1954年の「ゴジラ」、1956年の「空の大怪獣 ラドン」に続いて、本多猪四郎と円谷英二のコンビによる東宝特撮映画。

怪獣が出てこない本格的SF映画(モゲラというロボットはでてくるが)

 

 

<ストーリー> 

富士山のふもとの村で原因不明の山火事や山崩れが続発し、翌日、調査団が調べていると、地中から巨大ロボット:モゲラが現れた。モゲラは橋とともに爆破された。

後日、調査団が空飛ぶ円盤の発進基地と推測された湖に到着すると、湖の中から球型のドーム出現し、ミステリアンと名乗る異星人はこのドームを中心に半径三キロの土地と生殖のために地球の女性の引渡しを要求してきた。

自衛隊がドームを攻撃したが、ロケット砲も戦車砲もドームには効果がなかった。

全世界の科学を集めてミステリアンに抵抗することになった。熱線攻撃が計画され、電子砲を備えた航空艇アルファ号が攻撃したが、ドームはビクともしない。

地球軍はドームの怪光線に匹敵する熱線を放射でき、敵の光線を反射することができた新兵器マーカライトファープを完成した。

マーカライトは攻撃を開始したがドームは報復に湖水の水をあふれさせ、洪水によってマーカライトや市街が水底に沈められてしまった。

 

 

 

 

  オープニングは夏祭り

 

特撮映画のオープニングとは思えないのどかで懐かしい雰囲気の夏祭り

 

主役の4人(左から平田昭彦、河内桃子、白川由美、佐原健二)

 

突如、湖の向こうで火事が起こる

 

夏祭りのシーンからすぐに火事、地盤沈下、モゲラの登場と無駄なくスピーディーに本題に入る構成で特撮シーンのつるべ打ちになっているところが嬉しい。

 

 

 

 

 

  地盤沈下

 

広大な村のミニチュアセット

 

 

相変わらず超細かいミニチュア(洗濯物!)

 

 

 

ねじれるように地中に巻き込まれる鳥居

 

 

翌日の調査

 

 

この頃の映画によく登場していたガイガーカウンター

 

 

 

 

 

  モゲラ攻防戦

 

 

モデラ登場

 

目から怪光線

 

 

モゲラが送電塔を破壊すると停電し民家の電気が消える芸の細かさ

 

 

 

炎の中を前進するモゲラ

 

炎の大きさとミニチュアのサイズの違和感がない

 

 

家じゃなくてモゲラに放水しているが・・・(効果あるの?)

 

 

水がダメなら火だ!

 

 

 

橋へ向かうモゲラ、橋と共に爆破されてしまう

 

 

 

 

 

 

  ミステリアンドーム出現

 

ワイドスクリーンを生かした広大な富士のすそ野のミステリアンドームのセット

 

内部のデザインはちょっとチープだが時代を考えるとやむを得ない

 

 

 

ミステリアンは熱に弱く基地内は寒いので地球人はマントが必要

 

ミステリアン

中央の赤いミステリアン役は土屋嘉男。最初は学者役にキャスティングされたのにこちらを演じたのは本人の希望らしい。「ワレワレハ ウチュウジンダ」の元ネタとされるしゃべり方も土屋の発想らしい(本人談)

 

 

何故かミステリアンは地球の女性を要求。3人だけ誘拐して後は交渉(?)という訳の分からない展開、さいしょから黙って大量に女性を誘拐すればいいのに。

 

 

 

 

  ミステリアンドーム攻撃

 

最初の攻防はミサイルや戦車の砲撃で、ドーム表面に全く歯が立たない。

 

 

 

 

 

地盤沈下によって沈む戦車から兵士が飛び出してくる細かいミニチュア芸が見れる

 

 

 

 

 

 

様々な光線の軌跡のヴァリエーションの豊富さが凄い

 

 

 

 

 

ドームからの光線で戦車が溶ける

 

 

 

 

 

 

