懐かしい歌が聞こえてきた。

 裕也は、思わずそのメロディーを口ずさんだ。

 この歌を歌ったのは、いつ以来だろう。

 中学生の時の林間学校でのキャンプファイアー。

 口ずさみながら、裕也は旧友の顔を次々と思い出していた。

 あいつらは、今頃どうしてるだろう。

 これまで、学生時代のことなんかとんと思い出しもしなかった裕也だったが、ふいに懐かしさが込み上げてきた。

 あの頃と、随分変わっちまったな。

 裕也の顔が歪む。

 どこで、こうなってしまったのだろう。

 屈託のない日々。

なにをしても楽しくて、明るい未来ばかりを思い描いていた。

 明るい未来なんてないと気付かされたのは、社会人になってからだ。

 頑張っても頑張っても、報われることのない社会。

 それでも、裕也は歯を食いしばって耐えてきた。

 しかし、とうとう限界に達してしまった。

 弱いと言われればそれまでだが、裕也は自分なりに精一杯やったのだ。

 最後に、旧友の顔を思い出せて良かった。

 そう思うと笑顔が浮かび、笑顔のまま、裕也は走ってくる特急電車に身を投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?

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