小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」 -22ページ目

小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」

「ガード下学会」「横丁・小径学会」活動の報告および、予定などをお知らせします。

次回横丁学会、12月6日(土)に行います!


第14回「横丁・小径学会」国道遊歩
ナビゲーター:小林一郎
開 催 日:2014年12月6日(土)
集合場所:JR鶴見駅構内から鶴見線に乗り換える

       改札口前
集合時間:午後1時20分(1時30分鶴見発の電車に

     乗ります。
     この電車に乗り遅れると、2時間待たなければ

     なりませんので、時間厳守でお願いいたしま

     す)
内容:駅の外に出られないJR海芝浦駅、

   アーチの「国道駅」、
   生麦魚河岸通り、鶴見のガード下。
   時間があれば、大井町のガード下。


参加費無料。一緒に遊歩しましょう。

突然、見知らぬところから「文庫本化しませんか」なんて


この春、「突然、見知らぬところから印税が振り込まれてくる」というのが仲間内で話題になりましたが、これは、大学の入試問題に著作が使われた際、この使用については、事前に連絡できないため、5月だったか6月だったか、いきなり印税が振り込まれてくる、という話で、落ちとしては「このとき、作者はどのように考えましたか」という問題に答えてみたら、本人が間違っちゃった、という話でした。
この秋、ボクの周囲であったのが、いきなり出版社から「文庫本にしませんか」という電話が入る、という話です。親しい出版社の経営者の話では、つい最近出した単行本が他社から文庫化されてしまう、とう話。海外で賞も取って、さあ、売るぞ~と意気込んでいたら、いきなり、廉価の文庫本を出すだなんて、といのが友人の弁でしたが、この話を土曜日の読書会で話したところ、「う~ん、ボクの所にも来ましたよ」とのこと。何が文庫本になるのかと聞いたら、「40年前の~」とのこと。そこで、ひとしきり、話が弾みましたが、そこに、「なになに?」と話に加わったメンバーに「○○さんの本は、すでに文庫本化されてるから恩恵はこうむらないですよ」と話したところ、「いや、ボクの○○、○○書店から新書で出したいって言ってきたので許可して、今すすめているところですよ」とのこと。いや~、世の中動いている。ボクの所にもいつか来ないかな~、と突然見知らぬところから印税が振り込まれてきたり、文庫本の話が舞い込んでくる電話を待っているんですが、来ないな~。

クラカウアーは刺激的!
明日の読書会では、『糸と痕跡』(カルロ・ギンズブルグ)のⅢ-1で論じられている写真、映画論の検証のほか、そこで取り上げられているクラカウアーに話を拡げ、『歴史―永遠のユダヤ人の鏡像』『カリガリからヒットラーまで』をとりあげ、フランクフルト学派のなかでの彼の立ち位置をもう一度整理したいと考えています。

ということで、先週、クラカウアーを読んだんですが、まあ、実になんとも、久々に刺激的で、かつ挑戦的な文章でした(ここで、群馬出身の詩人のことを思い出しました。まあ、挑発的でぐいぐいと読者を引き込む力強さがありました。精神が個性的で力強い分、読者を引きつける。今は小生を含め、皆、常識人でおとなしいな~。その分、社会的な生活者としてはまともだとは思いますが……)。かつて、70年安保の頃には、ほとんどこうした挑発的な文章が巷に溢れていました(吉本隆明は、目の不自由だったり大学に行かずに思想家になった方に対して「○○は目が見えないから」とか「捨てコンがないから」などと平気で活字で表し、またそうした心ないどぎつさが当時の一部の学生に大いに受けていました。ボクの好きな埴谷雄高さんは、決してそんな表現はしませんでしたが)が、まあ、現在、こうした文章にお目に掛かることはまずありません。そういう意味で、内容もそうですが、実に判りやすい文章でした。
クラカウアーはヨーロッパ大陸のドイツの生まれですが、新聞記者だったたため、思考も文章もアメリカ人のような帰納法。フランス人のような演繹法ではないので、実に判りやすいです。

最近、記憶のでどころが曖昧になってきました

講演で話そうと思ったはなし、ネットで何かを調べていた際、どなたかの論文CiNiiあたりで読んだとばかり思っていたネタ元が、実は単行本であったり、(頭の中に入っている)このバロック建築、どこかの駅のポスターで見かけたので、どこの建物かチェックしておこうと思っていたら、実はバス停での大掛かりなポスターだったり……。いや~なんともいい加減なもんで、さらに建物の話には尾ひれが付いて……。
だいぶ、ボケが拡がってきています。

居酒屋と出版企画

小生が住んでいる家の近くに都立の公園があり、その公園から道路一つを隔てたところに美味しい焼き鳥を食べさせる居酒屋がありました。ただし、どこの駅からも遠く、しかも表通りから入った生活道路ぞいなので、いつも客はわずか。呑んでいても、次の客が入ってこないと、帰りづらい、という状態でした。

それの店が閉じて、一年近くたって新たに居酒屋が入りました。居抜きです。ただ、これが入りづらい。今までなら、勝手知ったる、で入れましたが、知らない店となると、なんとも店の内部のつくりが、見知らぬ者としては入りづらい。ということで、躊躇していたら、三ヵ月ほどで年末になり、年を越して正月中旬には店を閉じてしまいました。まあ、踏ん切りがいいというか、深みにはまらないよう早めに撤退したのかも知れません。

