相変わらず映画館で映画は観ているのですが、感想の方がなかなか追いつかなくて今後もどのくらいのペースで書き上げられるかわからないし鑑賞作品の内容も急速に忘れかけてきているので、ひとまず記録のためにこれまで観てまだ感想を挙げていない作品をリヴァイヴァル上映も含めて寸評とともに挙げておきます。

 

旧作についてはいずれまたもうひとつの方のブログに書くと思いますが、『マトリックス』はこちらで取り上げるつもりです。

 

 

ひろしま』(1953年)

 

8月にNHKのEテレにて放映。また各地の劇場でも公開。TVと映画館両方で鑑賞。

 

子どもたちによる被爆体験記「原爆の子」を原作に、終戦後わずか8年後にして映像化された原爆投下直後の惨状。生き延びた人々の苦しみ。けっして忘れ去ってはならないこと。

 

反核のメッセージが「反米的」としてすべての大手配給会社から公開を拒否されて長らく忘れられた映画となっていた。ただし印象としては、軍部と天皇制への批判も問題視されたのではないかと思う。

 

核兵器への怒りとともに、無謀な戦争を推進し原爆を落とされるまで戦争を続け、しかも2発の原爆を落とされてもなお「天皇陛下の赤子(せきし)として」戦争継続を主張する軍部の愚かさ、罪の深さを描いている。

 

腐敗しきった政権が国民の自由と権利、安全を脅かしている現在だからこそまさに多くの人々が観るべき作品。ちなみに安倍首相が口を尖らせてヤジっていた日教組が制作している。

 

 

ローマの休日』(1953年 日本公開1954年)

 

「午前十時の映画祭10-FINAL」で鑑賞。オードリー・ヘプバーン主演の往年の名作。

 

一国の王女と一介の新聞記者の恋を描くロマンティックなラヴ・ストーリーで彼らがローマをめぐる観光映画でもあるが、実は赤狩り時代の「ハリウッド・テン」の一人、ダルトン・トランボ(『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』)が脚本を務めた、作品の奥に政治色を隠した映画でもあった。

 

オードリーのキュートさにメロメロ。可愛過ぎる。本物のお姫様みたいだった。

 

 

ロケットマン

 

ボヘミアン・ラプソディ』のデクスター・フレッチャー監督作。

 

タロン・エジャトンのエルトン・ジョンへのなりきりぶりが評判のミュージカル。

 

凡人の僕には『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーと同様に天才の孤独はわからないが、似たような手順で同性愛者である主人公の満たされなさを通してその孤独を普遍化しようと試みている。

 

ただし、エルトン・ジョンはフレディのように夭折はしておらず幸せを掴んでいることもあって物語は悲劇的な結末にはならないため、後半の展開を無理やりドラマティックにしようとしているようにも感じられて、わりと尻すぼみな印象だった。

 

でも楽しかったですよ。歌やダンスに理屈はいらない。『ダンスウィズミー』の監督にぜひ観てもらいたい。

 

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 

タランティーノの女優シャロン・テイトへの愛と60年代末のあの時代への思い入れが感じられる、いつものように長い映画。

 

ディカプリオとブラピのイチャコラを楽しめばよくて、要するに『イングロリアス・バスターズ』のクライマックスと同じくタラちゃんの「歴史がこうだったらよかったのに」という願望を映像化したものなんだけど、劇中でブルース・リーを「大口叩きだが実際にはたいしたことない、ただのアジア人のチビ」として笑いモノにしたことは、自称「クンフー映画」好きのタランティーノの無自覚な「人種差別主義者の白人」の側面があらわれていて大いに興醒め。

 

 

 

紅花緑葉(原題)

 

「あいち国際女性映画祭」で鑑賞。

 

少数民族である回族の監督が中国のムスリムの家族を描いた2018年の中国映画。

 

身体が弱い青年と、彼に嫁ぐ娘の物語。

 

夫の実家で彼の両親との同居など現在再放送中の朝ドラ「おしん」と通じるものがあるが、こちらの方がまだ救いがあるし、案外妻は自分の意見をしっかり主張してむやみに夫を立てたりはしない。

 

夫の親たちも「おしん」の“がばいBBA”のように非情ではない。

 

日常をそのまま切り取ったような淡々とした展開はどこか80~90年代に観た映画たちを思い出させたし、中国のムスリムという馴染みの薄い題材に興味をそそられる。

 

出演者たちがあまり俳優っぽくなくて、もしかして素人を使ってるのかな、とも思ったんだけど、資料がないので確認できず。

 

写実的な作品なんだけど、ただ最後に雪が降ってるシーンが明らかに合成で、そういう作り物っぽい映像にはそぐわない内容の映画だったので急に現実に引き戻されてしまった。

 

希望通りに雪が降らなかったんなら別に雪にこだわらなくてもよかったのではないか。

 

「え、これで終わり?」な感じのラストは良くも悪くもアートシアター系な後味。

 

