達する可能性が現実味を帯びる。この人には発言リスクが伴うのでそうなった場合には強硬発言が大きくなり、国民は本当の危機到来を実感するかもしれない。
戦争は無くとも戦争準備の方向は加速するだろうから防衛国債たるものが発行される。そうなれば円安インフレと歳出カットの生活困窮とともに格差は一層広がり国内でも分断が起きる。そしてこの人は責任をまったく取らない。
誰も経済含む戦争を望んでいない。早期退陣が改善へと繋がるのは間違いない。
円安から円高へのアノマリーと、軽率な高市政権について雑感
そうそう、言い忘れてたけど昨年はFRBが9月から3会合連続で利下げした。そしてドル安円高と思いきや円安になった。年を明け利下げ中断で、急転円高へ。
今年も昨年同様、9月から3会合連続利下げ。そして上記と同じくドル安円高と思いきや円安へ。昨年と今年は同じパターンに入っているんですよね。 ※2年チャート参照
・昨年は9月会合前の8月にBLSが年次改定で就業者数の大幅下方修正を公表、パウエルは慌てて「雇用を全力で守る」として利下げ局面に入った。そしてドル安ならぬ円安トレンド。
・今年の8月も雇用で大幅下方修正があったため、トランプはBLSの局長を解任し、パウエルは慌てて9月会合から利下げした。そしてやはり円安へ。
まるでデジャブ、完全なコピー。 まぁこれを知っていたからFRB連続利下げで円安、ということをいったわけではないのだけど、背景が似たり寄ったりだから多分そうかな思ったわけです。
では年をあけたら円高になるのか? といわれればわからない。前回お伝えしたように下げ余地はある。あとは背景による。
高市総理は意味のない強硬発言を改めるべき
その背景の1つとされる日本の新政権に1つ言えるのは、
総理の威勢がいいのはわかるが、不要な強硬発言は控えるべき。いきなり国益を大いに損なっている。これは総理に就任する以前から危惧されていた。外交や防衛強化といっても彼女の軽率発言で出発点がいきなりマイナスになることから積極支出も無駄に大きくなり、振り回される外交・防衛関連の人たちも疲弊する。
東アジアの地域の平和と安定をもたらすべきところが、緊張を高める調整なしの発言なので、相手国(中国)からすると首脳会談直後ということもあって、唐突過ぎて怒りは急騰した。彼女が発言を是正しない限り彼女の存在自体が緊張を高める存在になる。よって、日本国内においても情報操作という面で秀でた中国が、彼女を降ろさせるために工作してくる。すでにテレ朝なんかが煽っているでしょう?
あまり報じられてないようだが、新総理は「海上封鎖を解くために米軍が来援をする。それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われるといった事態も想定される」。ここのあたりが米国にも迷惑を掛け、擁護されず、さらには怒りを買ったのではないだろうか。なぜここまで言うのか?何も考えていないから。
で、こんなことを自分みたいな人間がいうと「お前は親中だ」という方々がいるのだが、ゼンゼン違うでしょ。親中どころか全く逆だし客観的に観ているだけなので。あくまで政策として問題だ、という話。で、もとい円安を止めるための新政権への提言として以下。
昨日お伝えした責任ある積極財政、のところの「責任を発信」、というのはバラマキを止める、補助金の終了期限を明示する等、とにかく放漫財政というイメージが強いからそこは円が売られやすい要素になっているのは間違いないわけです。 そこで介入と言われても、一時的な効果しかないので投じる必要はない。すべて無計画で後手後手、新総理の強硬かつ不要な発言が問題を大きくし、国益を大いに損なっている。
ここが根本問題で、彼女が是正する姿勢を見せない事から、国民は不利益を被ることになる。難しい経済の勉強以前に彼女の軽率発言が彼女の支持者すら大きく裏切る結果になっている。
日銀も同様で、一般の方は勘違いしている人は多いけど、利上げは本来過熱した景気を冷やすツール。為替政策のツールでは無いにも関わらず、政治家ですら勘違いしている人がほとんど。「利上げ=円高」というイメージは安易な認識で、利上げ=景気を冷やす、なので使い方を間違えると円安是正どころか逆効果。
利上げして住宅ローンの問題をはじめとして、消費も滞り景気が冷え込む。冷え込むとどうなるか?また赤字に頼った安易な国債増刷見通しによって円は売られるキッカケになるわけです。利上げしても通貨安になる国々をみてきたでしょう?自分の著作で過去にだいぶ書いたつもりですが。
日本は今、新総理の下そうなるのではないか、という岐路に立たされている。
前回、積極財政による費用対効果の話もしたけど、公共投資で1以上なんて防災・インフラ改修くらいのもの。他の投資は1以下、回収不能でまた増刷、といった意味で円安に傾きやすい脆さを抱えている。少なくとも、マーケットはそうみている。だから長期金利は悪い方向で上昇するわけです。
高市政権が終われば良い方向に向かうのかも。アンチ高市っていう訳ではないのだが、この人は未熟、というか日本を背負うには不適切なんですよね。維新の手を借り、とりあえず初の女性首相になりたかった、と公約を守らない今、いわれても仕方がないわけです。 しかも責任取らない姿勢がアリアリだから短命政権に終わるのではないかな?
とばっちりを受けるのは常に国民で困ったもんですな、