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第2倍音

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-楽器二本

本日はレッスン2人だけ。

なのにトータルで5時間半。

第2倍音を中心としてベンディネッリとドベルネを組み合わせて行った。

第2倍音の難しさは「出ればオッケー」じゃ無くて「どのように」というところにある。

しかしこの部分を抑えるとティボー先生のいっていたペダルメソッドの本意にまで繋がるのが面白い。

バロックと現代楽器というものを別物として隔離するのは簡単だ。
楽器も違えばマウスピースのスペックも形状もまるで違う。
しかしメソッドを読み解くとそこには現代のメソッドとの多くの共通点を見いだす事が出来る。

勝手ながら(本当に)....メソッドに目を向けずに表面的な音楽的知識だけで古楽器という形だけのバロックをやってみるというのは非常に安っぽい選択だと思っている。
形だけで「昔はこんな音で演奏されていたんですよ」というのは軽く「なんちゃって詐欺(合法版)」じゃないかと。

更に突っ込んで発言させてもらうと日本の音楽界は古楽器に限らず本物モドキの精巧なプラスチックテイストで溢れているようにも見受けられる。
(勝手な個人的見解なので読み流してください)

正直、バロック楽器で遊び始めたのは古楽に興味があったからでもなんでもなく現代楽器の更なる扉が開けるのではないかという期待感からだ。

僕自身器用なプレイヤーではないので生徒にも「器用に上手に吹け」とはいわないがメソッドの中心は「音楽にふさわしい音とは何か?」というひと言に尽きる。

ティボーとガンシュという凄い大御所達のレッスンの本質も突き詰めれば結局はそこにあった。

本日の第2倍音中心のレッスンで生徒達の感覚の扉がちょっと開きかけた実感があったのが嬉しかった。

プロには成らなくて良い。ってか成らない方が良い(爆)。

「音って、音楽って楽しい、素敵だ」

と思って生活、人生の一部として愛し続けてくれるように育ってくれたら僕は本当に嬉しい。

以上。

古い楽譜とお友達

~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-ナチュラル達

お久しぶりです。

本業オケはとっくに休暇に入っておりましたがバタバタと演奏会の仕事や家族旅行(って2泊3日)で忙しくしておりました~

ちょっと前にファンティーニ、ベンディネッリの原本コピーの楽譜を入手しまして1600年代のナチュラルラッパ吹きがどんな練習をしていたのかを興味深く「解読」する事に致しました。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-楽譜

ざっとこんな感じなんですが....

ネウマ譜よりはズッとマシ!!!

ですがト音記号よりもハ音記号の嵐。移調読みしている気分です。

とにかく第2倍音(我々のペダルのドの音と同じ高さの音)が頻繁に出て来るのですが、コレが曲者。

曲者なのは最初だけなんですが、まぁ普通は苦労するかと。

とりあえず時代がホンのチョイ前のベンディネッリさんのものから手を付けようかと思い頑張ってみました。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-ベンディネッリ

この本の出版は1614年と成っておりますが実際には1580年代には大半が書かれてベンディネッリさんも弟子に使わせていたらしいとタールさんの本には記述がありました。

んで第2倍音。

基本的にバロック現代を問わずロートーンはアパーチュアを開いちゃダメなんですがこの原則を破ると非常に希薄な音に成ります。

ポイントに成るのは呼吸感覚、体内部、喉の状態なのですが感覚を掴むと一気に世界が広がります。

エッガー社の出しているBL2という比較的大きめのマウスピースで練習していますが当時のマウスピースはそれよりも遥かに大きいスロートのものを使われていた様子です。

何れにしても第3倍音より上の音との自然な繋がりを確認しながらの練習は非常に良い訓練に成りました。

当時必要とされていた音域はバッハの時代と比べると低く、実際にメソッドに出て来る音はそんなにキンキンの高い音がある訳でもありません。

それでもこの音域の訓練がハイトーンに繋がっている事をわかっている人間が書いているのがよくわかります。

実に面白い!!!

