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5月3週 ‐Overview‐ 「4月CPIの解釈について」

15日の米4月コアCPIが俄然注目を集めている。ただ個人的にはいくらそれが市場予想を下回ろうとも3.5%レベルであって、マーケットが一時的に上昇しようが結局利下げできない。

 

以前リーマンとコロナからの収束サイクルの時間軸を比較したわけだけど、リーマン時ではクラッシュが発生しゼロ金利にしたのは08年12月。そののち利上げし、最初の利下げが19年7月。このときの前年比コアインフレ率をご存じだろうか?

 

最初の利下げ(19年7月)のコアPCEデフレータは、1.667%(現在は2.820%/24年3月)でコアCPIは2.166%。(現在はザックリ3.5%レベル)

 

これを考慮すれば利下げを議論するレベルではない、ということ。連銀総裁や議長が何と言おうとも実現することは無いだろう。

 

結果、要人が何を言った、とかではなく参加者自ら能動的にマクロを分析し、自身で判断しなくてはいけない、ということ。(金融)情報配信会社なんかが、「誰が何を言った」なんてことを伝えているでしょう?ああいうのは分析とはいえないただの経過報告に過ぎない。さいきんは特に酷いですね。

 

無理に利下げすればまた利上げ。PCE一辺倒になってはいけない、ということ。

 

 

 

※見返したときに、要所のみ残せばこうなるといういつものパターン、

 

 

 

 

実施されたドル売り介入について

世間的な連休というのも国内だけの話であって、マーケットには関係ないわけです。

こういうときは平日よりも余計に睡眠不足、このあと議長会見もあるしね。なかなかヘビー。

 

そんな中で為替介入騒動について一言。FOMCの前に言っておこうと。他レポートでは即座にお伝えしたが、ここではそうでなかったので補足として。(以下)

 

ちょっと前に米国は他国の通貨安政策(為替介入)を嫌がり口を出すが、通貨高介入に対しては基本スルー、と言ったでしょう?

 

そのことに関し、数日前イエレンが「日本の通貨高介入に関し、いただけない」というような報道があった。なので「通貨高介入(この場合ドル売り介入)に対しても米国はやっぱり嫌がっているじゃないか」という方もいると思うのだが、これは為替介入(ドル売り介入)自体を嫌がっているわけではなく、バイデン政権が国債を増刷し、日本の介入となれば外貨準備高の流動性の部分だけでは足りないので、米国債を売却するのは明らか。これを米国が嫌がっているわけです。

 

つまり米国の財政赤字を補填している日本(しかも世界でぶっちぎりの大量保有国/下表参照)が、その米国債を売却する、それを米国が容認する、という形をとれば、他の米国債を保有する国々が追随する可能性もあるわけで、米国債売却自体を嫌がっている。形としては通貨高介入(ドル売り介入)なんだけど、ドルが安くなることは構わない。むしろ、今の状況でのドル安に関してはどちらかというと米国は歓迎だと思いますよ。貿易赤字やインフレの抑制になるしね。

 

 

 

 

 

 

米国債を売却すれば米国の金利が上昇してやっぱりドルは上がるじゃないか、という人もいるかもしれないがそれも違っていて、22年のように数兆円レベルで売却し、短期間で円を買いまくれば金利は関係ない。

 

結果として、表現上「為替介入は望ましくない」(イエレン)ということになっただけ。しつこいようだが為替介入よるドル安について釘を刺しているわけではなく、国債増刷をしている状態の中で、米国債を売却することについて釘を刺したということになる。

 

為替報告書における操作国や監視国に指定される要件は、どれも対米黒字であったり経常黒字国であったりするわけであって(カラクリ2版p209参照)、それを考えても米国は他国の通貨安政策の為替介入についてのみ禁止しているのは明白なわけです。

 

通貨高介入は禁止もしていないし報告書にも無関係、今回は米国債を売却されると財政赤字が膨張するのでこのような表現になった、というのは重ねてお伝えしておく。勘違いしている専門家も多いようだし、この解釈がどうであるかによって介入に関する知識人?各々の見識の程度がわかると思いますよ。

 

機関としてはFRBが一番米国債を保有しているわけだけど、そのFRBはQTで減らしているでしょう?尚の事、日本に米国赤字補填の債券を売却されると困るんですよね、しつこいようだけど。

 

