木の葉が風に舞っている。あの木の葉のようになりたいと、由紀は思った。
風に乗ってどこまでも飛んでいけるなら、なんて幸せなことだろう。
由紀は、大学受験を目の前に控えた時に両親を事故で亡くした。
六つ歳の離れた弟を養うために、進学を諦め勤めに出ることにしたが、高卒で雇ってくれる会社は少ない。ましてや、突然の出来事だ。
それに、雇ってくれるところがあったとしても、家賃や生活費に加えて、弟の学費まで出せるほど給料を貰えるとは思えなかった。
事実、高校の就職課に問い合わせても、そんな会社は皆無に等しかった。
仕方なく、由紀は夜の世界に飛び込むことにした。
地味でバイトをしたこともない少女が働くには、あまりにも過酷な世界だった。
最初の半年は、死にたい気分にいくども捉われた。
踏み止まったのは、ひとえに弟の存在があるからだった。
弟にだけは苦労をさせてはいけない。私は、両親の代わりなのだ。
その強い思いだけが、由紀を生に駆り立てていた。
弟も、大学へ行かずに働くと言ったのを、由紀は押し止めた。
そんなことをされたら、なんのためにこれまで辛い思いをして頑張ってきたかわからなくなるからだ。
そうだ、へこたれてる場合じゃない。前を向いて歩こう。
由紀は、風に舞う木の葉から、木の葉を飛ばしている木に目を移した。
どっしりとした、木の幹に。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?