ちょろっとピストン楽器を一日の練習の最後に吹いてみるとなんと簡単に感じる事か。

これは最も上達出来る近道なんじゃないかと思ったりしています(フィンガリングは各自練習してもらわないといけませんが...)。

製作の技術面はともかくとして、古楽器からピストン楽器への移り変わるときに第1、3スライドが固定で音程調節が出来なかったわけですがこのような楽器を中心に訓練された人たちにとってはあまり必要に感じなかったのかもしれません(あくまでも憶測)。

とはいえ古楽器は僕の楽しみであって専門ではありません。

あくまでもモダン楽器奏者。

ということで先日ハードゲイ、じゃなくてHG楽器さんにハイCキーを世界無敵のC管に取り付けてもらいました。コルク以外はオール手製!!!
真面目に無敵です。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-ハイC


ハイトーンは不得意ではないですが、コレがあればハイCだけは安心というだけでストレスは半減です。

とにかくハイCは凄まじい命中率。

この際なので穴だらけにしてどの音もキーだけで演奏出来るようにしてみようかしら~

ピストン付きキートランペット。

バカな考えは置いておいて明日からも真面目にベンディネッリさらって演奏感覚をグレードアップさせたいと思っております。

ではでは。

カンスタルBb管 リファイン

ご無沙汰しております。

今回お知らせするのはカンスタルのBb管です~

僕も短期間使っていた事もあり生徒の1人もカンスタルの銅ベル楽器を所有しておりました。

残念ながら趣味としても続けるのも仕事の性質上難しいようでして大事に収納...所有していた楽器も涙ながら手放す事に。

僕のところに持ち込まれた楽器は凹みもなく状態そのものは至極良好でした。

最適化やスペック変更で良くなるのは目に見えていたので問答無用で世界で唯一信頼している修理改造専門のHGさんのところへ改造&オーバーホールに。


出来上がりを見ていやいやビックリですよ。

こういうのがプロの仕事なんだな、と。

作業メモも頂きました。

とにかく組み立て直す必要があったので細かいパーツも含めて全てバラして1から組み直し。

というわけでラッカー剥離、酸洗浄、組み直し、磨き直し(作業順序詳細不明)。

~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-カンスタル1


~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-カンスタル3
オリジナルはアマドキーでしたがバック社のウォーターキーにして音の重心、センターに安定感が出ました。支柱もHG工房での手作り品!!!オリジナルパーツですとちょっと太すぎて音もボッテリします。

~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-カンスタル2
レシーバーもバック社のパーツに交換。輪郭のあるハッキリとした性質が保証されてコパーベルに有りがちなモッタリした扱いにくさを相殺します。

スペックは以下の通りです。

元楽器/カンスタル オリジナル コパーベル Bb管 MLボア

主管ツバ抜き/アマドキー→バック社パーツ
主管支柱/オリジナル→HG工房手作りスペシャル
マウスピースレシーバー/オリジナル→バック社パーツ
3番管ツバ抜き/アマドキー追加
ピストン軸は元々真鍮製です!!!
仕上げ/ラッカー→ノーラッカー
JUN'S 最適化ヴァージョン2施工済み

最適化ヴァージョン2の効果も良好で現在市場に出回っている楽器には先ず期待出来ないダークチョコレートを彷彿させる濃厚なサウンドが得られます。が、単調な音色ではなく幅広い表現が期待出来ます。

非常に綺麗に仕上がっていますのでこのままメッキを掛けるのも良いかもしれません。

お問い合わせは ebejunik@mac.com まで。

ではでは。


親フィルター使用の写真達

ガンシュホーン ヴィンテージモデル

連投で製品紹介です。

もうご存知のかたも多いかと思いますがシャーガル社のガンシュホーンでヴィンテージモデルが出ました。

~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-ヴィンテージモデル

渋さと輝きの調和が素晴らしいです。

私自身ふいた訳ではありませんがこのクラスの楽器で裏切られた事はないので間違いなく素晴らしい物だと確信致します。

シャーガル本社に問い合わせたところ今発注すれば秋頃には納品出来るとの連絡を貰いました。

スペックを述べておきます。


・ガンシュホーン/Hoersdorf Heavy Bb管

・ヴィンテージ ロー・ブラス+金メッキ仕上げ(写真参照ください)

・アマド・ウォーターキー(第1、3トリガー)

