飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。

 駈ける、駈ける、駈ける。

 甚助は木から木へと飛び移り、谷を越え、獣道をひた走りに賭けた。

 二十人いた追っ手も、五人に減っている。

 ここを切り抜けられればなんとかなる。

 甚助は、忍びの世界に嫌気が差していた。

 いくら凄いことをやってのけても、決して表に出ることはない。出世は望めないし、報酬が貰えるわけでもない。そのくせ、掟には縛られている。

 まだ若く、己の腕に覚えがあり功名心の強い甚助は、そんな裏の世界で生きるのが嫌になり、組織を抜けた。

 忍者の掟は厳しい。組織を抜けた者には、死あるのみ。その者を抹殺するためには、地の果てまでも追ってゆく。そうしないと、秩序が保てないからだ。

 一人、二人、甚助は逃げながら、残る五人の追っ手を次々と倒していった。

 そして、ついに二十人の刺客をすべて倒してしまった。

 それから暫く、甚助の姿は消えた。

 四方八方探し尽くしたが、組織は甚助を見つけることはできなかった。

 それもそのはずで、どこでどうやったか、甚助は顔を変えていた。男前だった顔が、まるで猿そっくりになっている。

 今の甚助の名は木下藤吉郎といい、尾張の駆け出しの武将、織田信長の草履取りとして仕えていた。

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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