監督:マイク・ミッチェル、声の出演:クリス・プラット、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット、ティファニー・ハディッシュ、ステファニー・ベアトリス、アリソン・ブリー、マーヤ・ルドルフ、ジェイドン・サンド、ブルックリン・プリンス、ウィル・フェレルほかのCGアニメーション映画『レゴ(R)ムービー2』。
日本語吹替版のヴォイスキャストは、森川智之、沢城みゆき、山寺宏一ほか。
おしごと大王との戦いが終わったのもつかの間、年少者向けのブロック、デュプロ星人が攻め込んできてから5年。ブロックシティは荒廃してボロボロシティとなっていた。エメットは相変わらずマイペースで明るく生活していたが、宇宙船に乗ってやってきたスウィート・メイヘム将軍によってワイルド・ガールやバットマンたちがさらわれてしまう。
「レゴムービー」シリーズの最新作。お話は2014年の『LEGO(R)ムービー』からの続き。
このシリーズは、僕は2017年の『レゴバットマン ザ・ムービー』も観ています。『レゴバットマン』とこの『レゴムービー』のバットマンは同一人物(執事のアルフレッドやDCコミックスのスーパーヒーローたちも)だけど、二つの作品は別物のようで物語は独立している。
前作『LEGO(R)ムービー』の監督フィル・ロードとクリス・ミラーは今回は製作と脚本を担当。
フィル・ロードは、ちょっと前に観た『スパイダーマン:スパイダーバース』の脚本も書いている。
『スパイダーバース』は評判がよくて、今年のアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞。『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』の監督だった彼らをクビにしたディズニーに一矢を報いた形に(ディズニーは同賞で『シュガー・ラッシュ:オンライン』がノミネートされていた)。
フィル・ロードとクリス・ミラーって、このレゴのシリーズの製作としてこれまでの4作品に携わっているけれど、監督したのは『LEGO(R)ムービー』1本だけなんですね。
前作はあのオチに意表を突かれたし、別の監督による『レゴバットマン』の方はスーパーヒーロー物への愛に溢れた内容でそちらもなかなか面白かったので、この続篇の公開を知ってから楽しみにしていました。つくづくこれは童心に返らせてくれるシリーズだよなぁ、と。
字幕版は僕が住んでるところではやってないので、前作に続いて吹替版を鑑賞。
それでは以降はネタバレいたしますので、まだご覧になっていないかたはご注意ください。
すでに観た人たちの感想では「1作目ほどのインパクトはないが、続篇としては充分な出来」というものが多くて概ね好評のようだし、安心して臨んだのですが。
…う~んと、大変申し上げにくいんですが、意外なことに僕はあまりノれなかったんですよね。
というか、かなり退屈してしまった。
いや、前作はちょうど5年前で『レゴバットマン』はわずか2年前。ついこの前観たばかりだから、そんな急にこのシリーズに飽きちゃったわけじゃないと思うんだけど、物語にいっこうに入り込んでいけず、おまけに物凄い睡魔が襲ってきて、なんと爆睡。
途中でブルース・ウィリスが登場してたことに気づかなかった。
映画の鑑賞中にこんなに豪快に眠ってしまったのは『メリー・ポピンズ リターンズ』以来か。ちょっとここんとこヤバいなぁ。疲れが溜まってんだろうか。それとも加齢のせいか。
フォローを入れておくと、必ずしも映画がつまらないから眠くなるわけじゃなくて(死ぬほどつまらなくても目が冴えまくってて全然眠くならない時もあるし)、作品の中に僕のα波を増幅させる何かが含まれていたんでしょう、きっと。
あ、今回はミュージカルの要素があったなぁ。『メリー・ポピンズR』もそうだし。別にミュージカルだからって必ず眠くなるということはないんだけど。
もう、ちょっとウトウトしてしまった、とかいうレヴェルではなくて、これは無理に逆らわずにこのまま最後まで寝ちゃった方が気持ちがいいのではないか、という悪魔の囁きが聴こえたほど。
で、後半また持ち直してそれからは最後まで観られたんですが、どれくらい寝落ちしてたのかわからないし、それではさすがに感想は書けないので後日改めてもう一度観直しました。
そしたら、またしても途中で眠気が…。おかしい^_^;
でも今度はちゃんと眠らずに全部観ました。そして、最初の時のノれない感覚は今回もやっぱり変わらなかった。なんだか面白くないなぁ、って。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』みたいなボロボロシティは愉快だし、エメットをはじめお馴染みのキャラクターたちは出てくるんだけど、アクションに燃えることもなくギャグにはほとんど笑えず(ジョン・マクレーン刑事の登場とバットマンの口がマイケル・キートンみたいな「M」の形になってたとこだけクスッとしました)、作り手のメッセージを全部キャラクターの台詞で長々と説明してしまう作劇はひどく平板で、まるで道徳を説く教育番組を観ているみたいだった。…このシリーズってこんなにつまんなかったっけ。
