「船長、どこを探しても見つかりません」

 先ほど出航した港から、この船に時限爆弾が仕掛けられているとの連絡が入り、乗組員全員で船中をくまなく捜索したが、それらしきものは発見できないでいた。

「もしや、ガセネタじゃ」

 乗組員の一人が言う。

「かもしれん。しかし、本当に仕掛けられているのかもしれん」

 船長が、苦渋の顔で答える。

「しかし、穀物を運んでいるだけの貨物船に、誰が得をするっていうんです」

 船中をくまなく探しても見つからないためか、乗組員の大半が、爆弾のことを信じようとはしていない。

「それは、わからん。しかし、もしもということがある。みんな、船を捨てるんだ」

自分は船長の責任があるので最後まで船と共にすると言い含めて、。乗組員全員を救命ボートに乗せて退避させた。

「ばか共が」 

 遠ざかっていく救命ボートを見ながら、船長がうすら笑いを浮かべる。

 穀物に混じって大量の金塊が積まれているのを、船長は知っていた。それを独り占めにするために打った芝居だった。

 暫らくして船は大爆発を起こし、海の底へ沈んだ。船長の欲と金塊と共に。

 船には、テロを支援するための金塊を沈めるよう、港で工作員による爆弾が仕掛けられていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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