・ご要望があれば最適化(ヴァージョン1もしくは2)もサービス致します。

※写真のマウスピースは付属しておりません。ケースも別売です。


気になるお値段ですが9750シンガポールドル(送料別)となっております。

本日のレートでも80万円にはリーチしておりません。

シンガポールドルでお支払いして頂く事、直売限定にすることでコストをかなり抑える事が出来ました。


ご質問、発注は ebejunik@mac.com まで。


それでは~









恐るべしエッガー

エッガー社が新しい測定、設計による新ハース・ベルのバロックトランペットを作ったというので4セット入荷致しました。

入って来た4本はスタンダードモデルなんですが僕が1年近く使っているヒストリカル・モデルの楽器よりも鳴りムラや当たりムラの問題点がかなり解消されている上に遠達性のあるサウンドなど実に素晴らしく仕上がっておりました。
しかも凄い事にハズレがない。

この新しいハース・ベルのモデルでヒストリカル製法のモデルはどんな音がするんだろう?という興味もあるのですがスタンダードモデルでこれほどの実力のある製品を世に出すエッガー社には感服のひとこと。

メーカーの方とは当然やり取りをしてある程度データ測定に関しての話は伺っているのですが

「盲目的に数値だけを追い求める事はしません。より良い音程や吹きやすさ、音の良さに貢献出来ると判断した場合には微々たるデータの変更は当然致します。」
とのこと。

当然といえば当然ですがこれだけ"盲目的”に当時のオリジナルを求めている古楽器に染まった人間が多い中でそこを断言するのはメーカーとしては勇気がいるところだと思います。

使うのは人間、聴くのも人間。

今も昔もそれは同じです。

やっぱり現代でも良いもの、便利な物はタイムマシンで300年前に持って行ってもみんな使いたがるでしょうしねぇ。

ツバ抜きなんて絶対欲しいです。

孔だって欲しがるに決まっている....(ここは意見が分かれる...)

欲しくない人は孔のないクルークを別売でオーダー出来ますし、クルークにある孔をネジで閉じる事も出来ます。親指で塞ぐ孔はFホールと呼ばれますが、ここはネジで塞ぐ事には対応しておりませんので僕が作ったシリコンキャップで塞ぐ事も出来ます。

そんな事はともかくメーカーさんの考えとしてはおそらく(ここ大事、おそらくです)

”オリジナルは絶対尊重。しかしレプリカがオリジナルを超えないという鉄則はない”

という考えや想いがあり、オリジナルを元にしてそれ以上のレプリカ、現代の演奏環境に対応した当時の良さを持ったレプリカを製作しようと常に試みている精神をメールのやり取りでも感じました。

知る程にのめり込みそうになるメーカーです。

このシンプル際まりない楽器に関わり始めると多方面からラッパについて考えさせられて感性や耳も変化し、音楽の歴史や音楽そのものへの想いに徐々に目覚めさせられるのです。

キリのない世界だからこそ面白い!

そんなバロック・ナチュラルラッパを始めて見たい方はあまり多くいらっしゃられないのでしょうか?

だとしたらかなり勿体ない!!!

とにかく現代のラッパが上手になるという部分だけでもやる価値は十分にあると思います。


興味を持った生徒達には以下のセットでの購入を勧めています。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット1
本体(新ハース・ベル、スタンダード、アマドキー付き)、クルーク(Bb、C)、リードパイプ(Bb、C)、専用マウスピース(S6/フラットリム、ステップバックボア)、移動用クルーク、専用ケース

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット3
$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット2
組み立てたらこんな感じです(Bb管になっています)。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット4
これが移動用クルークです。クルークを外した状態だと衝撃に弱いのでこれはあった方が良いでしょう。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット5
クルークを合体させました~

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット6
ケースに収納したらこんな感じです。クルークはまだいくつも収納出来る余裕があります。

~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット9
~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット8
このようにリュックにもなるので出歩いても両手がフリーなので傘を差しながらでも彼氏や彼女とラブラブに手を繋いで歩く事も出来ます!!!