観る前からカラフルで賑やかな映画であることはわかっていたにもかかわらず、まるで全身が拒絶反応を示すように眠気に襲われたのだった。とにかく、明らかに何かイケないものをキメて書いたとしか思えないシナリオがヤバ過ぎ。それを実際に映像化したスタッフもかなりキテいるが。ワガママというよりも壊れている“わがまま女王”のラリパッパ映像には観ていて具合が悪くなりそうだった。
要するに前作の終盤のどんでん返しの通り、この映画の主人公でレゴ製の“ミニフィグ”であるエメットの「中身」は人間の少年フィン(ジェイドン・サンド)で、彼らと敵対しているデュプロ製の“わがまま女王”はフィンの妹のビアンカだったということ。彼女はお兄ちゃんと仲良くレゴで遊びたかっただけなのだが、妹が自分のレゴの世界に割り込んできてお気に入りのミニフィグを勝手に動かしたことに怒ったフィンは、彼女が作ったデュプロの建物を壊してしまう。
ビアンカ役の子役の女の子に見覚えがあるなぁと思ったら、去年観た『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の少女ムーニー役で名演技を見せていたブルックリン・キンバリー・プリンスちゃんだった。
『フロリダ・プロジェクト』はとてもいい映画だったから、あれからちょっと成長した彼女の姿を見て、あぁ頑張ってるなぁ、とそこは嬉しかったんだけど、どうも今回はあの映画の時のような演技の冴えが見られなかった。
彼女が演じるビアンカ=わがまま女王がやたらと結婚にこだわるのも…女の子だったら結婚したがるもんなのか?あるいは「和解」や「共存」を表現するのに「結婚」を例えとして使うこと自体が古臭過ぎて。今なら逆にそういう決めつけをこそ破壊すべきなのではないか。
ブルックリン・プリンスに限らずフィン役のジェイドン・サンドも、母親役のマーヤ・ルドルフまでもがなんだかTVコマーシャルや子ども向け番組みたいなわかりやすくてちょっと棒な演技。わざとそういう演出をしてるんだろうけど、その意図がよくわからないし、俳優たちの演技がヘタクソに見えてしまっている。
悪役然としたわがまま女王が実はイイ人で、エメットを救ったレックスがほんとはバッドガイだった、というオチにもまったく納得がいかない。レックスがイジケて世を拗ねる過程に説得力がないから。
なぜ大人になろうとすることが「悪」のように描かれなければならないのか。
ハン・ソロっぽいキャラのレックスが恐竜のラプトルたちを従えているのは、オリジナル言語版ではエメットとレックスの声をアテてるのが「ジュラシック・ワールド」シリーズの主演のクリス・プラットだからだけど、吹替版だからそんなギャグもわかんないし。
あとDCコミックスのヒーローたちの中でアクアマンだけ実写映画版のジェイソン・モモア本人が声をアテてるんだけど、だからそれもわかんないって^_^;
ワイルド・ガールとエメットの噛み合わない会話も、面白いというよりもただひたすらサムい。
エメットをはじめ、誰もがやたらとワイルド・ガールの髪の色にこだわるのも意味がよくわかんない…というかそのこだわり方が異様。
登場キャラたちの言動がコロコロ変わって一貫性もないし。子どもが考えた支離滅裂な話を強引に作り手が伝えたいテーマやメッセージと結びつけたような無理やり感がある。
あと、わがまま女王の配下のメイヘム将軍がヘルメットをとるとお目々パッチリな日本のアニメキャラみたいな顔してて声も急に可愛らしくなるんだけど、ユニキャットもそうだし『スパイダーマン:スパイダーバース』でもそういう女の子キャラが出てきましたが、なんですか、アメリカではああいう日本製のアニメとかマンガみたいのを出すのが流行りなの?別に面白くもないし、お目々パッチリな顔とカマトト声の組み合わせにはむしろイラ立ちを覚えるんですが。素顔を出した途端に弱々しくて媚びたようなキャラに変貌するところには悪意さえ感じる。
それにしても、レゴをめぐって兄と妹が喧嘩して、堪忍袋の緒が切れた母ちゃんがレゴの片づけを命じ、それがレゴの世界の崩壊「アル“ママ”ゲドン」を引き起こした、という、なんてことはないとてもシンプルなお話をなぜこんなわかりづらい展開にしたんだか皆目わからない。
レゴで遊ぶ時は仲良く互いにいろんな新しい要素も受け入れて、思いっきり楽しもう──そういう大切なことを訴えているのはわかったし、『レゴバットマン』もそうだったように「家族」にこだわろうとするのも“レゴ”という玩具を扱ってるからには当然なのかもしれないけれど、やはりこれはいくらなんでも説教臭過ぎやしないか。
前作だってそういうところはあったけど、メタ的なオチの驚きが巧いことそれをカヴァーしていた。今回はその驚きがない分、メッセージらしきものだけがストレートに前面に出てきていて押しつけがましくて何も響かない。クライマックスでレゴのキャラたちがそれぞれ乗り物に乗って飛び立つ場面でわずかに心がざわめいた程度。
残念ながら、個人的にはこれは観なくてよかった続篇だなぁ。1作目で物語は見事に完結していたと思う。すべてはサイコーじゃな~い♪
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