  新兵器α号、β号、マーカライド・ファーブが参戦

 

巨大なα号

 

 

垂直に浮上することができるが、外見からはどのようなシステムで垂直離陸ができるかサッパリわからない

 

 

 

マーカライト・ファーブを輸送するマーカライト・ジャイロ。表面の光沢が安っぽいのが残念(プラスチックのおもちゃみたい)

 

 

マーカライト・ファーブ

 

 

 

マーカライト・ファーブを下から攻撃しようとして、頭を地上に出した瞬間に倒れてきたマーカライト・ファーブの下敷きになって情けない最後のモゲラ2号

 

 

 

 

 

 

  洪水シーン

 

もっとも特撮がすぐれていたのはこの洪水シーンだろう

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

  やはり核の脅威が・・・。

 

戦後まだ十数年。 

劇中、志村喬扮する安達博士は核兵器の使用に強く反対する。

「地球防衛軍」というタイトルも当時の東西冷戦真っ最中という時代背景を考えると地球の危機には西も東も一丸となって立ちむかわなくてはならないという願いがこめられているのだろう。

 

ミステリアンドームの最後の爆発の煙がキノコ雲よう

 

 

水爆戦争で自分の惑星がなくなり流浪に宇宙人となってっしまったミステリアン。

最後の安達博士のセリフは「我々は彼らの轍を踏んではならない」だった。

 

 

 

 

  最後はちょっとあっけない

 

ミステリアンドームの最初の攻防戦が戦車砲発射、ミサイル発射、ミステリアンドームに命中し火花の繰り返しで単調で長いのと、ドームの内部が佐原健二の光線銃で簡単に破壊できてしまうのが残念。

 

 

 

 

 

  主演は「ゴジラ」コンビと「ラドン」コンビ

 

 

平田昭彦よ河内桃子の「ゴジラ」コンビ

 

平田昭彦

 

河内桃子

 

 

 

佐原健二と白川由美の「ラドン」コンビ

 

佐原健二

 

白川由美

入浴シーンのサービスショットあり

 

 

 

名優志村喬の存在感

 

名セリフが多い。「確信を得てからでは遅すぎることもある」

 

 

中盤からの出番ながらやはり存在感抜群の藤田進

 

 

東宝特撮映画ではおなじみの伊藤久哉

 

若き日の中丸忠夫

 

 

村上冬樹、小杉義男、佐田豊など名脇役も出演しています

左:村上冬樹(「シコふんじゃった」の相撲部OBの爺さん) 右:小杉義男

 

左:佐田豊(「天国と地獄」の運転手 青木)

 

 

ほぼ顔が見えない土屋嘉男

 

 

何故か俳優として出ている弁護士ジョージ・A・ファーネス(リチャードソン博士)

ハーバード大学を卒業し、東京裁判で日本側の弁護を担当した本職の弁護士、その後も日本にとどまり弁護士事務所を開業していた。

なぜこんな有能な弁護士が役者をやっているのかわからないが

 

 

 

 

 

 

1957年 日本 カラー88分

 

【鑑賞方法】DVD  東宝

【英題・原題】 THE MYSTERIAN

【制作会社】東宝

【配給会社】東宝

 

【監督】本多猪四郎

【脚本】木村武

【原作】丘美丈二郎

【制作】田中友幸

【撮影】小泉一

【音楽】伊福部昭

【編集】岩下広一

【美術】安部輝明

【特撮】円谷英二

【メカデザイン】小松崎茂

 
 

 

【出演】

佐原健二:渥美譲治

平田昭彦:白石亮一

白川由美:白石江津子

河内桃子:岸本広子

志村喬:安達博士

土屋嘉男: ミステリアン統領 

藤田進:森田指令

村上冬樹: 川波博士

伊藤久哉:関隊長

中村哲:幸田博士

小杉義男: 杉本指令

中丸忠雄:山本二尉

佐田豊:宮本警部

ジョージ・ファーネス:リチャードソン博士