監督のリウ・ミアオミアオさんが来場されてトークイヴェントもあったんですが、残念ながら次に観る別の映画の上映と重なってしまうために僕は参加を断念。お話を聴きたかったから、もったいなかったな。

 

 

 

雪子さんの足音

 

同じく「あいち国際女性映画祭」で、『紅花緑葉』に続いて鑑賞。

 

浜野佐知監督、吉行和子主演作品。

 

関係者のかたがたやこの映画が好きな人には大変申し訳ないですが、観たことを心底後悔して鑑賞中は苦痛でしかなかった今年のワーストワン最有力候補…どころか生涯観た映画の中でもわりと最悪な部類に入るであろう一品。

 

何度も途中で退場したくなったけど、連れがいるので一人だけ抜けるわけにもいかず、最後まで我慢して観た。

 

上映後は浜野監督と吉行和子さんをゲストに迎えてのトーク。

 

「生・吉行和子」が見られたし、撮影の裏話を聴けたのも映画作りの一端がうかがえてよかったですが(吉行さんは階段を昇るシーンでちゃんとした姿勢でいられるように毎日階段の昇り降りを繰り返して撮影に臨まれたのだとか)、できれば映画そのものも楽しみたかった。

 

──ある男子大学生が部屋を借りることになったアパートの大家との交流を描く。

 

大学生を演じる寛一郎(かんいちろう)は佐藤浩市の長男で、その縁で佐藤浩市氏もゲスト出演している。佐藤さんご本人から監督に出演を希望したのだとか。親バカだねぇ。

 

吉行和子さん演じる大家の雪子さんのアパートは、浜野監督がたまたま見つけて交渉して撮影に使わせてもらうことになったのだそうで、中に階段のある洋風のステキな家を監督はかなりお気に入りのご様子。

 

その饒舌で熱い語りからは低予算映画をずっと作り続けてこられた監督ならではの現場と作品への強い愛着が伝わってきたし(ちなみに浜野佐知さんは若い頃に『止められるか、俺たちを』で描かれた若松プロでも一時期働いていたそうで)、監督の活動自体を侮辱するつもりは毛頭ないんですが、今回初めて観たその作品はヴェテラン監督とはとても思えないシロウト臭さが漂っていて、NHKでたまにやってるご当地ドラマの出来損ないみたいな代物だった。

 

やたらと大学生がメシを食う場面があるんだけど、観ていてもちっともおいしそうじゃないんだよね。たくさん並べられた料理もいかにもスタッフさんが用意しました、といった感じで、監督自身が「食事」とか「料理」というものにあまりこだわりがないのではないか、と思わせられる。雪子さんたちが気取ってワインを飲んだりもしているけど、やっぱりそこに「味」や「食べること」への関心が見られない。だから、ただ大学生がメシをもそもそ食ってる姿を眺めていても退屈なだけ。

 

鑑賞後のトークで吉行さんが「普段は自分では料理はしない」「食べることにあまり興味がない」と仰ってたけど、そうだろうなぁと思った。彼女があの料理を作ってるように見えなかったもの。だけど、あの役を「食べることにあまり興味がない人」が演じたらダメだろう。だからあの食事を介したドラマにも入り込めないのだ。

 

共演の菜葉菜さんも来場されて監督や吉行さんと一緒に話されていたけれど、彼女が演じるアパートの住人がまた異様な人物で、やたらと寛一郎演じる大学生にモーションをかけてくる。

 

こんな奴おれへんやろ、って女なのだ。

 

観ていてほんとにイライラしてしまった。笑えるわけでもなく、身につまされるものがあるわけでもない。

 

この映画には原作があるんだそうだけど、だいぶ改変しているみたいですね。

 

 

原作の方は未読なのであくまでも映画の方の感想ですが、「ファンタジー」ともいえなくて、かといって「リアル」でもない、この現実離れしておまけに少しも面白くない物語は一体なんだったんだろう。

 

僕以外のお客さんはほとんどが高齢者のかたがただったので、これは孫のような男の子を眺めるお婆ちゃんの視点で観る映画だったのだろうか。だとしたら、ほんとに俺は場違いなところに行ってしまったんだな。

 

僕がもっと歳取ったら感じ方が変わるのかもしれないけど、でもこの世には観なくていい、観る必要のない映画があるのだ、ということを痛感しました。

 

 

ブレードランナー ファイナル・カット』IMAXレーザー2D版(2007年 オリジナル版1982年)

 

2Dで充分ですよ!

 

 

マトリックス』20周年記念4DX版(オリジナル版1999年)

 

起きろ!

 

 

アス

 

ゲット・アウト』に続いて、「ホラー」だと思って身構えて観てたら、監督のジョーダン・ピールが随所に「笑い」をぶっこんでくるヘンな映画w ただ、「世にも奇妙な物語」の短篇みたいな内容を長篇映画でやられても途中でハッキリ「長ぇな」と思ったし、怖くなくなってくると若干退屈でもあった。

 

 

──以上、作品名とざっと寸評(省略し過ぎたのもあるが^_^;)を記しておきました。

 

また時間できたらあらためて感想を書きますね。では。

 

 

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