それから、10ヵ月ほど経ち、今度は「ダーツ&居酒屋」と、まあ、住宅街には似つかわしくない、居酒屋が誕生しました。ダーツと言ったら若者対象でしょう、そんなの成立するかい? と心配しながら店内を見ると、これが、お客さんで一杯。皆、若く、年取ったオヤジが入れる店にはなりませんでしたが、とにかく、ホット安心しました。

そこで、考えました。美味しい料理をだすからって、必ずしも流行らない。安くて美味しいだけなら、従来の駅前の店がいくらでもある。新たに進出するなら美味しい料理と個性豊かな(?)オヤジ以外に、もう一つ客を引きつける〝何か〟が必要ということのようです。これって、出版企画でも言えそうです。従来の本道というかオーソドックスな企画では皆さん既製の書籍でいいわけで、新たに手にとって買い求め、読むとなると、+アルファーの新たな視点が欲しい、っことなんだな~と改めて実感いたしました。

一昨日、ある出版社から、メールで単行本の執筆依頼がありました


何年ぶりでしょうか、かつて依頼があったときには、版元が求めている内容とすりあわせができず、降ろさせていただきましが(読者対象が若く、しかも内容的に軽いノリでまとめて欲しい、とのことでした。小生の場合、雑誌なら飲食店等も取材して記事を書きますが、新書ではしない、ということでお断りしました)、今回は、担当部署が単行本で、しかも30~60歳を読者対象にしているとのこと。これなら、と一瞬思いましたが、たとえ年齢層が一致しても「定年退職破産にならないための15章」ってな実用書のノリで書いて欲しい、なんてことになると嫌なので、あくまで、現在は「まち歩き」に絞った本しか書いていないので、もしそれで合えばお会いしましょう、と返したところレスポンスはありませんでした。
ということで思い出したのが東京大空襲の早乙女さんに出版社から執筆依頼が来たときの話。その内容がなんと江戸ネタ、だったという話です。ボクに江戸ネタ? まあ、書いて書けないことはないけど、江戸の話なら時代小説の早乙女貢さんでは? と思い、「その話、早乙女貢さんに依頼する原稿じゃありませんか? ボクは早乙女勝元ですが……」とこたえると「えッ、え~、早乙女……。いえ、先生でいいんです、いや、先生にお願いしたいと言うことで……」としどろもどろになったところで、こりゃ、明らかに早乙女違いで電話を掛けてきたな、と思いながらも、そちらが引っ込みが付かないなら、プロとしてこちらもこの仕事お引き受けしよう、と依頼を受け、江戸ネタのちょっとした原稿を書いた、という話を思い出しました。まあ、早乙女さんも作家なので、多少の脚色(ずいぶんローカルな話ですが、昔の高砂や柴又の話をお読みすると、東京大空襲を伝えているだけじゃなくて、作家だな~、話がうまいな~と感じます)もあるかも知れませんが、そんな話を思い出しました。

昨日、ある自治体から講演依頼がありました。小生は土曜日の公開講座(淑徳大学)の準備のため外出していたので、事務所の同僚が電話を受け、やりとりをしましたが、同僚が送ってもらったFAXを事前に見ていて、小生が事務所に戻ると「これ、テレビよりずっといいよ! どんなことがあっても引き受けて!」と、すっごく乗り気。うちの事務所の本業は編集業なんですが、経営のことを考えてでしょう「この仕事は引き受けて欲しい」とのこと。でも、その後、役所の方からのお話を直接お聞きし、FAX内容もキチンと見ると、2回お願いしたいとのこと。それって2回分の料金? でも小生も見栄っ張りなので聞けなくて……、お引き受けすることしか伝えられませんでした。いや~、こんなことで右往左往するなんて、みんなビンボが悪いんや~!

今朝の東京新聞「神保町ブックフェスティバル」の企画広告の中で、『東京の近代建築Ⅰ・Ⅱ』(吉川弘文館)が掲載されていました。日経、朝日に続いて、東京新聞にも掲載していただきました。版元さん、ありがとうございま~す!



*相変わらず、画像がタテになりません~。

〝地〟(物理的な地)があって、そこに空間がある。その空間はフレームでくくられ、人はその空間に意味を加える。その〝空間〟には名前が付けられ、都市は、地名によって綴られた巨大な書物になる。――なんちゃって、これじゃ都市をテクストとして読むってことになっちゃうじゃない! と自問自答! 都市を、そしてまちを読み物にしちゃいけない! と思う……。

次回「横丁・小径学会」のお知らせ


第14回「横丁・小径学会」国道遊歩
ナビゲーター:小林一郎
開 催 日:2014年12月6日(土)[予定
集合場所:JR鶴見駅構内から鶴見線に乗り換える改札口前
集合時間:午後1時20分(1時30分鶴見発の電車に乗ります。
     この電車に乗り遅れると、

     2時間待たなければなりませんので、

     時間厳守でお願いいたします)
内容:駅の外に出られないJR海芝浦駅、

    アーチの「国道駅」、
    生麦魚河岸通り、

    鶴見駅のガード下。

   時間があれば、大井町のガード下。
*参加費無料。一緒に遊歩しましょう。