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-エッガーセット7
この画像がイチバンつまらないのは承知ですが...ケースにはエッガー社のロゴがちゃんと刺繍してあります。ハイ。


というわけで興味のある方がいらっしゃいましたらいつでもご連絡下さい(ebejunik@mac.com)。

D管クルークが欲しい、ヒストリカルのベルが良い、他のマウスピースが欲しい、などのオプションにも応える事は出来ます。

ではでは。









APREDATO その後と質問

月末まで休みなので溜まりに溜まりまくっている作業やいろんなマウスピースの実験をして遊んでみようと思います。

先日入荷した水を入れるシャーガルのマウスピースはかなり面白かったです。

手を加えてみてまた色々な事がわかりました。

それなりに面白い物が出来たと思います。

オーダーしてくださった皆様、楽しみにしていてください。

ピストン楽器との相性やバック社の楽器との相性に関する質問が非常に多いのですが全く問題はありません(なにか指定がない限りお客様へ提供するピストン楽器用のマウスピースはバックで試奏、調整しております)。

ロータリー用のモデル、ピストン楽器用のモデルに使われているバックボアも全く異なります。

先日のブログでも述べましたがその辺はメーカーさんも流石にわかって製造しているようです。


~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-Mp2~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-Mp1

基本的にバックボアは手を加えなくても問題は無かったです。

カップもCカップという割にはちょっと深めでキャパ的にはBカップに近いのかしらと思いました。

やはりヨーロッパのメーカーなのでパリッパリの定番Cカップにするのには抵抗があったのでしょうか。

かなり急なテーパーをつけてスロートも無理矢理27番に持って行っている感じだったので26もしくは25番スロートに変更。

もちろんお客様からスロート指定通りに調整する事は可能です。

個人的には23番に手直しして遊んでみたいですね。

リムはエッジが全然生かされていない感じだったのでかなり手を加えました。

いずれにしても水を入れる事に寄ってのかなり面白い効果がダイナミックスの変化で特に感じられると思います。

水を入れたり油を入れたりアルコール入れたりしていろいろと楽しんでもらいたいと思います。

ではでは~





水を使うMP

お久しぶりです。
10日間程の日本滞在でしたがとても有意義な時間が過ごせました。

シンガポールに戻って来たらオーダーしたマウスピース達がシャーガルから届いていました。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-SGM

結構な本数がありますがタイプも色々です。

このズングリしたマウスピースはSchagerl社製の「APREDATO」という水を入れる事によって振動係数を変化させてより響く音を、というコンセプトの物です。

$~東南アジアに住むラッパ吹きのマッピ製作と日常のブログ~-SGM2

こうやってみるとわかるのですが外側のケースを外すとこの通り中はスッキリとしたバレリーナ体型のマウスピースなのです!
ふふっ、実は僕も服を脱ぐとバレリーナ体型、なんてことは予想を裏切らずありません。
どんなに着膨れ、着太りしているんだ、と言い張っても人間の場合はデブはデブです。

はい。話が横道それました。

というわけで中空になっている部分に水を入れて使います。


広告塔になっているジェームス・モリソンさんのエピソードです。

あるときスンゴイ不調に陥ってシャーガル社に楽器を持ち込んで「なんか辺だから楽器診て~」と工房の人に見せたら楽器ではなくてマウスピースの水が抜けていただけだった、という話。本人が僕の友人に話したわけですから信憑性は高いです。

しかしマウスピースなら何でもいいや、という無頓着なモリソンさんですら「おかしい」と気付く、という事は水が入っていないと余程アウトなマウスピースということなのでしょうか?

というわけで好奇心旺盛な僕は17本ほど入れてみました。


ピストン用 / 1C、11/4C、11/2C、2 1/2C、5C

ロータリー用 / ガンシュモデル、BG1~3、SG1~3


感想をザラッと述べさせて頂きます。

水の効果は可成りです。

ぶっちゃけそのままでも市販のマウスピースよりは余程良いと思います。

しかし水に助けられ過ぎている.....

水を入れなくても可成り使える状態にして実験してみよう~


というわけで幾つかやってみました。

いやぁ、良いじゃないですか。

幸いバックボアはインチキではないキチンとしたタイプで開けられておりました。

おそらくピストン用はシンフォニック、ロータリー用(こちらはまだ調べ切っていません)はウイーンタイプかと。

何はともあれ新感覚のマウスピースを皆さんに味わってもらいたいですね。

調整された後のマウスピースは何らかの金メッキを掛けて仕上げる予定です。

納期は注文されてから2-3ヶ月だと思われてください。

価格は38000円前後を見込んでおります(レートにより変動有り)。

お問い合わせ、発注は ebejunik@mac.com まで。


ではでは。


訪星

参った