で、そのあと日本の通貨当局は介入した。米国債を売却したのだろう。これはどういう経緯だったのか公にされることはないが、イエレンにあえてポーズとしてそのように言ってもらい投資家の油断を誘う秘密裏の交渉があったのか、あるいは急激な値動きがあったので通貨当局が独断で実行したのか。

 

ちなみに、上の表だが、中国に関しては他国を経由する米国債のシャドートレーディングを実施しているので正確な数字ではないと思われ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「4月/5月FOMC前夜」 追記:ドル円レートについて

4月4週概要としては、一喜一憂伴いながら週末金曜に向かっていく、というものだったが、PCEコアデフレーターとミシガン大消費者サーベイ確報値は、一見、無難というか利上げ利下げどちらの方向に対し、なんともいえないような数値になった。

 

目先の方向性を決めるのは、これら統計結果を受けた議長が5月1日の会見で、再度の利上げの可能性に言及すれば市場は落ち込み、為替でいえばドル高継続、防御策なき無防備な円はサンドバック状態、というのが通常の解釈。

 

ただこれは基本的な考えであって、結局のところ議長会見の中のワードに掛かっている。26日を通過した時点で1日に何を言うか? 26日を過ぎた時点で明確になると思っていたのだが、この結果では議長の発言を予見するのは難しい。原稿はスタッフが作成するので尚更である。

 

そもそもの話として、なにを言ったとしてもコアインフレが粘着的になるのは昨年からわかっていたわけであって(コアPCEに直結、または間接的に寄与している指標は長期の物価高を示し、点在していた)、それは現況みても変わらないわけです。

 

 

 

 

 

つまり、再度の利上げの可能性は十分にある、というかしなくてはいけないというのが現状で、それを公に伝えることができるか否か。結論からいえば、声明文にそれが記載されることはない。あくまで議長会見。しかし実際には及び腰のセンが強い(ように感じる)

 

伝えることのできない流れは昨年来続いていて、NYfedのウイリアムズがその流れを断ったでしょう?

 

結局はどのような時間軸をもって沈静化させるのか、といったソリューションに行き着くわけです。金融当局の体制はソフトランディングを目指しているので高金利据え置きの神頼みになっている。

 

まぁしかしお伝えしたように選挙前であったとしても予防的に利上げしないとこのままダラダラでしょうね。市場予想を超えた超えないで発生するボラ高の中で神経質なポジション調整を日々繰り返さなくてはならない。

 

これが長期的に続けばどうなるか? 過大なストレスと安眠不足で、短期間で老ける、ということです。普通ではなくなり人間関係にも支障がでてくる。

 

自分が上記リンクで【「あと1周」「もう少し」、という言葉が延々と繰り返され、結局疲労が蓄積されるというシナリオである】としたがこれはマーケットだけの話ではなかったという、 、

 

 

 

ドル円レートについて

 

ドル円158.4だとか。よく、政策金利の確率ツールとしてマーカンタイルのfedウォッチが用いられるが現行のFFレート誘導目標の上限まで短期金利は吹き上がってきており、通常であれば525‐550以上の可能性、550‐575(bps)の可能性が0%、ということはないわけです。

 

これは議長が「現在の水準を可能な限り維持する」「現在の水準がピークの可能性」なんて言い続けてきたものだからこうなっているだけであって、ウィリアムズのように再度の利上げの可能性について、5月1日以降、議長がどこかで言及しようものなら(言及するのであれば、あえて会合後の会見を避ける)、550(bps)以上の金利確率は一気に高まりドルは円に対してさらに強くなる。

 

インフレ指標だけでなく雇用や生産状況を考慮すれば、実質上、550オーバーの可能性はくすぶり続けるということ。会合後の3日(金)に4月雇用情勢、同日3日と6日にウィリアムズのスピーチがあり、その後15日にCPIが公表される。

 

これらの結果を受けて、パウエルが再度の利上げに言及してしまえば(すなわち白旗宣言の手のひら返しである)、マーケットインパクトは強く、そうでなくとも上記イベントのち、当局者たちがウィリアムズと同じスタンスを構えようものなら6月の経済予想(SEP)は様変わりし、議長は前言撤回に追い込まれることになる。

 

当然、それまでの指標が予想に反し、希望通りの軟化続きとなれば、このような事にはならないわけだが、

 

 

 

 

 

 

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